終身雇用制度は崩壊する?大企業、上場企業なら続く?

キャリア

終身雇用は多くの企業ですでに崩壊している。一般的に「早期退職・希望退職」を募集した企業は「終身雇用ではない企業」ということになります。実際2015年に、電通、ソニー、シャープ、ベネッセ、日本マクドナルドなど、日本を代表する企業において「早期退職・希望退職」の募集が実施されていることをご存知でしょうか。この記事では、終身雇用制度の意味や崩壊の可能性、大企業や上場企業での継続可能性についてまとめました。

終身雇用制度とは?歴史は?

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終身雇用制度とは

  • 企業が従業員を定年まで雇用する制度

実は、終身雇用制度には制度というほど明確なルールはありません。従業員側からの期待をベースに、企業側が維持する努力をしているのが実態です。

日本での終身雇用制度の歴史は意外に浅く、本格的なはじまりは戦後、1950年頃からといわれています。

当時は戦後復興関連の仕事がたくさんあり、労働者が不足していました。労働者を確保できない企業が、従業員を採用するために好待遇の条件として提示したのが終身雇用制度だったのです。

それから約40年、1990年前半までは、日本経済は順調に右肩上がりを続けました。多くの企業が順調に業績拡大でき、企業は従業員との「終身雇用」の約束を果たすことができた時代だったのです。

 

終身雇用を続けられる企業の条件は「継続した業績拡大」

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終身雇用制度は、従業員の定年までの雇用を約束する制度です。

どんなに能力が低い社員でも、利益を生み出さない社員でも雇用し続けなければ終身雇用とはいえません。

終身雇用とセットで導入されていることが多い「年功序列型賃金制度」と併せて考えると、企業の人件費は社員を増やすほど、平均勤続年数が長くなるほど、増えていきます。

そのため、企業が終身雇用を続けるためには「継続した業績拡大」が条件となります。

一時的に業績が落ち込む時期があっても「継続した業績拡大への期待値」があれば銀行借入等で資金調達ができ、雇用を守ることができます。

戦後から1990年前半までは、多くの企業がその条件を満たすことができました。

 

現在の日本は「継続した業績拡大」が難しい経済環境

ところが、1990年前半から日本の経済成長は鈍化します。

世界銀行が公表しているデータによると、日本のGDPは1974年から1994年の20年間で約10倍になっています。

一方で、1994年から2014年の20年間では約0.95倍と、微減しているのです(USドル名目、物価変動考慮なし)。

過去20年間は、終身雇用制度の前提である「継続した業績拡大」がとても難しい経済環境だったのです。今後もこの状況は継続するだろうといわれています。

 

終身雇用制度は日本の若者に大人気

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日本の経済成長の鈍化を基に考えると、終身雇用を継続できる企業は減少しているといえます。

10倍の経済成長をした1974年から1994年と比較すると、激減していると考えるのが自然です。

一方で、20代の若者に終身雇用制度は大人気です。

2013年版の厚生労働白書によると「1つの企業でキャリア形成をするのが望ましい」と答えている20代は、51.1%にのぼります。

1999年の同調査では36.6%でしたので、終身雇用を望む若者は1.4倍に増えているのです。

日本の景気は悪いと言われ続けているので、当然の結果ともいえます。

ただ先ほど紹介をした通り、マイナス成長の経済環境で終身雇用を維持するのは、極めて難易度が高いことなのです。

 

大企業なら終身雇用は続けられる?

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大企業であっても終身雇用を続けられるとは限りません

2015年3月末時点における日本の企業の売上高トップ50社のうち、70%もの企業が過去に「早期退職・希望退職」を募集しています。子会社まで含めれば、その割合は90%近くにまでなります。

売上高ランキングで日本のトップ50社に入るほどの超大手企業であっても、ほとんどはすでに「終身雇用ではない企業」なのです。

 

上場企業なら終身雇用は続けられる?

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上場企業であっても終身雇用を続けられるとは限りません

東京商工リサーチの調査によると、2000年以降に「早期退職・希望退職」を募集した上場企業は1343社です。これは上場企業全体の約37%にのぼる社数です。

冒頭に紹介した電通、ソニー、シャープ、ベネッセ、日本マクドナルドに加えて、最近では東京電力や東芝などの超大手企業でも「早期退職・希望退職」の募集がされています。

2010年に経営破綻したJAL(日本航空)は、18,000人の規模で希望退職を募集しました。

当時の従業員の約3人に1人という超大規模な人員削減は、これからの日本の大企業を象徴する出来事といわれています。

 

終身雇用はすでに崩壊している

大企業、上場企業の状況を俯瞰してみると、終身雇用は、すでに崩壊している制度といえます。

1990年前半以降の日本経済の停滞や、終身雇用を維持する難易度の高さを理解できれば「企業に終身雇用を望むのは期待値が高過ぎる」ということがわかりますね。

 

終身雇用に依存しないキャリア形成を

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この記事を読み、何か行動を起こしたくなった方のアクションプランは2つあります。

1つ目は「終身雇用に依存しないキャリアプランを立てること」です。

「早期退職・希望退職」は「35歳以上を対象」といった年齢条件付きで募集がかかることがほとんどです。30歳未満の方が対象になることはまずありません。

つまり、30歳までの雇用は保障されているともいえるのです。その期間を自分のスキルを高めることに充て、変化に対応できる力を身に付けておくことをオススメします。

2つ目は「終身雇用の企業を探すこと」です。

すでにほとんどの企業で崩壊しているとはいえ、終身雇用は企業側の人材戦略上のメリットもあります。

経営者が戦略的に終身雇用を取り入れている企業もあるはずです。

大企業、上場企業には見つかりづらいかもしれませんが、地域の知る人ぞ知る優良企業や、家族経営をしている企業のなかに、終身雇用制度を維持できている企業があるかもしれません。

終身雇用に依存をしない心構えでキャリアを磨いていってくださいね。

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