既卒から公務員になるには? 公務員試験の基本事項や受験のポイント、併願の注意点など

公務員を目指す際、既卒という要素は不利になりにくいと言われます。既卒が不利になりやすい民間企業への就職に比べて、公務員は既卒からでもなりやすい職種と言えるかもしれません。この記事では、公務員になりたい既卒の方向けに、公務員と民間企業の正社員の待遇の違い、公務員試験の流れや日程等の基本事項、受験のポイント、民間企業との併願についてなど、重要なポイントをまとめました。

公務員と民間企業の正社員との違い

公務員は雇用の安定に特徴があります。景気に大きくは左右されず、潰れることもありません。そのためリストラの可能性は低いでしょう。福利厚生が充実し、産休・育休も取得できます。

民間企業では新卒が優遇され、学歴フィルターが残るところも多いですが、公務員は公務員試験・面接さえ突破すれば採用されます。

しかし、公務員は景気に左右されないため業績とはほぼ無関係で、個人の実績が出にくい面があります。そのため、力量に見合った給料をもらえないケースもあります。

 

給与

平成28年の国家公務員給与等実態調査では、国家公務員の平均給与月額は41万7394円です。また、平成28年の地方公務員給与実態調査では、地方公務員の平均給与月額は41万9251円となっています。

いずれも42万円に近い数値です。(平均給与月額には諸手当も含まれます)

民間企業と比較してみましょう。平成28年分の民間給与実態統計調査によると、平均年収は421万6000円で、ここから月収(給与)を計算すると約35万1000円となります。

まとめると以下のとおりです。

職種 国家公務員 地方公務員 民間企業
平均月収 41万7394円 41万9251円 35万1000円

この数値から、公務員の平均給与は民間企業より高いことがわかります。

 

ボーナス

内閣官房内閣人事局の報道資料によると、平成30年6月期の一般職国家公務員に対する夏のボーナスの平均支給額は約65万2600円です。

これは一般職だけの数値ですが、民間企業全体と比較すると高い傾向があります。

民間のボーナスは民間の給与を参考に人事院が決定します。そのため、ある程度景気に左右されます。

次に、初任給の特徴を見てみましょう。国家公務員の初任給の変遷によると、平成29年の初任給は以下のとおりです。

職種 総合職(院卒) 総合職(大卒) 一般職(大卒) 一般職(高卒)
初任給 21万4000円 18万3700円 17万9200円 14万7100円

意外に少ないという印象を抱く方も多いでしょう。初任給だけでいえば、民間企業よりも低い可能性はあります。

 

手当

「扶養手当」「通勤手当」「住居手当」などが基本ですが、手当の内容は自治体によって異なります。

 

有給休暇

一般職の国家公務員の有給休暇を例に挙げます。人事院の資料によると、「年次休暇は、原則として1暦年ごとに20日〔有給〕」と定められています。

地方公務員、国家公務員のいずれも、基本的に有給休暇は20日、残日数は20日を限度に翌年に繰り越せるところが多いです。

 

転勤

国家公務員の総合職は、基本的に全国の機関・自治体が勤務地です。一般職の転勤の対象地域は、採用されたブロック内に限られます。

地方公務員は基本的に自治体の管轄地域が勤務地です。東京都の職員であれば東京都内が勤務地となります。

 

年金

平成27年に厚生年金と共済年金が一元化されています。共済年金は厚生年金に比べて上乗せ分があり、一元化された後も「年金払い退職給付」として残ります。

この点では公務員の方がお得という状況になっています。

 

退職金

地方公務員、国家公務員、民間企業の平均退職手当額をまとめると以下のようになります。

職種 地方公務員
(全地方公共団体平均)
国家公務員 民間企業
平均退職手当額 1104万5000円 2537万7000円 2459万6000円

(参照:平成29年地方公務員給与実態調査人事院「民間の退職金及び企業年金の調査結果並びに国家公務員の退職給付に係る本院の見解の概要(平成29年4月)」

したがって、平均退職手当額は「国家公務員>民間企業>地方公務員」となります。

ただし、企業によっては退職金制度がない場合もあります。この点を考慮すると、退職金を受け取りたければ、確実に退職金がもらえる公務員の方にメリットがあります。

 

公務員にはどのような職種がある?

