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仕事を始める前に確認すべし。その仕事の目的はなんだろう

1994年生まれ。埼玉県立川越高校、法政大学文学部卒。ライターが記事を作成する行為は「無から有を生み出す行為」であり、無のときにはなかった価値を提供する意味のある行為と感じている。「膨大な知識量と独自の視点で世の中の潮流を見極めるコンテンツメイカー」を目指して活動中。

8月17日、私は上司から、メールにて以下のような指令を受けました。

「9月7日に会社で全体会議をするから、その時までに5万円位でイケてるプロジェクターを買ってほしい。」

現在弊社で使っているプロジェクターは、明るい場所では見にくく、明かりを消さないと文字が判別できないため、イベントなどでは使いづらいものでした。


(オフィスのライト。これを消さないとプロジェクターの文字が読めなかった)

「こんな仕事ぱぱっとできるだろう。」そう思って引き受けましたが、軽い気持ちで引き受けたこの仕事に、実はビジネスの本質が隠されていたのです。

ただ私がそれに気づくのは、もう少し先の話になります。

 

上司やクライアントからのリマインドはイエローカード

最初にメールをもらってから3日後。上司から再びメールが届きました。内容は先日のプロジェクターを購入する件のリマインド。指示が通っているかどうかの確認でした。

それに対して私は以下のように返信をしました。

お疲れ様です。

リマインドありがとうございます。

プロジェクターはただ今調査中です。
・どのようなスペックで選定するべきか(機能や明るさなど含めて)
・どのような候補があるのか
など、オフィスで利用する場合適切なプロジェクターはなにか、
調査でき次第まとめてお送りいたします!

どうぞよろしくお願いいたします。

これで指示が通っていることが伝わります。

そう思っていましたが、返信の後、先輩から(しかも2人から)この返信に対して指摘を受けました。実はこの返信には問題があったのです。

何が問題か分かりますか?一度読むのをストップして、考えてみてください。

 

この返信の問題点、それは、リマインドの意味をわかっていなかったことです。

リマインドは、本来依頼された人がしっかりと「報連相」をしつつ進めていれば、必要のないものです。

つまり、上司やクライアントなど、仕事の依頼者からのリマインドは、依頼者が進捗状況を心配して連絡をしたことになります。

これは「このまま1人で任せておけないかも」というメッセージで、信頼を失いつつある状態と言う事ができます。

 

私はこのリマインドをもらったタイミングで、「これはまずい」と思わなければなりませんでした。

上司が「大丈夫?」とリマインドをした理由を考えれば、「大丈夫です!」と答えても「どう大丈夫なんだ!本当に任せておけるのか!」となることは明白です。

 

最低限、

  • 9月7日の全体会議までに使用できる状態にするためには◯月◯日までに試運転まで済ませる
  • そのために◯月◯日までに発注を済ませる
  • 発注前に必要なスペックの確認と候補の確認を上司にしたいので、◯月◯日までに候補をお渡しする

という返信をしなければ、失った信頼は取り戻せません。

リマインドを受けることはイエローカードをもらうことと同じです。同じ警告を受けたら次はないのです。

 

「イケてる」の定義はなにか

先輩2人から指摘を受け、これはまずいと思った私は、プロジェクター購入までのスケジュールを上司にお送りし、調査を開始します。

調べていくうちに、プロジェクターの明るさを示す単位は「ルーメン(=lm)」であると知りました。

現状オフィスで使っているプロジェクターの明るさは3000lm。つまり、この数値を上回れば明るいプロジェクターを手に入れられるわけです。


(弊社で使っていたプロジェクター。大きく写そうとすると文字が読みにくくなる)

そう考えた私は、Amazonで5万円程度の3000lmを超えるプロジェクターを探し、4つピックアップして共有をしました。

いずれも3200lm〜3600lm程度。

候補を見た上司も納得した感じで、「この中だったらこれがいいかな」と1つのプロジェクターを選びました。3300lmで5万円程度のモデルです。

 

予算もぴったりだし3000lmを超えているから問題ない。

そう思ってこのモデルを購入しようとしましたが、実はこの進め方、問題があったのです。

さて、どこに問題があったのでしょうか。再び読むのをストップして考えてみましょう。

 

この仕事の進め方の問題点、それは、上司の目的に合わせた進め方ができていないことです。

思い出してほしいのは、上司が求めているのは「イケてるプロジェクター」であって「3000lmを上回る明るさのプロジェクター」ではないということ。

もし明るいプロジェクターを購入したとしても、それを見て上司が「イケてる」と判断しなければ、それは上司の目的を果たしたことにはならないのです。

 

