損害保険

損害保険業界の研究、市場規模や主要企業、未来予測は?

この記事の結論は「2016年現在の損害保険業界の市場規模は約8兆3597億円。過去6年間で継続的にプラス成長。主要4社で国内シェア84.2%を占める。今後、損害保険各社の収益構造が変化する可能性が大いにある」です。損害保険業界は年収が高く、学生にとって人気業界の1つです。ただ損害保険業界の今後は構造変化が見込まれています。この記事では、損害保険業界の研究、市場規模や主要企業、未来予測についてまとめました。

損害保険業界の研究、市場規模は?

損害保険業界

日本損害保険協会が毎年公表する「統計 保険種目別データ」によると、2015年4月〜2016年3月での日本の損害保険業界の市場規模は約8兆3597億円で、前年比103.4%です。約2767億円のプラス成長となっています。損害保険市場は日本有数の巨大市場でありながらも、2010年から2015年の過去6年間で継続的に成長している市場です。

 

損害保険市場は6つに分けられる

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損害保険市場を大別すると、6つに分けられます。

  • 自動車
  • 火災
  • 自動車損害賠償責任
  • 傷害
  • 新種
  • 海上、運送

「自動車損害賠償責任保険(通称:自賠責保険)」と「自動車保険(通称:任意保険)」の違いは、強制で入らなければならない保険か個人の意志で加入する保険かの違いです。全ての自動車に加入が義務付けられているのが「自賠責保険」、自賠責保険ではカバーしきれない損害を保証するのが「自動車保険」となっています。

「自動車保険」の市場規模が損害保険市場の中では最も大きい保険です。正味収入保険料は約3兆9986億円で、全体の約47.8%を占めています。「自賠責保険」の正味収入保険料は約1兆366億円で、全体の約12.4%を占めています。「自動車保険」と「自賠責保険」の合計で全体の約60.2%となります。損害保険市場がいかに自動車に依存している市場かわかります。

2番目に規模が大きいのは「火災保険」です。正味収入保険料は約1兆3374億円で、全体の15.9%を占めています。

情報サイト「保険市場」によると、正味収入保険料とは損害保険会社に払い込まれる保険料のうち、その会社の業績や売上規模を示す指標となるもののことです。払い込まれた保険料から保険契約者に払い戻した解約返戻金(解約返戻金)と、積立型保険の貯蓄部分の保険料を控除し、さらに再保険料を加減して計算します。

 

損害保険業界の研究、主要な企業は?

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金融庁の「損害保険会社一覧」(2016年5月16日リリース)によると、国内に52社もの損害保険会社が存在しており、中でもそのうちの4社が主要な企業として一般的に知られています。

東京海上グループに属する「東京海上日動火災保険」MS&ADインシュアランスグループに属する「三井住友海上火災保険」「あいおいニッセイ同和損保」損保ジャパン日本興亜グループに属する「損保ジャパン日本興亜」の4社です。

各損害保険会社の有価証券報告書(2016年3月末時点)によると、東京海上日動火災保険の正味収入保険料が2兆1283億1200万円、三井住友海上海上火災保険が1兆5071億5700万円、あいおいニッセイ同和損保が1兆1920億8900万円、損保ジャパン日本興亜が2兆2184億2500万円となっており、4社合計で約7兆459億8300万円です。国内シェアの約84.2%を4社で占めていることになります。

 

損害保険業界の研究、未来予測は?

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今後、国内の損害保険の市場規模は長期的に見ると緩やかに縮小する可能性が指摘されています。

飽和状態になりつつある国内市場は、人口減少に伴って自動車販売台数や住宅、工場などの建設数が減少し、既存の主力保険商品である自動車関連の保険や火災保険の売上が減少すると考えられるからです。

ただ、短期的に見れば損害保険会社にとって成長のチャンスは多く存在すると考えられます。国内損害保険会社にとって追い風になるのが、政府による規制緩和、人工知能やビッグデータといった先進的テクノロジーの進化、外部環境の不確定リスクの広がり、海外保険市場の伸びなどです。

特に近年、イギリスのEU離脱や中国経済の減速など不確定リスクの広がりが顕著であり、企業はリスクマネジメントをより求められるようになりました。また近年、各損害保険グループはM&Aを中心に海外進出に力を入れています。アジアや新興国など保険の普及率が低い地域が多くありますので、そこでいかにプレゼンスを高めることができるかが今後の鍵になるといわれています。

 

今後の損害保険業界を読む

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これまで見てきたとおり、従来の損害保険各社は自動車に依存した収益構造をとっていました。ただ、人口減少に伴う自動車販売台数の減少や自動運転技術の商業化によって、損害保険各社の収益構造が変化すると予想されます。

また、前項では短期的に見た保険会社にとってのチャンスを記載しましたが、反対に脅威となるのが自然災害リスクの高まりです。地球温暖化の進行により自然災害が従来よりも頻繁に発生する可能性があります。台風などの自然災害は多額の保険金支払いが発生するため、損害保険会社にとって脅威になります。

「金融だから安定していそう」などといった気持ちで志望するのではなく、損害保険業界の立ち位置や特徴、今後の動向について選考に入る前に深く考えることをオススメします。

 

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