オピニオン

育休制度を哲学する。手当や期間もご紹介。

1983年生まれ東京都在住。青山学院中等部・高等部卒。 慶應義塾大学総合政策学部にて、国際政治学を専攻。 卒業論文で学部優秀論文賞(SFC AWARD)受賞。 2006年住友商事に入社し、海外駐在を含めた実務経験から 様々なビジネスの知見を得る。 現在、歴史を軸にしたコンテンツ作成者として活躍中。 冷徹な分析力で現代社会とビジネスを診断する。

育休は前進である

2026年、ついにサグラダ・ファミリアが完成すると言われています。着工は1882年。実に144年の歳月です。

人生100年時代と言われますが、100歳まで生きたとしても、1世代ではサグラダ・ファミリアを作り上げることはできません。同じように、私達の文化や歴史は、何世代にもわたって紡がれてきました。

たくさんの世代を跨ぎ、文化や歴史を次の世代へと継承していく。こうして私達は長きにわたって発展してきたのです。

その意味で、子育てとは、次の世代にバトンを渡すための育み、と言う事もできます。そしてその育みの場を創出する制度として育休(=育児休業)があるのです。

 

ところが今の日本では、少子化が問題となり、いざ子どもが生まれても、夫が育休を取りづらいなど、ネガティブなイメージが付きまといます。

Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグが育休を取得したことが一時期話題になりましたが、日本では特に、育休はキャリアを中断しなければならないものである、という発想が目立つように思います。

 

育休のネガティブな面ばかりに目がいきがちですが、メリットにも着目してみてください。

BraveAnswer編集部では、育休を「就職した人が1度職場から離れた時間を持つことが出来る貴重な期間」と捉えています。

1度就職すると一生働き続けなければならない、と考えている人もいると思いますが、育休制度を使えば、家族と過ごす時間を確保できるだけでなく、これからのキャリアについて考え、行動する時間も同時に持つことが出来るようになるのです。

育休期間を使って、資格やMBAの勉強をしたり、スキルを磨いたりする方法もあります。

 

ただそのためには、しっかりとキャリアプランを作り上げておく必要があります。無計画に育休を取得しても、その期間を有効に活用できません。

育休期間中に何をするのかを明確にできたら、堂々と育休を取りましょう。自分の人生を考え続ける限り、キャリアを中断したことにはなりません。

育休もキャリアプランの一部。成長し、前進していく1つの要素です。育休はポジティブな要素も多分に含んでいるのです。

 

広辞苑によれば哲学とは「物事を根本原理から統一的に把握・理解しようとする学問」のことですが、育休をキャリアプランに組み込むためには、まさに育休について根本から考えていくことが大切です。

私達には育休を哲学することが求められていると言えます。

 

育休を哲学するためには、まず育休がどのようなものか知る必要があります。この記事では、育休について詳しくまとめています。

育休という制度をしっかりと理解して、キャリアプランに組み込んでみてください。

 

そもそも育休とは?

育休とは、育児のために休職することです。

原則として、正社員でも非正規でも働いているすべての人に国が認めている権利です。しかし、育休には現在も様々なハードルがあり、法整備も現在進行形で改善が進められています。そのため満足のいく育休を取得するためには正しい情報を知っておく必要があります。

育休について正しい情報を知ることで、人生の一大イベントでもある子育てをより豊かなものにしていきましょう。

 

「育児休暇」と「育児休業」の違い

育休には

  • 「育児休暇」
  • 「育児休業」

の2種類あることをご存知でしょうか。同じ「育休」という言葉でも両者には違いがあります。

育児休暇

「育児休暇」とは法的に定められた制度ではありません。育児のために休暇をとることではありますが、企業に定められている通常の休暇を取得して、その時間を育児に使うということを指しています。

育児休業

一方で「育児休業」は、育児介護休業法によって定められた休業制度のことです。一定の条件を満たすことで取得できます。こちらは通常の休暇とは違い、育休中に「育児休業給付金」と呼ばれる給付金が支払われることになります。

 

育児介護休業法とは

「育児介護休業法」とは、育児や家族の介護を行う労働者が仕事と家庭生活の両立を支援する目的で作られた法律です。福祉的な意味合いもありますが、少子高齢化が進むなかで、子どもや介護を必要とする家族を持つ人が仕事を続けていけるように設けられた制度なのです。

育児休業はこの法律にのっとって、1歳に満たない子を養育する労働者が事業主に申し出ることにより、休みを取得できる仕組みになっています。

 

育休を取得できる期間は?

