フリーターの定義とは? 現状と課題、正社員就職までの手順とポイントまで丁寧に解説

曖昧な使われ方をすることも多い「フリーター」という言葉。厚生労働省が定義付けを行っていますが、正確に理解している人は多くないでしょう。かつてフリーターは自ら選ぶものでしたが、バブルの崩壊やリーマン・ショックによって「意図せずなってしまうもの」に変わっていきました。この記事では、そんなフリーターの定義から、フリーターの現状、課題、正社員として就職する際の手順とポイントなどをまとめました。

フリーターの定義とは?

フリーターという言葉は、1985年、シンガーソングライターの長久保徹氏がフリーアルバイターという言葉を使ったことから生まれました。

1987年にはリクルート社の「フロムエー」編集長道下裕史氏がフリーターと略し、現在の名称となっています。

英語圏では「パーマネント・パートタイマー」という言葉が、フリーターに近い言葉として使われます。

1991年に、厚生労働省がフリーターの定義づけを行いました。それによると、フリーターの定義に当てはまるのは以下の人たちです。

  • 年齢は15~34歳に限定
  • 現在就業している人で、勤め先における呼称が「アルバイト・パート」である雇用者
  • 現在仕事をしていない人で、家事も通学もしておらず「アルバイト・パート」の仕事を希望している人

しかし、今でも曖昧な使われ方をする場面は少なくありません。

(参考:統計局ホームページ-統計FAQ

フリーターはどれくらいいるのか?

内閣府のデータによれば、2014年時点で日本における15歳~34歳のフリーターは179万人いるとされています。

フリーターになる経緯は様々ですが、決して少なくない数のフリーターが存在していることがわかります。

 

フリーターと無職・ニート・アルバイトの違い

では、フリーターと無職やニート、アルバイトとの違いを見ていきましょう。

無職

無職とは職業が定まっていない人を指します。フリーターは就業している場合も大いにあるため、無職とは異なります。

ニート

「Not in Education,Employment or Training」の頭文字をとった語がニート(NEET)です。つまり、就学、就労、職業訓練のいずれも行っていない人々を指します。

調査によって異なる場合があるものの、ニートは労働していない人のみを対象とすることが多いです。なお、働く意思がある人はフリーターと呼ばれます。

アルバイト

アルバイトは年齢に関わらず、アルバイトという雇用形態で働いている人全てを意味します。

フリーターは15歳から34歳までの若年者を指す語なので、アルバイトやパートとして働いているか、働く意思のある無職の人が該当します。

 

海外ではフリーターという概念すらない

日本ではフリーターという言葉が広く知られています。

しかし、外国には「正社員・非正規社員」という概念がないところも多く、フリーターという考え方は一般的ではありません。

 

フリーターはもともと自分で選ぶものだった

今ではやむを得ずなるイメージが強いフリーターですが、かつては自分から進んで選ぶものでした。

フリーターの成り立ち

フリーターは、もともとは賃金が安定しており、自ら選択して自由度の高い生活をしていました。

というのも、バブル期の雇用環境であれば一旦フリーターになっても正社員になる受け皿が多くあったため、高学歴を持って大企業に就職するという生き方が保守的で退屈だと感じる若者も多くいたのです。

しかし、バブル崩壊後に正規雇用が減少したことで、やむを得ずフリーターにならざるを得ない「氷河期フリーター」が生まれました。

当時はポジティブな働き方と考えられていたものが、バブル崩壊でネガティブな言葉になってしまったのです。

 

氷河期フリーターの出現で「選ぶ」ものから「なってしまうもの」へ

バブル崩壊後に多くの企業は正規採用を抑制し、非正規雇用への転換を進めました。

人件費削減を進めると同時に、正社員も即戦力の中途採用を増やす動きが出たことから、新卒者の就職が厳しくなりました。

氷河期の新卒者にとってはフリーターという受け皿こそあったものの、氷河期フリーターとなったことで、社会からは「やむを得ずになってしまうもの」として捉えられるようになりました。

今ではコンビニ、飲食店など、フリーターを歓迎する業界が発達したこともあり、フリーターという働き方を選んでも生活に問題はありませんが、正社員から一度離れてしまうと再就職が厳しい状況は依然としてあるでしょう。

 

フリーターの現況・問題点は?

