日本国憲法「前文」意味解説!9条の改正論議につながる?

現在、改正議論が活発になっている日本国憲法ですが、憲法の基本原理である前文に書かれていることを説明できる人は少ないのではないでしょうか?日本国憲法の原文は言い回しが難しいので、内容を正確に理解するのは難しいですよね。この記事では、池上彰著「超訳 日本国憲法」(新潮新書出版)を参考に、日本国憲法の「前文」の意味を原文から解説し、9条の改正論議につながる理由をまとめました。

 

日本国憲法の「前文」とは?

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日本国憲法は「前文」と「本文」から成ります。衆議院憲法調査会事務局が2003年7月に発表した「日本国憲法前文に関する基礎的資料」では、前文の意義を以下のように説明しています。

近代憲法に内在する価値ないしその進化を支配してきた原理を確認しつつ、制憲意思を表明し憲法の基本原理の明らかにしている点、および憲法典の一部を成し法規範性を具えている点で、きわめて注目に値する。出典:日本国憲法前文に関する基礎的資料(衆議院憲法調査会)

前文には、第1章〜第11章からなる「本文」を理解する上で大切な「原則」や「理想」が示されているといえます。「超訳 日本国憲法」の中で池上彰氏は「国民を代表する選手宣誓のようなもの」と比喩しています。

 

日本国憲法の前文超訳!前文の意味は?

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日本国憲法は1945年にGHQが作成した「憲法草案」を日本語に直訳したもので、前文は全4段落で構成されています。難しい言い回しが多く意味がとりにくい文章でかかれているので、段落ごとに前文を区切りながら意味を解説します。

 

1段落目:憲法は国民主権に基づく

前半

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。出典:日本国憲法 前文

意味解説

日本の国民は国会議員を正当な選挙で選び、国会議員は国民の代表として行動する。我々は我々自身と子孫のために外国と協力して自由を守り、日本の繁栄を目指す。政府によって再び戦争が起こることのないように決意して、国家の主権は国民にあることを宣言し、日本国憲法を作った。

ポイント

  • 国の権力者は全国民の代表である
  • 日本国憲法は、戦争を二度と起こさない決意のもと制定されたものである

 

後半

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くも のである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。出典:日本国憲法 前文

意味解説

そもそも国政とは国民によって任されたものなので権威は国民にある。国家権力は国民の代表者が行使するが、その福利厚生は国民が受け取る。これが全人類に与えられる当然の原理であり、日本国憲法はこの原理に基づいている。これに反する憲法や法律、天皇の命令などはすべて無効である。

ポイント

  • 国政の権威は国民にある
  • 日本国憲法に反するすべての決まり事は無効である

 

2段落目:日本は全世界の国民の平和を望んでいる

前半

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの 安全と生存を保持しようと決意した。出典:日本国憲法 前文

意味解説

日本国民は平和が永遠に続くことを願い、それが人類にとっての理想と信じている。平和を愛する世界中の人々を信頼して、安全に生きることを確保することにした。

ポイント

  • 平和を愛する世界中の人々を信頼することが憲法の前提

 

後半

われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。出典:日本国憲法 前文

意味解説

国際社会は世界の平和を維持し、独裁や奴隷をはじめとする圧迫や差別を永遠に無くそうとしている。日本はその国際社会の積極的な一員として、名誉ある地位を占めたい。全世界の国民全員が恐怖と貧困から脱出して平和に生きる権利を持っている。

ポイント

  • 全世界の国民は全員が平和に生きる権利をもつ

 

3段落目:国には他国を思いやる義務がある

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。出典:日本国憲法 前文

意味解説

世界のどんな国も自国のことばかりを考えて他国を無視してはいけない。政治の道徳は世界共通のルールなので、これに従わない国には他国と対等の関係を築く権利はない。

ポイント

  • 政治の道徳は世界共通のルールである
  • ルールに従わない国は他国と関係を築くことができない

 

4段落目:日本国民は理想のために努力する

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ出典:日本国憲法 前文

意味解説

日本国民は、日本の名誉のために全力で「永遠の平和」という理想の実現に向けて努力することを誓う。

ポイント

  • 日本人は永遠の平和実現に向けて努力する

 

日本国憲法、前文は第9条の改正論議につながっている?

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前文より、日本国憲法は「平和を愛する他国を信頼して、日本国民が永遠に平和で生きること」を実現するために制定されているといえます。

たしかに掲げる理想が実現すれば素晴らしいことですが、前提としてすべての国が本当に「平和を愛する他国」にあてはまるのか、近年疑問視されています。

日本国憲法前文では、他国は平和を維持する努力をしており、他国を信じることを前提としているため、侵略等の危険については言及していません。ただ日本の近隣諸国には核ミサイルの開発をすすめる北朝鮮や尖閣諸島などの領有権を主張する中国などがあり、近隣諸国の対外政策の姿勢に対して不安が広がっています。

一部の政治家は「戦争を放棄する」ことを規定している日本国憲法第2章第9条を改正することで、他国から侵略される危険を排除しようと考えているのです。

 

正しく前文を理解し、日本を考える

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日本国憲法は国家の最高法規とよばれています。本文には「三大原則」や「三権分立」など、日本にある法律すべての基礎となることが書かれています。日本国憲法の前文を知ることで、本文を知るための前提を理解することができます。

近年憲法改正が論議されていますが、日本国憲法の正確な意味を知らなければ、憲法改正問題を理解することはできません。

20代のビジネスパーソンは日本を未来を背負う人材です。自らの未来のためにも、日本国憲法を知り、憲法改正には関心を置いておくことをオススメします。

 


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