20代におすすめの転職エージェント全15選!選び方は?そもそも使ったほうが良い?転職サイトとの違いは...
2016.7.26
2016.7.26
第三章「20代の人に伝えたいこと」の冒頭は
やりたいことは死ぬまでわからない出典:「働き方」の教科書P92
という断定表現からスタートします。
客観的根拠をベースに論理展開をスタートするわけではなく、挑発的な中タイトルからはじまる第三章は、読み手の興味を惹きますね。
そもそも、何をもって自己実現と言うのでしょうか。出典:「働き方」の教科書P96
という投げかけにもある通り出口氏は、自己実現論に懐疑的です。「自分は何がしたいのだろう」という考えに支配され、自己実現はしなければならないものであると考えている若者が多いのではないかとも指摘しています。
本書内でも「20代で自己実現できる人は少ない」としています。
人間の歴史を見れば、20代の若さで自分が何をしたいのかわかっている人はむしろ少数派であることがよくわかります。出典:「働き方」の教科書P93
この一節も重要です。
出口氏が精通している歴史のはなしをも引用し、「やりたいことは死ぬまでわからない。自己実現を望むのであれば死ぬ間際に判断すればいい」という出口氏の考え方に、正当性を示す意見をあわせて提示しているからです。
ただここまで主張はすべて出口氏個人の意見です。論理的根拠や調査データが引用されているわけではありません。
出口氏が新卒で勤務した会社は日本生命です。
僕が日本生命に入ったのは、まったくの偶然です。出典:「働き方」の教科書P94
というご自身の体験を含めて出口氏は、「就職は偶然の要素が強いので、あれこれ悩むよりも相性だけで十分だ」という考え方を持っています。
優先するべきは居心地の良さ、相性だけとしています。
相性を確かめるには人事担当者の美辞麗句に惑わされず、社員を観察すること。会社にいって実際にその企業で働いている表情をみることが重要です。沈んでいる顔の人が多ければ、その企業は沈んでいる人が多いのだろうという予測が可能だからです。
夜遅くに本社ビルに行ってみて、オフィスの電気がどれくらい付いているかや、残業後の社員がどんな表情で何人くらい出てくるかを確かめてみるのもおもしろいですね。
エレベーターに乗り合わせた人が仲良くなれそうだと感じたり、一緒に飲みに行っても楽しそうだと感じたら、その直感を大切にしてください。出典:「働き方」の教科書P98
という一節からも分かる通り、相性が良いと感じたら直感で決めたら良いというのが出口氏の考えです。
相性が良い会社に入社することを決めたら、とにかく3年はやること。
「石の上にも3年」という考え方を出口氏は推奨しています。
どんな芸事でも三年間サボらずに続ければ、なんとか人前に出せるレベルにはなります。出典:「働き方」の教科書P99
三年間働いてノウハウを身につけてからチェンジすることは、決して悪いことではありません。出典:「働き方」の教科書P99
これらのように、
「最初に入った会社で人前に出せるレベルまでスキルを磨こう」「転職をするにしても三年間分のノウハウを身につけてからキャリアチェンジができる」という考え方が、出口氏の就活論の根底にあるのです。
第三章を読むと、出口氏が考える「自己実現」「就活」には、以下の価値観が根底にあることがわかります。
人生のほとんどは偶然によって決まります。ほとんどの人間は、自分が本当に何をしたいのかわからないまま死んでいく。それが普通の人生だと思います。出典:「働き方」の教科書P95
この価値観に同意見であれば、彼が考える「自己実現」「就活」の考え方にも納得感があるでしょう。ただ、この価値観と異なる意見を持っているのであれば、彼の考え方に違和感を覚えるかもしれません。
キャリア選択における偶然性の割合をどう捉えるか。
出口氏のように人生はほとんど偶然で決まるという立場に立てば、相性で最初の会社を決めるのもいいでしょう。
少なくとも3年は続けて、その間に人前に出せるスキルを何か一つでも身につけるのも重要です。「最初の会社では1つでもいいので何かしらのスキル、成功体験を身に付けるべき」という考え方に大いに賛同します。それが3年であるかは時間の密度の話なので、「何が何でも3年」と期間に固執する必要はないと思いますが。
ただ「人生は偶然で決まる割合が高いのは承知なものの、これだけは成し遂げたい」というテーマがあるのであれば、それにこだわる人生は味わい深いと思います。
「自己実現なんてできない」「そもそも自己実現の定義ってなんだ」「成功する確率があるのか」等、様々な意見やアドバイスがあるかもしれません。
ただ、やりたいことを成し遂げると決めたのであれば、それらの意見に耳を傾けないこと自体、勇敢な選択なのではないかと思います。
挑戦がすべて成就するわけではありません。
ほとんどの挑戦は失敗するのかもしれません。
ただ、挑戦を続けてさえいれば、やらなかったことを後悔する確率は減るのだろうと思います。
逆説的ですが、出口氏の自己実現論、就活論を通じて「偶然や運命にどのように抵抗するべきか」を考えることができました。
(BraveAnswer編集長: 和田)