5つの法人の種類・設立方法を知って起業に役立てよう

法人とは?

法人とはいったい何でしょうか?

株式会社や社団法人、NPO法人など、法人とは自然人(法人に対する個人)以外で、法律上の権利義務の主体となるものを指します。

起業という目的のもとで集まった人々や集めた財産などを法人と呼びます。

法人は

  • 公法人と私法人
  • 社団法人と財団法人
  • 営利法人と公益法人と中間法人

などに分かれ、事業を展開する上で税金や信用などのメリットがあります。

 

個人事業主との違いは?

法人と個人事業主の違いは何でしょうか?

事業を始める上で、法人になるには法務局で「法人登記」を行い、税務署に「法人設立届出書」を提出、社会保険事務所に「登記簿謄本」を提出して社会保険加入などの手続きが必要です。

ですが、法人登記をせずに個人事業主のままの場合は、税務署への事業届けなどの手続きはほとんど不要になります。

法人に比べて起業時の費用も掛からず、煩雑な手続きもいりません。

法人と個人事業主の大きな違いは「税控除」の有無です。

個人事業主は個人裁量で事業展開が可能ですが、税負担が大きくなります。

 

法人設立のメリットは?

法人設立には資金や手続きが必要です。

ですが、経費として認められる範囲が広いメリットがあり、税負担も法人のほうが個人の所得税よりも低く抑えられます。

また、資金調達に銀行融資を使う場合、法人組織のほうが借り入れしやすいのです。

 

法人の種類は?

法人の種類

  1. 営業法人
  2. 非営利法人
  3. 公法人

ここでは、実際にどのような法人があるのかをご紹介しましょう。

 

1.営利法人

法人で最も多いのが「営利法人」で、株式会社も含まれます。

営利法人の目的は、法人を構成する人々に利益を分配することです。

構成員は株式会社でいう「株主」に値します。

 

2.非営利法人

非営利法人とは、営利を目的としない法人で「公益法人」「NPO法人」「中間法人」などが該当します。

特徴は、収益を構成員に分配せずに、活動自体に還元することです。

もちろん社員へ給料を支払いますが、事業には制約があります。

 

3.公法人

公法人とは「国」や「地方公共団体(都道府県や市町村)」「独立行政法人」などが含まれ、公的な事務作業を行う法人を指します。

 

起業で検討する5つの法人の形

法人の形5つ

  1. 株式会社
  2. 合同会社
  3. 社団法人
  4. 財団法人
  5. NPO法人

起業を検討する場合、どういった法人格を考えればいいでしょうか?

ここでは、一般的な5法人をご紹介します。

この5法人はいずれも「出資者が追う責任が限定的」なのが特徴です。

もし、倒産した場合に出資額限度で責任を負うのがこの5法人ですが、合名会社と合資会社の場合は「無限責任社員」が存在します。

 

1.株式会社

一次産業(農林水産業)を除く、全国380万社のうち株式会社数は最も多い204万社あります。

数が多い分、社会的認知度があり、取引での信用度が高い法人形態です。

出資者は出資額に応じた株式を取得し、利益があればその一部を配当として受け取ります。

会社資金調達がしやすく、発行株式が増えれば出資者も多くなります。

そのため、筆頭株主が会社経営に口を出すケースがあります。

株式会社には会社規模にかかわらず、決算時に決算公告の義務があります。

これは自社HPでの掲載でも可で、取引や銀行融資でも大事な資料です。

 

2.合同会社

合同会社(LLC)は、2006年会社法の改正で登場しました。

株式会社と違い、外部の株主が存在せず「出資者(株主)」と「取締役(役員)」は同じ人になります。

そのため、個人事業主からステップアップするケースとして増えています。

また、外資系企業の日本子会社が合同会社を選択する例があります。(Google、西友など)

決算公告も不要、出資者=経営者となり、外部からの出資は受け入れられません。

 

3.社団法人(一般・公益)