公務員の職種は「事務系」「技術系」「公安系」「資格職系」に大きく分類できます。また、それぞれの職種の中にさまざまな種類が存在します。

 

高卒の公務員の職種

高卒の公務員の職種は、警察官自衛官建築土木などが挙げられます。力仕事が多いと考えるとわかりやすいでしょう。

 

大卒の公務員の職種

大卒の公務員の場合、高度な知識が求められる職種も含まれます。例えばキャリア組の警察官地方上級公務員などがあります。

 

公務員のメリット・デメリット

公務員には、メリットもあればデメリットもあります。公務員に向けて動き出す前に、そのメリットとデメリットを把握しておきましょう。

 

公務員のメリット

公務員は基本的に年功序列で、徐々に給料がアップします。また、人間関係でトラブルが起こっても、人事異動が多いのでリセットしやすい点もメリットかもしれません。

さらに、社会的信用度が高い職業であることもメリットの1つです。

 

公務員のデメリット

雇用や給与は安定している反面、職種によっては給与が安い場合があります。特に地方自治体の一般行政職は10年前と比べ減給されており、職種間での差が見られます。

また、部署によってはきつい仕事になることもあります。自治体であれば市民からのクレーム対応も必要でしょう。

人事異動が比較的多いため、自分の意思に関係なくきつい仕事を任せられる確率は上がります。

さらに、公務員は業績とはほぼ無関係で、個人の実績が出にくいという特徴があります。そのため、個人の頑張りがすぐに昇進につながるとは限りません。

昇進試験に受かって管理職になれば給与は上がりますが、そもそも昇進試験がないところもあります。いずれにせよ、昇進が早くない点はデメリットと言えるでしょう。

職種によっては激務になる場合もありますが、これは民間企業でも同様です。激務な職種の例を挙げると、以下のようになります。

  • 国家総合職
  • 消防士
  • 刑務官
  • 自衛官
  • 海上保安官
  • 本庁勤務職員
  • 国税専門官
  • 法務省専門職員
  • 小学校教師
  • 都道府県
  • 政令都市出先機関
  • 市役所出先
  • 裁判所事務官
  • 国立国会図書館員
  • 地方保育士
  • 栄養士 など

 

既卒は公務員を目指しやすい

実は既卒は、公務員を目指しやすいと考えられます。その理由を、4つにまとめました。

既卒が公務員を目指しやすい4つの理由

  1. 公務員採用枠の「一般枠」を利用できる
  2. 試験勉強の時間が十分に取れる
  3. 既卒が不利にならない
  4. 民間企業と併願できる

1.公務員採用枠の「一般枠」を利用できる

自治体によっては年齢制限がない場合もありますが、多くの場合公務員試験は30歳までです。

公務員の採用枠には、「一般枠」「社会人採用枠」があります。「社会人採用枠」の場合、筆記試験のうち「専門分野」が省略されます。面接や小論文などで社会人としての経験が重視されます。

既卒の場合は「一般枠」がおすすめです。特に高卒向けの公務員(警察官、自衛官、建築系・土木系など)は、独学で合格を目指すことも可能です。

公務員試験の制限は、基本的には先ほどの年齢制限だけです。年齢制限さえクリアすれば、既卒でも平等にチャンスがあります。

とにかく筆記試験で結果を出すことが重要です。

 

2.試験勉強の時間が十分に取れる

既卒の方は学生や正社員に比べて勉強時間を確保しやすいのが強みです。平等なチャンスがあるだけでなく、勉強時間を多くとれるという理由から、公務員試験は既卒の方に有利と言えます。

公務員試験の筆記試験対策は通常7~12ヵ月程度かかりますが、その中でどれだけ時間を確保して勉強を進められるかが大切です。

学校の成績も基本的には関係ありません。

ただし、同レベルの人を判断する際には、学校の成績を利用することもあり得ます。部活やサークル活動、ボランティアなどの経験は採用基準とは直接関係しませんが、面接で聞かれる可能性は十分あります。

そのため、学校の成績とは別にこれらの経験を積んでおくと面接でプラスになるかもしれません。

 

3.既卒が不利にならない

公務員試験では新卒や既卒関係なく試験結果と面接での人柄が重視されるため、既卒が不利になりません。

民間企業のようにキャリアベースで判断されず、既卒でも平等にチャンスがあるため、既卒の方の中でも人気が高い傾向にあります。

また、公務員試験には学歴フィルターもほぼ存在しません。国家公務員総合職といった上位試験では、ある程度のフィルターが存在する場合もありますが、基本的には試験結果で判断されます。