ところが、上司がなにをもって「イケてる」と判断するかはわかりません。つまり私は最初にメールを貰った段階で、上司の「イケてる」の定義を確認する必要がありました。

今回の場合、上司は「9月7日に行う全体会議で参加者がプロジェクターの見にくさにストレスを感じてしまい、上司が伝えたいことが伝わらないことを防ぐ」という目的でプロジェクターを購入しようとしていると考えられます。

つまり上司の「イケてる」の定義は、「上司が伝えたいことが100%伝わる」ということになります。

 

果たして上司の目的は、3300lmで達成されるのでしょうか。

私はプロジェクターに詳しいわけではないので、数字だけでは判断がつきません。ただ、上司の目的が果たされなければ、この仕事を私が引き受けた意味はありません。

 

わからなければ確認するしかない。ということで、その日の夜にビッグカメラ有楽町店に行って自分の目で明るさを確認してきました。

テレビなどが大きなスペースを陣取っている中、その奥にこじんまりとプロジェクターが展示されています。

店員さんに事情を説明すると、いくつものプロジェクターを試しに照射してくれました。結果、3300lmでは明るい室内だとはっきりと文字が判別できないことが分かりました。

色々と検証していく内に、4000ml以上であれば明るい室内でも確実に文字が読めることが発覚します。

 

プロジェクターは高価なので、陳列にチェーンで固定されています。

そのため壁に向かって照射できず、天井に向かって照射して検証していたのですが、4000lmのプロジェクターは、天井のLED照明に向かって照射しても、天井に写った文字が読めたのです。

 

4000lm以上あれば明るい室内でも確実に文字が読めると判断した私は、翌日、4000lmを超えるプロジェクター候補を4つ挙げて上司に提案しました。

提案したものは5万円を超えるものばかりでしたが、私が足を使って集めた情報をもとに、確実に目的を達成できるプロジェクターを提案したので、最終的に上司は約16万円のプロジェクターを選びました。

その明るさは4400lm。まず間違いなく明るい部屋でも文字を読むことができます。


(これが選ばれたプロジェクター)

 

目的を考える

8月27日、プロジェクターが届きました。早速性能を確認しましたが、眩しいくらい明るく、文字もはっきりと読むことができました。

あまりの見やすさに、性能を確認している間、上司は「これはすごい」を連発していました。


(写真を撮ったら明るすぎて周囲が暗く写ってしまった。オフィスのライトは点いている)

9月7日の全体会議当日、オフィスにメンバーが続々と集まってきます。この全体会議は、弊社の事業に関わっていただいている社外の方もお招きしているので、普段の会議とは違う緊張感が漂っています。

社外の方もいらっしゃるので、この全体会議は、弊社のブランドにも関わります。ここでイマイチな会議にしてしまうと、イマイチな印象が社外の方に広まってしまいます。

プロジェクターを購入する仕事は、弊社のブランディングにも関わる問題だったのです。

 

全体会議が始まりましたが、プロジェクターは相変わらず見やすく、会議は滞りなく進みました。無事に役割を果たすことができたのです。

私はプロジェクターを通して、弊社のブランディングに対しても価値貢献することができました。

 

プロジェクターの購入を通して学んだのは、「全ての行動に目的がある」ということです。

上司からのリマインドの目的は「1人で任せても問題ないかどうかの確認」、プロジェクターを購入する目的は「全体会議で伝えたいことが伝わる環境を整えること」でした。

仕事を進める際には、まずは目的を整理することが必要です。そのうえで、目的を達成するためにどんな手段を使うのかを考えていきます。

目的を考えずに仕事を進めようとすると、私のように、リマインドに対する返信が求められる答えにならなかったり、適切でないプロジェクターを購入しようとしたりしてしまいます。

 

人が何かをしようとするときには必ず目的があることを忘れずに、目的から行動を考えることが大切なのです。

 

ないがしろにしていい仕事など存在しない

私はプロジェクターを購入する仕事を、「大した仕事ではない」と思って引き受けましたが、実際は全体会議を成功させるために必要な大切な仕事でした。

 

仕事に、ないがしろにしていいものなどありません。どんなに細かい仕事でも必ず目的があり、企業に貢献できるものです。

 

このように書くと、雑務はどうすればいいんだ、雑務が大切とは思えない、という声が聞こえてきそうです。

広辞苑によれば雑務は「細々した雑多の仕事」と定義されています。つまり雑務とは、小さな仕事という意味であって、雑に扱っていい仕事ではありません

私はたかがプロジェクターの購入という仕事にこれだけの時間と労力を費やしましたが、弊社のブランディングを考えると、そこまでやる価値がありました。

 

皆を笑顔にしたいと思っているあなた。細々した仕事ではなくもっと感謝される仕事をしたいと思っているあなた。

私はプロジェクターの購入という仕事を通じて、全体会議に出席した十数人を笑顔にしました。

 

あなたのその仕事の目的はなんですか?

もし上司が仕事の目的をわかっていなければ、その目的はあなたが決めるのです。

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