育児休業は、基本的に子どもが1歳になる前日までであれば希望の期間を取得できます。

女性の場合は産後休業(出産日の翌日から8週間)終了日の翌日から、男性の場合は子どもが誕生した日から取得可能です。

原則的に子どもひとりにつき1回取得することができます。

期間については「育休期間はいつまで?取得までの流れを解説!に詳しくまとめていますので、併せてご覧ください。

パパママ育休プラス

2009年の育児介護休業法の改正時に制定されたパパママ育成プラス制度を利用すれば、両親がそれぞれずらして育休期間を取得することで、最大子どもが1歳2ヶ月になるまで育児休業期間を延長することができます。

改正を重ねる育児介護休業法

基本的に育休期間は子どもが1歳になるまでですが、以下の事情がある場合は1歳6ヶ月まで育休期間を延長することができます。

  • 保育所への入所を希望し、申し込みをしているが入所できない場合
  • 配偶者の死亡、負傷、疾病などのやむを得ない事情により、子供の養育が困難になった場合

さらに育児介護休業法が改正され、2017年の10月からは子どもが1歳6ヶ月になっても保育園に入れない場合はさらに2歳まで延長することが可能になりました。

育休を延長する制度については、「育児休業等取得者申出書とは?育児休業給付金の申請との違いは?」に詳しくまとめましたので、併せてご覧ください。

 

育休を取得できる条件は?

育児休業は、基本的に1歳未満の子どもを養育する労働者に認められる権利です。正社員、契約社員、派遣社員、1年以上勤務実績のあるパート社員などに認められています。ただ、日雇い労働者には認められていません。

条件を満たしている労働者が雇用主に育児休業を申請すれば、雇用者は拒否することはできません。

育児休業に入る1ヶ月前までに書面で申請する必要があるので期限をしっかりと把握しておきましょう。また、1歳から1歳6ヶ月の間に育休を取得する場合は、休業開始日(子ども1歳の誕生日)の2週間前までに申請すれば大丈夫です。

 

育休からの復帰について

育休からの復帰後は、育休前とは生活パターンが変わることを意識しておきましょう。育児をしながらの仕事の流れをあらかじめ考えておくのも大切です。

また、職場への復帰報告をしっかりと行うことも忘れないようにしましょう。

 

育児休業の現在の状況は?

上記のように、育児休業の制度の整備が進んでいるのは、社会的な背景があります。

バブル崩壊後、働き方が多様化が進み、女性の社会進出が当たり前になりました。その中で育児介護休業法が成立され、育児をしながら仕事を続けたいという人が増えているのです。

(厚生労働省「平成28年度雇用均等基本調査」より)

 

人口減少

政府が中心となって育児休業取得率の向上を進める背景には、人口減少にともなう労働力不足の問題があります。

日本の総人口は減少トレンドです。働きたいけれども様々な事情で働けない人のために、働きやすい環境を整えることで、眠っている労働力を活性化する必要があるのです。

 

企業の社内環境

育児休業取得率の向上には、社内環境を考えることも必要です。

マタニティハラスメントと呼ばれる、妊娠や育児、育休などを理由にした不当な解雇や降格、配置転換などを強いられる場合があるからです。

育児介護休業法の整備が急務となった背景にはこのような社内環境があるのです。

社内における育児を推進する企業も増えてきているので、今後の動きに注目が必要です。

 

待機児童問題

都市圏を中心とした待機児童問題も、育休とは切っても切り離せない問題です。

共働き夫婦の増加に伴い、保育園に入りたくても入れない待機児童が増えています。2017年の育児介護休業法の改正による育休期間の延長には、このような背景があるのです。

 

育児休業給付金とは?育児休業の給料はもらえる?

育休期間中は会社から給与が支払われることはほとんどありません。その間の家計のやりくりはどうすればいいのでしょうか。

そんな時に嬉しい、育児休業給付金というものがあります。

 

育児休業給付金とは?

育児休業給付金とは、育児休業期間中の両親に生活保障金として雇用保険から支払われるお金です。

 

受給資格は?

育児休業給付金を受け取るには一定の条件を満たしている必要があります。

育児休業給付金をもらえる人の条件

  • 雇用保険に加入している
  • 育休期間中に、休業開始前の給料の8割以上の賃金が支払われていない
  • 育休前の2年間のうちで、1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
  • 就業している日数が各支給単位期間のうち10日以下である

以上の条件を満たしていれば、正社員でなくでも育児休業給付金を受け取ることができます。

育児休業給付金をもらえない人の条件

  • 雇用保険に加入していない
  • 妊娠中に退職する人
  • 育休開始時点で、育休後退職する予定の人
  • 育休を取得せず職場復帰する人
  • 申請期間と過ぎてしまった
  • 1週間に2日以下しか働いていない