もし大学受験や就職に失敗しても、公務員試験ならリベンジできます。基本的な制限は年齢のみで、筆記試験と面接さえ突破すれば採用されるからです。

また、年齢制限内であれば何度でも受験可能です。第二新卒であれば社会人経験もきちんと評価されるため、ブラック企業に新卒入社してしまった人が会社をやめて公務員試験を受けるケースもあります。

 

4.民間企業と併願できる

公務員試験を受験しつつ民間での既卒就活を進めることは、もちろん可能です。

ただし、内定を複数もらった場合は注意する必要があります。中途採用の場合、基本的に内定から入社までの期間が短いことが多いため、内定をもらったら速やかに入社か辞退の意を伝えなくてはなりません。

そのため、公務員試験と並行して民間企業の就活をする場合、タイミングを慎重に見極めることが大切です。
試験結果が発表される時期や、企業の採用時期など、それぞれのタイミングを考慮して応募しましょう。

また、公務員試験に受かれば企業からの内定を辞退する可能性もあり、企業としては内定を出しづらい部分があります。さらに、既卒で民間企業の就活をする場合、卒業から期間が長ければ長いほど不利になります。

このようなデメリットも考慮したうえで、民間企業との併願は戦略的に考えることが重要です。

 

公務員試験の概要を押さえておこう

公務員になるためには公務員試験をウケる必要がありますが、そこには知っておきたいポイントがいくつもあります。試験の概要を掴んで、しっかりと方向性を定められるようにしましょう。

 

公務員試験の種類

公務員は、大きく「国家公務員」「地方公務員」に分けられます。

国家公務員

国家公務員は「一般職」「総合職」があり、国の行政機関に勤務します。

一般職は、一般的な知識や論理的思考力を試す基礎能力試験と、専門試験(受験区分に応じた内容)があります。基礎能力試験は大学のセンター試験と同程度と言えます。記述は小論文形式で、資料の読み取りも含まれます。

総合職の場合、基礎能力試験と専門試験のいずれもレベルは上がります。試験範囲も広いうえに、一般職よりさらに深い知識が問われます。記述問題も、資料の読み取りの難易度が上がります。

また、国家公務員には特別職税務職など様々な区分があります。以下はその代表的な職種です。

特別職 裁判所職員、国会職員、防衛省職員など
税務職 国税庁で租税の徴収等に従事する職員
教育職 教員
※教育委員会や学校の一般事務担当者は行政職
公安職 警察官、海上保安官、消防吏員など

それぞれの職種で試験を受けられる年齢の上限が決まっています。

例えば国家公務員の高卒程度試験であれば「高校卒業見込みの者及び卒業後2年以内の者」という制限が設けられています。(2018年12月現在)

地方公務員

地方公務員は国家公務員と異なり、各自治体が独自に採用します。大卒程度試験は難易度が大卒程度となりますが、高卒の方や院卒の方も受験できます。年齢上限は30歳前後です。

高卒程度試験は難易度が高卒程度ですが、大卒の方でも受けられます。

 

合格までの道のり

一般的に公務員試験は「出願→1次試験→2次試験→最終合格」の流れで進んでいきます。

1次試験

1次試験は筆記です。職種によって差はありますが、「一般教養」「専門分野」「小論文」に大きく分けられます。

2次試験

2次試験は面接です。複数回行われるので、きちんと面接対策をしてコツをつかんでおく必要があります。

 

公務員試験の日程

公務員試験の日程は、国家公務員と地方公務員の場合で異なります。

国家公務員の場合

国家一般職の試験は6月中旬、国家総合職は4月末になります。

また、裁判所職員や外務省専門職員などそれぞれで受験日程が違うので、予備校などで一覧表を入手し、日程をきちんと調整する必要があります。

地方公務員の場合

都道府県や政令指定都市の一般行政職は、6月第4日曜日が多く見られます。ただし、東京都と特別区は5月上旬です。

その他の市町村は7月第4日曜日、9月第3日曜日に行われる例が多いです。

必ずHPなどから日程を確認して出願しよう

国家公務員と地方公務員を合わせると、試験日程はさまざまであることがわかります。

そのため、ホームページなどから日程を確認して調整し、それぞれで定められた出願期間に出願しましょう。公務員試験は日程が重ならなければ併願できるので、日程調整は特に重要です。

 