社団法人には「一般社団法人」と「公益社団法人」があります。

「一般社団法人」には事業の制限はなく、社員は個人2名以上、法人や団体も可能です。

法人設置の手続き費用は安く、拠出金ゼロ円からでも設立可能です。

株式会社のような利益分配を行わないだけで、利潤追求、役員や社員への給与支払いなどは他法人と同じ仕組みです。

「公益社団法人」は一般社団法人から都道府県若しくは内閣府に公益認定申請を行い、認定されてなれる法人になります。

国から高い税制優遇措置を受けられますが、認定基準を維持することが前提です。

歌舞伎役者の集まり「日本俳優協会」などが有名です。

 

4.財団法人(一般・公益)

「一般財団法人」の設立には、300万円以上の金銭が必要です。

活動内容や公益性などが問われないところは一般社団法人と同じです。

美術館のような「寄贈」された美術品の公開を行う活動などで収益を得る一般財団法人が広く知られています。

「公益財団法人」は公益社団法人同様、関係各所にて認定された法人で、税制優遇措置があります。

「日本相撲協会」などが有名です。

 

5.NPO法人

「特定非営利活動法人」の略称がNPO法人です。

20の特定分野に該当する活動で起業でき、 利益追求が可能です。

税法上の収益事業を行っていなければ法人税・法人住民税の免除制度があります。

法人設立するために様々な条件がありますが、「資本金」「登録免許税」「定款認証手数料」などの費用は不要です。

 

無限責任と有限責任(合名会社、合資会社について)

合名会社は「無限責任社員」、合資会社の場合は「無限と有限の責任社員」で構成される法人です。

責任問題が発生する事案では、法人倒産の際に出資分だけを負債すればよい社員が「有限責任社員」、負債総額が出資額を超えた場合で
も全額弁済しなければならないのが「無限責任社員」です。

 

法人設立にはいくらかかる?

法人設立は、「資本金」「登録免許税」「定款認証手数料」などの費用が必要です。

費用を安くしたい場合はオンラインによる「電子定款」で定款認証手数料の印紙代4万円を浮かすことも可能ですが、ソフト代金はかかります。

設立費用は株式会社で24万円~、合同会社で6万円~、NPO法人が数千円~です。

一般社団法人と一般財団法人はともに15万円~を見ておきましょう。

 

決算公告について

会社では、年1回事業年度の決算報告書を作成します。

決算とは「企業の1年間の収入と支出を計算」して「利益と損失を数字にまとめた」もの。

目的は「税務署」「株主」「取引先」「金融機関」などに会社の収支内容や資産状況を開示することです。

株式会社の場合は「公告」という形で公にする義務があります。

官報や新聞掲載のほか、電子公告(企業HPに掲載)という形で掲載する方法があります。

 

合同会社は決算公告の義務がない

決算はどの法人も行いますが、合同会社には公告の義務がありません。

理由としては、株式会社に比べて数が少ないこと、資金調達方法が少ないため、決算報告書で十分という見方ができるでしょう。

ただ、株式会社よりも見劣りする信用力を高めようと公告を行う会社も存在します。

 

資金調達について

資金調達の方法

  1. 金融機関から借りる
  2. 社債を出す
  3. 株を発行する

法人運営に必要な資金調達方法にはどんなものがあるのでしょうか?

大きく分けて3つある方法をご紹介します。

 

1.金融機関から借りる

まず、銀行や信金、信組などからの融資です。

金融機関から資金を借りる場合、その収益力や返済能力に応じて金利が変動します。

法人は事業内容に応じて借り入れと返済を続けることがよくあります。

 

2.社債を出す

社債は、主に中長期の資金融資が受けられない場合に有効です。

起業して間もない場合や法人規模が小さい場合は「少人数私募債」を発行し、会社関係者や縁故関係者に債権者になってもらう方法があります。

社債は金融機関融資と違い、返済方法をある程度自由に決めることができます。

ちなみに、合同会社でも社債発行は可能です。

 

3.株を発行する

株式の発行は自己資本を増やす方法の1つです。

株式会社では株主総会や取締役会の決議で発行条件(発行総額、発行株数、額面など)を決めます。

株式は紙面による株券発行がないため、株券の盗難などの心配はありません。

注意点は増資の際に株式発行総数を限定しておくことです。

第三者が買い占めることで経営権が揺らいでは本末転倒になってしまうからです。

 

