サッカー雑誌の編集者時代の仕事は?Jリーグクラブで働くキャリア②

この記事はインタビュー記事です。現在、Jリーグクラブの大宮アルディージャで広報として働く田口和生さんのキャリアをご紹介します。第二回目の今回は、田口さんが新卒で選んだ仕事であるサッカー雑誌の編集職での仕事について、詳細をお聞きしました。雑誌編集者には華やかなイメージや忙しそうな印象がありますが、実際はどんな仕事をされていたのでしょうか。関連記事「スポーツ関係の仕事に就くには?Jリーグクラブで働くキャリア①」と併せてご覧ください。

週刊サッカー雑誌の編集職の仕事は?

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BraveAnswer(以下BA)編集部: 週刊サッカーマガジン編集部時代の仕事内容について教えてください。

サッカーマガジン編集部時代の主な仕事は、雑誌の記事になるコンテンツを見つけることと、自分が見つけたコンテンツを企画にして編集部内を通して形にすることです。

サッカーマガジンでは、編集者がそれぞれのJクラブの担当をし、読者に伝えるべきコンテンツの情報収集をします。私は3年半の間で川崎フロンターレやサガン鳥栖、ヴィッセル神戸、ベガルタ仙台、浦和レッズ、FC東京を担当しました。Jクラブの広報の方たちと関係性を築き、クラブの情報や注目選手、若手成長株の選手等の状況を知っていきます。コツコツと足を運び、コミュニケーションを重ねるなかで自分のなかにネタの引き出しが蓄積されていきます。

それはJクラブに限らず、各代表チームやJFL、大学生、高校生、中学生、小学生のカテゴリーごとに担当があり、同じように情報を集めていきます。このような活動を通じて作った自分の企画が雑誌に掲載できるかは「編集会議」で決まります。

あらゆる編集者がそれぞれの企画を持ち込んで魅力を伝え合う場が編集会議ですが、その場で企画が通れば雑誌掲載へと繋がります。週刊誌だったので、このサイクルを1週間でどんどん進めていく仕事でした。

 

雑誌編集者に必要なスキルや能力は?

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BA編集部: 雑誌編集者に必要な能力やスキルにはどんなものがありますか?

文章校正力や編集力といった編集者にとって当たり前のスキルは当然身につける必要があります。編集者はそれ以外にも、3つの能力が必要な仕事だと思います。

1つ目は人間関係構築能力です。

編集者は、たくさんのパートナーがいて成立する仕事です。ネタを提供してくれる方々はもちろんですが、同じクラブを担当している新聞記者さんやライターさんとも関係性づくりも重要です。地方のクラブを担当すると頻繁に足を運べるわけではないので、継続して深く情報収集をするためには、横の繋がりを作りお互いに情報共有をします。

編集会議で自分の企画が通った後は、記事の作成をライターさんに、写真撮影をカメラマンさんに依頼します。ページ構成にはデザイナーさんの力を借りますし、原稿ができたら印刷所とのやりとりがスタートします。いつも決まった時間に印刷所に原稿を回せるわけではないので、万が一の時に多少の無理を聞いてもらうのにも関係性構築が欠かせません。

2つ目はタスク遂行能力です。

雑誌ですから、入稿の時間に遅れてしまっては発売することができません。あらゆるパートナーとのやりとりを何度も重ねながら締切を守るためには、ミスなくタスクを遂行する力が求められます。

毎日のように締切が迫ってくる膨大な量の仕事をこなしながら、一つ一つすべての仕事にミスがないか、神経を使いながら進めていくのが雑誌編集者には求められます。また、業務の優先順位や流れを素早く判断しなければ、多方面のパートナーに気持ち良く動いてもらうことはできません。

3つ目は気力と体力です。

神経をすり減らして入稿した後はすぐに翌週の仕事にとりかかる必要があります。週刊誌の場合は、このサイクルが1年中続きます。純粋な体力と、メンタルタフネスも必要になりますね。完全な休みも月2回ほどとれればいい方でした。オンとオフの切れ目があまりない限られた時間の中で、心身をうまくコントロールする力も重要です。

 

タフな仕事と不明確な将来性

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BA編集部: 週刊サッカーマガジン編集部をお辞めになるときに考えていたことは?

色々な考えが交錯したように思います。

3年半やったので、週刊誌年52冊としても、別冊も含めて200冊ほどの雑誌を世に出したことになります。やはり感慨深いですね。

一方で、仕事内容には徐々に慣れていましたし、今後も同じサイクル、同じ仕事量を同じ緊張感のなかでやっていくのはどうだろうということも考えていました。

当時はまだスマートフォンがありませんでしたが、インターネットの普及率がドンドン高まっているタイミングだったので「雑誌は今後ビジネスとして成立するのか」という不安もありましたね。

週刊サッカーマガジンは、私が退職した5年後の2013年に休刊しています。また、それまでは外部から取材する立場でしたので、実際に自分で現場に関わりたいという思いも沸いてきていました。

 

人間関係構築能力の重要性と雑誌の衰退: 編集後記

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雑誌の編集者は人気職業のひとつです。

出版社の入社試験は超狭き門であり、そのなかでも編集者としてのキャリアを歩める人はほんの一握りといえます。

田口さんは週刊サッカーマガジンの編集者として、3年半仕事をされました。編集者というと文章や写真と向き合うデスクワークをイメージする方も多いかもしれませんが、それと同じように実際に必要なのは人間関係を構築する力というのが印象的です。

Jクラブの広報、同じクラブを担当する記者、企画を通した後に力を借りるライター、カメラマン、デザイナー、入稿後に印刷を依頼する印刷所の方など、数多くのプレイヤーとミスの許されない仕事をします。

ミスをしないのが重要である一方で、仕事にはトラブルがつきものなのも事実。そんなときには、日頃人間関係をどれくらい構築できてるかがポイントとなるのです。

また雑誌編集者は人気の職業とはいえ、今後も継続して雑誌のビジネスモデルが成立するかは不明確です。田口さんが関わっていたサッカー界を代表する週刊誌「サッカーマガジン」でさえ、2013年には休刊になっています。

今後、インターネットインフラがますます整ってくることと、インターネットコンテンツの質が高まっていくことは、雑誌のパワー衰退に直結しているといえます。

次回のインタビュー記事では、田口さんの現在の仕事であるJクラブで働くこと、広報という仕事についてお聞きした内容をご紹介します。

(BraveAnswer編集長: 和田)

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