採用についての注意点

実は、国家公務員と地方公務員では採用されるタイミングが異なります。どのタイミングで採用となるのか、間違えないように把握しておきましょう。

国家公務員の場合

「国家公務員試験に最終合格=採用」ではありません。国家公務員の場合はそれぞれの官庁に勤めることになるので、最終合格後に「官庁訪問」を行い、採用内定を得る必要があります。

地方公務員の場合

最終合格者は原則として採用されます。ただし、辞退者がいない場合に採用が見送られるといったケースも考えられます。

 

既卒から公務員試験に合格するには

公務員試験は勉強期間を考慮する必要があるので、就職が1~2年後になってもいいか、試験勉強ができる環境か、なぜ公務員を選ぶのか、といった点を整理する必要があります。

民間企業にも興味がある方は、公務員の前に民間の就活をするという方法もあります。

 

合格ライン

試験によって変わりますが、選択式試験の合格ラインは平均6~7割です。

 

点数配分

国家公務員以外では選択式、記述式、面接の配点は非公開です。面接の重要度が上がっているという情報もあります。

 

勉強期間の目安

国家総合職は13ヵ月前後、地方上級と国家一般職レベルは10ヵ月前後、市役所(教養試験のみの場合)、警察官・消防官、高卒公務員は7ヵ月前後が目安です。

科目数が多いので、量より質を重視すべきです。

 

勉強方法

勉強方法は、大きく独学と予備校に別れます。

独学

自分のペースで効果的な勉強ができる人は、独学で勉強しても良いでしょう。予備校のように拘束時間がなく、金銭的にも楽です。

ただし、自分で勉強を進める強い意志があることが大前提です。

予備校

予備校ではいろいろな情報が入手でき、効率的に勉強ができます。周りにライバルが多いので意識も高まるでしょう。

自分では勉強できない場合や、講師の授業を受けたい場合には、予備校の利用は大いに効果的です。

 

受験のポイント

既卒の場合は民間企業との併願が基本です。この点は採用担当者も承知しているので、既卒であることをポジティブに伝えることが大切です。

二次試験(面接)が重要

意識すべきポイントは「既卒の強みを最大限に活かす」ことです。新卒に比べて社会の厳しさを知っている点などをアピールし、志望動機につなげる必要があります。

例えば既卒の空白期間でアルバイトなどをしていれば、社会経験としてアピールできます。

就職できなかったから公務員試験を受験したと言ってしまうと、どうしてもネガティブになってしまいます。「なぜこの官庁に入りたいか」「なぜこの自治体に入りたいか」と、「これまで何をしていたか」をつなげなくてはなりません。

例えばフリーターでアルバイトをしていれば、その内容と志望先の仕事内容を結びつけ、アピールしましょう。無職であった場合でも、何かやりたいことがあってやむを得ず無職の状態を選んだなど、面接官を納得させなくてはなりません。

この点が不安であれば、予備校などで模擬面接を受けるなど、対策をしておくと効果的です。

心構えが大事

公務員試験は年齢制限さえ守って試験で結果を出せば、採用につながります。ネガティブに考えず、「絶対に合格する」という心構えが大切です。

社会人で公務員試験を受験する方は、仕事の合間に勉強をします。一方、既卒の方は勉強時間が比較的確保しやすいため、たとえ社会人経験で劣ったとしても、きちんと勉強時間を確保することで、試験では良い結果を出せるように対策できます。

そのためにも「絶対に合格する」という心構えは重要なのです。

 

公務員試験に強い予備校は?

公務員に強い予備校としては、伊藤塾LECが挙げられます。

伊藤塾は国家総合職をはじめ公務員試験に強く、web講座もあります。

LECでは司法試験や司法書士などの各種国家資格のほか、公務員講座も充実し、通信講座も可能です。

 

既卒におすすめの就職エージェント

団体職員や公社も検討する場合は、転職サイトや転職エージェントの活用も効果的です。

 

ウズキャリ既卒

マンツーマンサポートが可能で、既卒の面接対策に特徴があります。
また、相談員には既卒就活の経験者も多く見られます。

 

ハタラクティブ

既卒フリーターの就職で高い実績を誇り、内定率は78%です。

 

いい就職.com

離職率の高い業界や企業の求人は断っているため、求人への信頼度は高いです。
既卒対象の説明会や模擬面接といったイベントも頻繁に行われています。

 

Re就活

既卒や第二新卒向けの求人数は最大級で、自己PR例文集といったコンテンツもあります。
地方求人が充実している点も特徴です。

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