現在、フリーターの高齢化が問題になっています。

不本意ながらフリーターとして働いていた人々が中年層になり、貧困、孤独といった問題に直面しやすくなっています。

特に、バブル崩壊後の1994年から2005年ごろにかけて生まれた氷河期フリーターや、リーマンショック後の2010年から2013年ごろの新就職氷河期に生まれたフリーターが高齢化していくことが懸念されています。

また、2010年代以降の採用担当者は、学生時代に就職活動をしていなかった、社会からの逸脱者などとしてフリーターを捉える傾向があります。

厚生労働省の「雇用管理調査(2004年)」では、フリーターをプラス評価する企業は3.6%とわずかだったのに対して、マイナス評価は30.3%と高い割合を示しました。

フリーターは低所得であり、かつ雇用状況も不安定な職と言えます。そのため、家族を扶養することが困難になってしまうほか、離職率や失業率が高い点も課題です。

 

正社員とフリーターの格差はどれだけ広がっているのか

では、正社員とフリーターとの間にはどのくらい格差が広がっているのでしょうか。

生涯年収

正社員の平均生涯年収は2億円~3億円とされています。一方、フリーターは5000万円~8000万円程度とされており、約3倍〜4倍の格差があることになります。

もっとも、新入社員のうちはフリーターの方が高収入ということもあります。しかし正社員は基本的に年を追うごとに年収が伸びていくほか、退職金を得るチャンスもあります。

20代では給与の差があまりないからという理由でフリーターを続けると、将来的な年収アップのチャンスを失いかねないのです。

 

働き方について

正社員とフリーターでは、生涯賃金の他に、給料の支払い方法雇用の安定度教育の充実度社会的な信頼など様々な違いがあります。

正社員の方が老後の不安が少なくて済むほか、風邪で仕事を休んでも有給休暇を取れば収入が減りません。

また、解雇のハードルが高いことや、研修制度など成長の機会が多いこと、ローンなどを組みやすいこと、長期休暇を取れることも正社員の魅力です。

 

生活について

収入、家賃、食費、貯金などにおいて、フリーターと正社員では倍以上の差があります。

また、下記のように、ライフイベントを考える際にも正社員の方が有利になる場合が多いです。

正社員 フリーター
年金 厚生年金もあり充実 国民年金のみ
結婚 有利 不利
社会的信用 高い 低い

 

とにかくフリーターには不利な社会構造になってしまっている

現在の社会構造は、フリーターにとってはとにかく不利な状況です。この状況から逃れるべくフリーターから脱却したい場合はどうすればよいのでしょうか。

フリーターは何歳までに正社員になるべき?

フリーターから正社員を目指すなら、20代のうちが無難です。

20代でも早ければ早いほうが好ましいでしょう。30代になると求人が減ってしまいます。年齢面でのボーダーラインは40歳で、このあたりの年齢を過ぎるとほぼ求人がなくなってしまいます。

近年は35歳以上の高齢フリーターも増加していますが、派遣業界でも敬遠されるなど、正社員への道は厳しいです。また、35歳未満であっても、スキルが同等であれば若い人が選ばれやすいことも確かです。

35才以上のフリーターは、焦って正社員の職を探しすぎるとブラック企業に引っかかる可能性もあります。できる限り20代のうちに正社員になっておきましょう。

 

こんな今だからこそバブル期フリーターのような選択を

マイナスイメージが付きまとうフリーターですが、今だからこそバブル期フリーターのように、一旦フリーターになって正社員になる、という選択をすることも一案です。

フリーターは「悪」なのか

そもそも、フリーターは1つの働き方として存在しています。

そのため、必要以上に危機感を煽られたり、同じ仕事内容なのに負け組扱いされたりするのは理に適っていません。

仕事をしていれば問題ないという考え方に立てば、フリーターは悪ではないのです。

フリーターのメリット

フリーターには時間の自由がきくというメリットがあります。

また、スキルを高めるために自分の時間を使えることや、会社に縛られずにスキルを高める仕事を選べる点も魅力と言えるでしょう。

フリーターのデメリット

デメリットとしては、収入が低くなりがちなことが挙げられます。

お金が不足すれば生活の質が落ちたり、自己投資費用が捻出できなかったりといった懸念が高まります。

 

グランドデザインをもって決める

働き方を選ぶ際は、末路が怖いから就職するという安直な考え方は望ましくありません。

自分のキャリアプランを考えたうえで、目標に向かって有意義に働くというビジョンを持ちましょう。自ら主体的に働き方を決めなければ、長続きしないリスクが高いです。

 