合同会社には「株式」という概念がない

株式会社と合同会社の大きな違いが資金調達方法です。

株式会社は多額の資金調達が必須のため株式を発行するのに対し、合同会社の事業は、株式概念はありません。

合同会社の資金調達について見てみましょう。

 

合同会社の資金調達

新規の場合は政府系金融の「日本政策金融公庫」が実績を持っています。

合同会社の資金調達は、金融機関から借りるか、社債を出すかの2通りです。

地銀や信金なども融資対象ですが、金利面では地銀のほうが安く済みます。

社債は「少人数私募債」が有効です。

 

株式会社と合同会社の共通点

法人形態 営利企業
責任 有限責任
設立時の最低資本金 1円
設立時の必要人数 1名から
社会保険の加入義務 あり
社員数制限 なし

株式会社と合同会社の共通点は次の通りです。

 

株式会社と合同会社の違い

株式会社 合同会社
株式 利用可能 利用不可
決算公告の義務 あり なし
所有と経営 分離 一致
設置規定 あり なし

株式会社と合同会社の主な違いは次の通りです。

 

財団法人と社団法人について

5つの法人のうち、財団法人と社団法人はともに「一般」「公益」の二つがあります。

順番に見ていきましょう。

 

一般と公益

「一般」と「公益」の違いは、次の通りです。

公益が「社会全般」「不特定多数」といった範囲の利益追求であるのに対し、「一般」は公益目的にこだわらないで事業を行い、利益を求めることです。

一般社団法人は株式会社に近いのですが、株式配当といった「剰余金の分配」がありません。

法人としての「一般」と「公益」の一番の違いは、税制です。

公益法人の場合、収益事業が公益目的と認定されれば非課税扱い、みなし寄附金制度の適用や金融収益非課税措置もあります。

一般の法人にはこのような制度はありません。

 

一般財団法人から公益財団法人に移るための流れ

一般社団法人から公益社団法人、一般財団法人から公益財団法人に移るための流れは次の通りです。

  1.  一般法人として活動する
  2. 申請書類を作成する
  3. 行政庁に申請書類を提出する
  4. 行政庁による審査(定款審査)を受ける
  5. 公益等認定委員会(=民間有識者で構成される国や都道府県の公益認定等委員会、合議制)による審議
  6. 認定を受けた後、移行登記を行う

上記のように、まずは一般として活動して申請・認定を経て公益になるのが一般的な流れです。

 

公益認定とは?

公益認定とは一般法人が公益認定を受け、公益法人になる事で、毎月公益設定等委員会で報告されています。

公益の認定を受けるには「公益性」が条件となり、公正な運営かどうか、社会的認知度が高い規模かどうかなど厳しいチェックをされ、ようやく認定を得ることができます。

 

公益認定を受けるとどうなる?

公益法人は社会的信用も高く、寄附や事業遂行に安定感が生まれるメリットがあります。

また、税制面での優遇措置が高いことも特徴です。

認定を維持するには、毎年行政庁への定期提出書類の作成と報告が必須です。

理事会はコンプライアンスを守り運営し、公益法人会計基準に沿って財務諸表を作成しなければなりません。

 

法人一覧表

株式会社 合同会社 社団法人 財団法人 NPO法人
設立費用 22万~25万円程度 7万~11万円程度 11万円程度 11万円程度 数千~20万円程度
設立にかかる期間 2~3週間程度 1~2週間程度 2~3週間程度 2~3週間程度 5~8カ月程度
設立時の必要人数  1名以上 1名以上 2名以上 1名以上 10名以上
法人の目的 営利 営利 非営利 非営利 非営利
資本金の最低額 1円以上 1円以上 なし 300万円以上 なし
設立難易度 易しい 難しい
登記のポイント 電子定款を利用する方法があり。

印紙代は不要だが、定款用のソフトが必要。

電子定款を利用する方法があり。

印紙代は不要だが、定款用のソフトが必要。

電子定款でも費用は発生。 電子定款でも費用は発生。  登記費用は不要だが、書類作成に時間がかかる。専門家に依頼するケースが多いが、個人でも可能。
知名度  高い  低い  低い 高い
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