雇用保険に加入していなければ育児休業給付金を受け取れないので、雇用保険のない自営業者などは注意が必要です。また、産後退職する予定の母親にも受給対象になりません。

2人目、3人目はタイミング次第でもらえない場合があるので注意

育休期間中に2人目、3人目を妊娠した時の育児休業給付金はどうなるでしょうか。

1人目の育休から2人目の育休(もしくは2人目の育休から3人目の育休)の間に1年以上働いていると問題ありませんが、1人目や2人目の育休期間を延長していると、育児休業給付金を受け取れない可能性があります。

 

社会保険料は免除される

雇用保険に加入している被保険者であれば、育児休業期間中は社会保険料は免除されます。これは本人だけでなく事業主の負担も免除されます。

社会保険料の免除は育休の申請とは別に申請が必要になるので、忘れないようにしましょう。

この仕組みは、育休を取得する人であれば女性にかぎらず男性も取得できるので、手続きをしておくのがおすすめです。

 

育児休業給付金ではいくらもらえる?

では、育児休業給付金は実際にはいくらもらえるのでしょうか。詳しく見ていきいましょう。

支給額の計算方法

育児休業給付金の支給額の計算方法は最初の180日間とその後で違います。

ひと月の計算で見ていきましょう。

育休開始から180日 月給×67%
それ以降 月給×50%

例えば、月給20万円貰っていたとします。そうすると最初の180日間は月に13万4000円、それ以降は10万円もらえることになります。

(正確には育休開始前6ヵ月の給料を180日で割り、「休業開始時賃金日額」を算出したうえで、支給日数をかける計算になります。)

 

つまり、10ヶ月育休を取得したとして、

134,000円×6ヶ月+100,000円×4ヶ月=120万4,000円

という計算になります。

ご自分の場合に当てはめて計算してみましょう。

 

上限額と下限額

育児休業給付金の賃金月額には上限と下限があります。

  • 上限額:424,500円
  • 下限額:68,700円

上限額や下限額を超えた場合は、上記の額で計算されることになります。

 

いつ支給される?

支給開始はバラツキがありますが、だいたい育休開始から2〜3ヶ月後です。

1回に2ヶ月分ごとの支給となっています。

1ヶ月は30日で計算されます。(2月のような28日の月や31日ある月であっても)

 

また、1度手続きすればいいのではなく、2ヶ月に1度支給手続きが必要なので、忘れないようにスケジューリングしておきましょう。

 

手続きの方法は?

基本的に育児休業給付金の手続きは会社が行ってくれる場合が多いようです。産休、育休の予定を会社にあらかじめ伝えておくとスムーズでしょう。

その上で、1ヶ月前までに「育児休業給付金支給申請書」と「育児休業給付受給資格確認票」を会社に提出する必要があります。また、前項で書いたようにこちらの書類は2ヶ月に1度提出の必要があるので注意しましょう。

 

育児休業期間中も短期ならばアルバイトができる

育児休業期間中も必要であればアルバイトができることも覚えておきましょう。

勤務日数が月10日以内かつ、労働時間が80日以内であれば、臨時に出勤することができます。引き継ぎなどで出勤が必要になった場合も働くこと自体は禁止されていないのです。

 

育児休業給付金をもらえる期間は?

育児休業給付金をもらえる期間は育児休業期間と同じで、基本的に1年間です。

ただ以下の条件を満たすと期間を延長することができます。

  • 配偶者の死亡や怪我、病気などで養育が困難な場合
  • 保育所の入所待ちがある場合
  • 婚姻の解消などにより配偶者が子供と同居しない場合
  • 6週間以内に出産する予定または、産後8週間を経過しないとき

 

育休延長手続きの方法は?

所定の育休期間に保育園に入れない場合などは、申請をすることで育休の期間を延長することができます。

 

申請に必要な書類は?

保育園の落選を証明する必要があります。落選した場合には、

  • 入所申込書のコピー
  • 入所不承諾通知書
  • 育児休業延長申込書

を会社に提出、もしくはハローワークにて手続きする必要があります。

保育園の入所申込書のコピーは忘れないようにしましょう。

また、社会保険料の免除申請も同時に必要になります。確認を忘れないようにしましょう。

 

育休延長の流れ

育休延長の手続きは、子どもの誕生日と保育園入園当落選発表時期を考慮する必要があります。子どもの誕生日によっては当落選発表日からまもなく育休期間が終了してしまうことがあります。

保育園に入れずに育休期間が終わってしまわないように、保育園の保留通知書が送られてきた時点で会社に提出しましょう。

2017年に育児介護休業法が改正されたことにより、最大1年間育休期間を延長することができます。

 