フリーターには追い風が吹いている

現在は、アルバイトから正社員になる道も存在します。

雇用側が望む応募者が集まりにくい業界もたくさんあるため、きちんと情報収集してフリーターに対する偏見を払拭しておきましょう。

また、2018年改正労働契約法では、通算5年を超える契約社員は無期限の労働契約を結ぶことができる「無期転換ルール」が定められています。

就業者側の認知度が低いことが問題ですが、こうした情報を知っておけばフリーターに追い風が吹いていることがわかります。

さらに、若年層の人手不足で若者を正社員として囲い込みたい企業が増えていることもフリーターの正社員化を後押ししています。そのため、アルバイトの経験も評価の対象になる場合があります。

フリーターが正社員の仕事を探す際は、未経験歓迎の求人に当たるのが効率的です。

様々な雇用形態が出てきている現在では、一概にフリーターが不利とは限りません。雇用における年齢制限の禁止や、フリーターの労働組合加入が増えつつあることも知っておきましょう。

 

フリーターの就職方法も知っておくと役に立つ

フリーターに満足している、いないに関わらず、就職方法を知っておくことで将来の選択肢を広げることができます。

フリーターが就職しやすい職種を押さえる

フリーターが就職しやすいのは、人手不足の職種です。具体的には土木・建設・介護などが挙げられます。

ただし、手取り足取り教育してくれる職ではないので、あらかじめ必要なスキルを持っておいたほうが有利と考えられます。

職種で選びづらい場合は、社風や仕事のスタイルなどで選ぶ方法もあります。

職歴を必要としない人手不足の求人のほか、農業と介護がフリーターの有力な受け皿となります。ただし、介護は資格が必要なうえ、収入も低いので課題はあるでしょう。

以下、職種ごとに簡単にポイントを見てみましょう。

営業

営業職は常に正社員募集があります。採用段階で専門知識があまり問われないことや、キャリアアップにつながることも魅力です。

販売

コミュニケーション能力に自信があれば、販売にチャレンジしてみてもよいでしょう。

接客

接客では、フリーターとしてのアルバイト経験を活かせるチャンスがあります。

介護

介護現場では人材不足が深刻です。業種を選ばないのであれば、介護企業での正社員を目指してみてもよいでしょう。

工場

工場では、未経験者でも正社員採用されるチャンスが比較的高いとされています。

土木・建設

土木・建設業界は体力がいりますが、体力に自信があれば自分の能力を活かすチャンスです。

ベンチャー系企業

ベンチャー系では人材を育てる意識が強いです。やる気をアピールできれば正社員採用されやすくなります。

プログラマー

プログラマーは、意欲と真面目さがあれば未経験でも採用される場合があります。プログラミングに関心があるフリーターなどは狙ってみてもよいでしょう。

 

目指す職に就くために役立つサービス

正社員としての就職を目指すためには、各種サービスを利用して効率よく就職を成功させるのがポイントです。

具体的に役立つサービスをいくつかご紹介します。

フリーター支援制度

内閣府はフリーター向けに、職業能力の開発に主眼を置いた制度の拡充を行っています。

原則3ヶ月の試用期間を経験したうえで、雇用者・求職者双方の合意によって正社員に登用するというトライアル制度が一例です。

トライアル制度はハローワークを通じて行い、雇用主には奨励金が支給される仕組みです。

ハローワーク

わかものハローワークという、正社員経験のない若年層に特化したサービスがあります。また、既卒可の求人情報も多くある点がハローワークの強みです。

ただし個別サポートは弱く、履歴書、面接指導などにはあまり期待できないと考えてください。ジョブカフェと呼ばれる若年層対象の就業支援施設の利用も検討してみましょう。

就職エージェント

民間の就職エージェントを使ってみるのも1つの方法です。

就職相談・求人提案に加えて、書類添削や、面接対策といったサポートを無料で受けることができます。エージェントでは入社後のサポートも受けられるので、安心して正社員として働き始めやすいでしょう。

 

ゼロからはじめるフリーター就職の手順

就職をしようと思っても、一体何から始めたらいいかわからないという方も多いでしょう。

ブラック企業が怖かったり、そもそも書類選考を通過できなかったりといったケースもあります。就職を成功させるためには、進め方が重要です。

先ほどのフリーターに役立つサービスを使うこともふまえて、就職手順を確認していきます。

フリーターの就職手順

  1. 自己分析・目標設定
  2. 業界・企業研究
  3. 履歴書を書く
  4. 職務経歴書を書く
  5. 面接対策
  6. 自己PR
  7. 面接(服装に注意)

