国際財務報告基準(IFRS)とは?日本の会計基準と違い、導入の影響は?

IFRSと日本の会計基準との間には、利益認識にかかわる会計観の違いが存在します。従来は収益・費用アプローチだった日本国内でも、IFRSよりの資産負債アプローチによる会計観が広まりつつあります。日本の会社法では依然として強制適用とされていないIFRSですが、日本政府を含めた国際社会では「単一で高品質な国際基準を策定する」という方向に向かっています。この記事では、IFRSの定義、導入状況、日本の会計基準との違い、IFRS導入によるメリット・デメリットについてまとめました。

国際財務報告基準(IFRS)とは?

  • 国際財務報告基準(IFRS=International Financial Reporting Standards)

とは

  • 国際会計基準審議会(IASB=International Accounting Standards Board)

が策定する

  • 会計基準

を指します。

 

国際的に統一された会計基準

従来、多くの国では自国の会計基準を策定し、企業はそれぞれの国ごとの会計基準に沿った財務報告を実施していました。

ただ、多国籍企業の増加や、インターネットの発達による投資家の海外への投資が活発化し、国際的に統一された会計基準の必要性が高まりました

 

2001年4月に発足したIASBがIFRSの開発を進め、2005年12月期以降、欧州連合がEU域内の上場企業に対してIFRSに基づく連結財務諸表の作成を義務付けています。

2017年7月現在、世界100カ国以上で採用されています。

 

IFRSは企業の業績を判断するのに役立つ

IFRSなどの財務諸表は、企業の業績を判断するのに役立ちます。

そして企業の業績を理解することは、その企業に務めている人がどの程度年収をアップさせることができるのか、という判断基準にすることができるのです。

 

ご自身の今後を判断する上でも、IFRSなどの財務諸表は重要なのです。

 

 

国際財務会計基準(IFRS)の導入状況は?

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2008年11月のG20ワシントン・サミットで

  • 単一で高品質な国際基準を策定する

ことが提唱され、日本でも2010年3月より任意適用を開始しています。

 

2015年3月末時点で75社が導入済みまたは採用を予定しており、これら企業の時価総額は約108兆円です。

全上場企業の約2割を占めます。

 

株式会社は、事業年度ごとに日本の会計基準に則した有価証券報告書を内閣総理大臣と証券取引所に提出することが金融証券取引法により義務付けられています。

IFRSの任意適用要件を満たした企業は、IFRSの会計基準を適用した連結財務諸表による提出が可能となります。

 

日本の会計基準との違いは?

IFRSと日本の会計基準には、2つの相違点があります。

 

利益を捉える会計観

IFRSと日本の会計基準は、利益を捉える会計観が異なります。

 

IFRSでは「資産負債アプローチ」

IFRSでは「資産負債アプローチ」を採用しています。

 

会計期間における

  • 「資産と負債の差額から企業価値を開示する」

ことを目的としています。

 

日本の会計基準では「収益費用アプローチ」

日本の会計基準では「収益費用アプローチ」を採用しています。

会計期間の

  • 「活動成果である収益と、それを得るために投じた費用との差額から当期純利益を開示すること」

を目的としています。

 

 

日本における伝統的な会計観は、利益の発生過程を重視する「収益・費用アプローチ」でした。

ただ、投資家にとっては、真の企業価値を表す「企業の富」の増減こそが関心事です。

近年のIFRSの動向を背景に、日本国内でも「資産・負債アプローチ」への移行が進んでいると言われています。

 

会計基準の厳密さ

IFRSと日本の会計基準は、ルール構成の厳密さが異なります。

 

IRFSでは「原則主義」を採用しており、会計処理を判断する場合に、立ち戻るべき原理・原則を明確にし、例外を最小限に抑えるという考え方で会計基準が作られています。

 

日本の会計基準は「細則主義」を採用しており、数値基準や例外規定など、会計基準を補足する詳細なルーツによって構成されています。

 

その意味で、IFRSを採用する企業はIFRSが規定する原理・原則を踏まえたうえで実務上の適用方法に関する判断が求められることになります。

 

そのためIFRS基準による財務報告を行う企業には

  • 「原理・原則に基づいた会計処理の選択を合理的に実施する社内体制とルール作り」
  • 「株主に対し、自社の採用した会計方針に対する根拠の説明責任」

が発生すると言えます。

 

 

国際財務報告基準(IFRS)導入によるメリットは?

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IFRSの4つのメリット

  1. 経営管理の強化
  2. 会計処理の簡素化
  3. 海外企業との業績比較可能性
  4. 海外投資家への説明容易化

1.経営管理(ガバナンス)の強化

海外子会社からの財務情報がIFRS基準に統一できることにより、各社の経営状況を本社と同じ基準で、より高い頻度で把握することができるようになります。

 

2.会計処理の簡素化

海外子会社が日々作成する財務情報が本社の会計基準と同一になるため、本社へ提出する際の会計基準差異による財務情報修正がなくなります。

各社経理担当者、本社連結担当者の決算業務短期化につながります。

 

3.海外企業との業績比較可能性

IFRS基準を採用している企業であれば、国内外関係なくグローバルに、同業他社との財務比較を行うことができます。

 

4.海外投資家への説明容易化

海外投資家がいる場合、会計基準の差異による説明責任がなくなります。

差異説明に掛かるコストが削減でき、海外投資家からの資金調達も円滑化されます。

 

 

国際財務報告基準(IFRS)導入によるデメリットは?

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IFRSの3つのデメリット

  1. 決算業務の複雑化
  2. IFRS導入にかかるコスト
  3. 会計基準の解釈

1.決算業務の複雑化

原理・原則主義であるため、注記情報が多大となります。

また「特定会社」でない企業は、日本基準による財務諸表も作成が必要です。

 

日本の会社法では、一定の要件を満たした「特定会社」のみ、IFRS適用による連結財務諸表の提出が認められる「IFRS任意適用」が採用されています。

 

2.IFRS導入にかかるコスト

日本基準からIFRS基準への移行に掛かる外部アドバイザー費用、追加監査コスト、海外子会社を含めた業務・システム対応にかかるコストが増加します。

 

3.会計基準の解釈

原理・原則主義の会計基準であるため、各企業により会計方針の策定や会計処理に対する説明責任があります。

会計処理の選択を合理的に実施する社内体制とルール作りが必要です。

 

 

日本企業における国際財務報告基準の導入は?

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日本国内では、IFRS基準の適用は依然として義務化されていません。

ただ、2008年のG20ワシントン・サミットで示された「単一で高品質な国際的な基準を策定する」方向へと政府が向かっていることは事実です。

 

金融庁の調べにより、IFRS基準導入による「経営管理の効率化」「海外投資家への説明の容易さ」を実感している企業が現れています。

 

経理業務に従事する場合はもとより、営業取引や株式投資の判断に影響する有価証券報告書に掛かる動向は無視できません。

近年訪日外国人が増加する中で、日本市場に対する海外投資家からの注目が集まっているため、IFRS適用にかかる今後の動向が注目されています。

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