2年延長するときに注意したいところ

2年延長するときには、会社との調整は欠かすことができません。会社の方でも急な延長ですと人員確保が難しくなるからです。

2年になることで、1年多く子どもと過ごすことはできるようになりましたが、キャリアから外れてしまう可能性がまだまだあるということは覚えておきましょう。

また3人目の場合は、延長をしていると育児休業給付金をもらえない場合があるので事前に夫婦で計画をしっかりと立てるようにしましょう。

 

妊娠出産時にもらえるお金は他にもあるので活用しましょう

育児休業給付金の他にも妊娠出産時にもらえるお金がありますので、知っておきましょう。

 

妊婦検診の「検診チケット」

「検診チケット」は母子手帳と一緒にもらえる

  • 「妊婦健康診査受診票」
  • 「妊娠チケット」
  • 「補助券」

などの検診が無料になるチケットのことです。

妊婦健診は基本的に自費ですので、こちらのチケットをうまく活用するようにしましょう。

自治体によって枚数などが異なりますので、お住いの自治体に問い合わせてみましょう。

 

出産育児一時金

出産育児一時金は、加入している健康保険から支払われる助成金です。

専業主婦(夫)などの、企業で働いていない人ももらえます。

 

出産手当金

出産手当金は、健康保険料を自分で払っている人を対象に産休取得中に支払われるお金です。

 

出産祝い金

自治体や会社、生命保険などによっては出産祝い金が出る場合があります。

 

児童手当

子どもが中学生を卒業するまでもらえる手当です。

子どもが生まれたら申請を忘れないようにしましょう。

 

失業給付金

失業給付金は転職活動をしていることが条件ですが、妊娠・出産を理由に退職した場合はすぐに転職活動をすることができません。

受給期間延長の手続きをしていると最大4年まで、受給期間を延長することができます。

 

児童扶養手当金と児童育成手当金

ひとり親を支援する仕組みも各自治体で用意されています。所得制限はありますが、申請することで助成金を受け取ることができます。

 

男性の育休について

男性が育休をとることがニュースになるなど、まだまだ男性の育休は当たり前ではないのが現状ではないでしょうか。

ここで男性の育休について考えてみたいと思います。

 

男性が育休を取りにくい理由

男性が育休が取りにくい理由としては、

  • 出世コースから外れてしまう
  • 人員の不足
  • 迷惑をかけるので相談することもできない

などが考えられます。

これは男性特有の理由ではなく、女性にも当てはまることですが、女性よりも男性の方が育休をとっていない現実があります。

 

育休は男性も取得可能

法律的には1991年から男性の育休が認められています。

仮に、勤めている企業に男性の育休制度がないとしても、申請することにより、男性でも育休を取得することができるのです。

残っている問題は、社内の風土であることがわかります。

 

男性と女性の育休取得率

厚生労働省「平成 28 年度雇用均等基本調査」によると、女性の育休取得率は81.8%です。それに対して男性の育休取得率は3.16%です。

上昇傾向にはありますが、まだまだ男女間に差があることがわかります。

 

男性が育休をとるために

育休の制度が整っていく中で、男性も育休を取りたいと考える人も増えているのではないでしょうか。

普段から社内でのコミュニケーションをとることや引き継ぎをきちんと行うなど、男性の育休についての前例を多く作っていくことで、男性の育休が普及していきます。

制度は整ってきていますので、ひとりひとりが勇気を持って自分の希望を実現していくことで、男女がより協力して子育てできる状況が広まるのではないでしょうか。

 

両立支援助成金について

政府は育休の普及を後押しすべく、仕事と家庭の両立に取り組む企業に対しても助成金を出しています。

 

企業にもメリットを

6種類の助成金を用意して、企業にもメリットを出すことで、育休の普及を目指しています。

特に育児支援に関係のあるものは以下の2つです。

  • 出生時両立支援コース
  • 育児支援休業コース

事業者が、仕事と家庭の両立に取り組むことで助成金が出ることを把握しておきましょう。

 

育休中にリモートワークで働く人も出てきている

キャリアは会社で働いている期間だけをさす訳ではありません。育休期間の子どもを育てて触れ合う経験が次のキャリアに進めてくれる事もあるでしょう。

また、まとまって現在の仕事以外に時間を使う事も中々ないのではないでしょうか。育休中にスキルを得て在宅ワークを行う人も増えてきています。

現在の仕事とはまったく別の分野に目を向けるチャンスになるかもしれません。

今では、女性のためのスクールなどもあります。

主婦・ママ限定のWebデザインコース【WebCamp】

 

育休はキャリアの中断ではなく、キャリアの一部です。

育休をどう活かすのか。

育休を学びの時間と捉えれば、人生にプラスとなる行動が見つかるのではないでしょうか。

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