1.自己分析・目標設定

就職先探しに当たって、まずは自己分析、目標設定を行いましょう。自分の就活の軸をしっかり作っておくことが大切です。

具体的には、なぜ、いつまでに正社員になりたいのかを考えてみましょう。

無理な譲歩をしすぎてミスマッチになるのは避けたいところです。3月~4月、9月~10月は求人数が増えるためチャンスが大きいと考えられます。

 

2.業界研究・企業研究

自己分析が済んだら、業界研究、企業研究を進めましょう。興味のある業界や企業について、HPを確認するなどして知識を増やしていきます。

 

3.履歴書を書く

履歴書を書く際は、誤字脱字がないことが大前提です。丁寧に書き進めることや、具体的な内容を書くことも意識してください。

就職エージェントを利用すれば、書き方のサポートや添削を受けることができます。

 

4.職務経歴書を書く

職務経歴書はある程度自由に作成できます。

読み手の立場を考えて、職務経歴を具体的に記載します。志望動機、自己PRは詳しく書くと良いでしょう。こちらも就職エージェントで丁寧なサポートを受けられます。

 

5.面接対策

面接対策で、想定される質問の答えを用意しておく必要があります。

フリーターになった理由や、フリーター期間に何をしていたかなぜ正社員になりたいかなどはよく聞かれる質問です。

アルバイトではどんな成果があったかや、基本的なビジネスマナーに関する質問にも答えられるようにしておきましょう。

マイナス面を答えがちな質問も、ポジティブな回答に転換できるように準備を進めます。

タイプ別にフリーターの理由をポジティブに伝える方法をまとめましたので、参考にしてみてください。

モラトリアム型・離学モラトリアム型

職業や将来に対して明確なビジョンを持たないまま高校や大学を中退・卒業した人を指します。なんとなくフリーターになってしまった人とも言えるでしょう。

職業ビジョンがもっとも漠然としているタイプです。正社員として就職したものの、何らかの理由で不本意に離職し、再就職の見通しが立たない人も該当します。

準備段階で職業ビジョンをしっかり考え、意欲ある人材であるとアピールしてください。

夢追求型・芸能志望型

音楽や演劇、俳優など芸能関係を目指してフリーターになった人が該当します。専門学校卒の18歳~24歳の若者が多いです。

夢を持っていることが魅力の1つとなり得ます。やりたいことへの熱意や、目標に向かってがんばれる人材であることをアピールしましょう。

職人・フリーランス志向型

職人、アート関係、執筆関係など、自分の技能・技術で身を立てる職業を目指すか、すでにフリーでその職業をしている人が当てはまります。

専門性の高さを就職に活かせないかを考えてみましょう。

やむを得ず型・正規雇用志向型

正社員を希望し就職活動を行ったものの、納得のいく結果が出ないでフリーターになったタイプです。

安定して長く働けることを志向する傾向があり、フリーターに不安を感じている人が大半ではないでしょうか。

正社員として意欲的に働き、長期的に会社に貢献する姿勢が評価対象となります。

期間限定型

学費稼ぎ、入学就業待ちでフリーターになったタイプで、割り切って仕事をする傾向があります。

フリーターという働き方を長期にわたり続ける意思はなかったわけですから、正社員として働く意欲をアピールしやすいでしょう。

プライベートトラブル型

本人や家族の病気、会社の倒産、異性関係の問題などトラブルがきっかけでフリーターになったタイプです。高齢層が多く、社会人経験も高めな半面、仕事量は抑えめな人が多いです。

一定の経験を積んでいることが就職に活きる可能性があります。

 

6.自己PR

自己PRでは、自分の能力が応募先企業にとって役立つことをアピールします。フリーター時代の経験もアピールポイントに加えると良いでしょう。

 

7.面接(服装に注意)

面接時の服装はスーツが基本です。

スーツを持っていない人や、サイズが合わなくなっている人は面接に向けてスーツの準備を進めてください。

 

近年のフリーターはマイナスイメージを持たれがちですが、フリーターが悪というわけではありません。しかし、安定を求めるなどの理由で正社員を目指したいフリーターも少なくないでしょう。

フリーターが正社員を目指す場合は、就職手順を踏まえたうえで、エージェントを利用するなどして成功確率を高めるのが得策です。


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