生き方

【新聞から読み解く今】仕組みを作って初めて効果を発揮する定年延長策(2018/08/28)

1994年生まれ。埼玉県立川越高校、法政大学文学部卒。ライターが記事を作成する行為は「無から有を生み出す行為」であり、無のときにはなかった価値を提供する意味のある行為と感じている。「膨大な知識量と独自の視点で世の中の潮流を見極めるコンテンツメイカー」を目指して活動中。

段ボール業界大手のレンゴーが、2019年4月より、定年を60歳から65歳に引き上げるようです。これまでは再雇用制度によって65歳まで働ける状態を会社として用意していました。今回の変更に伴って、給与や賞与などの待遇を変更せずに正社員待遇のまま65歳まで働くことができるようになります。

定年を引き上げることによって、新たに数億円の人件費が発生しますが、なぜレンゴーはこのタイミングで定年の引き上げを決断したのでしょうか。

 

理由の1つに、好調な企業業績があります。

その背景には、Amazonを始めとするインターネットを利用した小売業や、フリマアプリなどによる個人間の取引が増えたことによって、段ボールの需要が増加したことがあります。ITイノベーションによって、ペーパーレス化が進んで苦しむ製紙業界と段ボール業界の違いが興味深いですね。

 

レンゴーは、定年引き上げによるシニア層の士気の高まりによって

  1. 人員の確保
  2. 生産性の向上
  3. 若手への技術の継承

などが期待できるとしています。

ただ、単純に定年を引き上げただけで、2や3が期待できるのでしょうか。2や3を実現するためには、定年の引き上げだけではない制度設計が必要です。

例えば

  • 60歳を超えた社員は所属していた部署の教育や若手育成の担当にする
  • それまで育成係をしていた社員は別の仕事をしてもらう

など、シニア層の役割を明確化することで、2や3への道筋が見えてくるのではないでしょうか。

 

もちろん、ぱっと思いつきの例示で解決できるほど、甘い課題ではありません。業界が右肩上がりの今だからこそ、先を見据えた制度設計が必要です。

逆に言えば、単なる定年の延長では、人件費の重石が将来にわたってのリスクになりかねません。掛け声倒れにならない、シニアも若手も中間管理職もみんなが幸せになれる取り組みをレンゴーには期待したいものです。

 

参考

レンゴー、定年65歳に 60歳から延長、給与は維持」(2018/08/27)、日本経済新聞

アマゾン関連株広がる 丸和運輸やオイシックス 中堅にも恩恵 」(2018/08/18)、日本経済新聞

高知の段ボール会社買収 レンゴー、四国で事業強化」(2018/08/08)、産経新聞

 

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