20代におすすめの転職エージェント全15選!選び方は?そもそも使ったほうが良い?転職サイトとの違いは...
2018.1.25
2018.1.25
Forbesの日本人長者番付で2017年に12位にランクインした日本電産の創業者である永守重信氏は、「2000年に日本電産の売り上げが1000億円を超えた際に、2010年に売り上げ1兆円を達成すると宣言した」と、東洋経済オンラインに掲載されたインタビューで述べています。
10年で売上10倍、毎年1000億円の売り上げ増加ができなければ達成できない目標です。普通に考えれば、こんな目標無謀ですよね。
永守氏自身も同インタビューで「目標はだいたい根拠のないホラから始まっています」と語っています。
実際はどうだったのか。
日本電産の有価証券報告書を確認すると、2010年での達成はできませんでしたが、遅れること4年、2015年3月の決算(2014年度)で売上高1兆円を達成しました。
期間内には達成できませんでしたが、金額の目標はしっかりと達成しています。
これがもし、2010年までに売上高2倍、2000億円を目標にしていたらどうだったでしょう。目標は達成できたかもしれませんが、売上高はおそらく今よりも低かったのではないでしょうか。
ユニクロなどを傘下に持つファーストリテイリングの柳井正氏は、2005年の段階で「2010年の決算までに売上高1兆円」を目標としました。
有価証券報告書を確認すると、2005年の段階でファーストリテイリングの売上は3839億7300万円。5年で売上高が3倍にならなければ達成できない目標です。
実際は2010年の決算の段階で売上高8148億1100万円。目標達成はできませんでしたが、5年間で売上高4000億円以上の増加という驚異的な数字を残しました。
そして2013年の決算で、売上高1兆円を達成しています。
日本電産の永守重信氏も、ファーストリテイリングの柳井正氏も、不可能と言われてもおかしくないような数値目標を設定していました。
期限内での達成はできなかったものの、両者とも数年遅れで目標を達成しています。届きそうな目標ではなく、はるか先に目標をセットする。彼らは、それを追いかけることで会社を成長させていったのです。
柳井氏は現在、2020年に売上高5兆円を目標に掲げています。これはまた途方もない目標です。ただ、柳井氏なら数年遅れ程度で達成してしまうのではないか、と期待感が持てます。
柳井氏は目標達成のために、海外にあるユニクロの店舗数を2009年の846店舗から4000店舗に拡大する計画を立てています。2015年の毎日新聞のインタビューではこの目標について、道筋は見えたと語っていました。
また同インタビューでは、以下のような発言をしています。
「5兆円」を掲げた当初はみんなびっくりしていましたが、世界の人口は将来80億人になるわけですよね。市場が日本の1億2000万人から80億人になると考えたら、売上高5兆円ぐらいにならないといけない。出典:毎日新聞
ここで大切なのは、目標があって、それを達成するために手段を考えている、ということです。この順番は逆にはなりません。手段があり、そこから目標を考えるという順番にはならないのです。
手段だけ持っていても、目標がなければそれをどうやって使っていいかわからないですよね。
柳井氏の場合、売上高5兆円という目標があり、そのために市場を拡大する必要があるため、海外店舗を増やす、という構造になっています。
これが「海外店舗を増やす」という手段が先に立った場合、「いつまでに何店舗増やすのか」「どこに出店するのか」などがわからなくなってしまいます。目的がはっきりしていないと、手段をどのように活用すればいいのか不明確になってしまうのです。
必要なのは「有言実行」。つまり目標を宣言(=有言)してそれに向かって計画を考えて実行すること。これが目標を明示しない「無言実行」だと、後から見返して検証することができなくなってしまいます。
見返すことが出来ない、つまり検証することが出来ないということは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Act(改善)」のPDCAを回すことが出来ないということに繋がります。
無謀と思われても、達成したい目標をまず設定し、そこに向かって実行する。この順番で計画をたてるのが、目標を立てる大前提です。
「2020年までに売上高5兆円」という目標があって初めて「海外出店」という手段が必要となり、「海外店舗を4000店舗に増加する」という計画が可能となるのです。
古代ローマの英雄ユリウス・カエサルは、「人間はみな自分の見たいものしか見ようとしない」という言葉を残しています。基本的にはネガティブな意味で引き合いに出されるこの言葉ですが、裏を返せばこの言葉は「見えたものこそ見たいものである」と言う事もできるのではないでしょうか。
つまり、自分で目標を明確にして可視化しなければ、その目標はいつまでも達成したい目標にならないということです。そして、目標として具体化して、本気で達成しようと取り組むことが大切なのです。
H.G.ウェルズとともにSFの開祖と言われるフランスの小説家ジュール・ヴェルヌは、「人が想像することは、必ず人が実現できる」という言葉を残しています。
私達が想像できることは全て私達の手で実現できる。目標も、私達が想像したことです。つまり私達の手で実現することができるのです。
実際に人間は、想像したことを実現してきました。
1989年公開の名作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズの2作目は当時から見た未来がテーマですが、そこには履いた人の足に合うように自動で靴紐が締まる靴が描かれています。2017年9月、NIKEが同様の機能を持つ靴を発売しました。
2004年公開の映画「アイロボット」は、AIが発達した未来がテーマです。この映画にはハンドルがない自動運転の自動車が登場します。今年に入ってゼネラル・モーターズが、ハンドルもペダルもない自動運転の自動車の発売を2019年に予定していることを発表しました。
ライト兄弟はきっと空飛ぶ自分を想像したでしょうし、グラハム・ベルは遠くの人と会話する自分をイメージしていたと思います。
人が想像することは人の手によって実現可能なのです。
正しく目標を設定することができれば、実現への道筋もみえてきます。
ここまで、想像することができれば実現することができる、ということを説明してきました。
それでは、例えばタイムマシンはどうでしょうか。
先ほど例に上げたバック・トゥ・ザ・フューチャーにも「デロリアン」というタイムマシンが登場しますし、国民的アニメ「ドラえもん」にもタイムマシンは登場します。H.G.ウェルズは、1895年に「タイムマシン(原題:The Time Machine)」という小説を発表しています。
人々は昔からその存在を想像してきたのです。にも関わらず、今に至るまでタイムマシンは発明されていません。
天才物理学者スティーブン・ホーキング氏は、かつて「我々の時代に未来からの観光客が押し寄せたことはない」としてタイムマシンの実現に否定的な見解を示していました。
ただこの主張には、こんな反論の仕方が考えられます。
例えば、時間の可逆性の限界説。つまり、遡れる時間には限界があり、現在はタイムマシンの発明時点から遡れる時間の範囲外にいるためにまだ来ることが出来ないという説。
既にタイムマシンにのって未来から来た人は存在するが、私たちに見分ける力がないために未来から来た人はいないかのように扱われている、という説もあります。
また、近年ホーキング氏は、タイムマシンについて明言はしていないものの、タイムトラベルは理論上は可能である、という発言をしました。
ここで言いたいのは、タイムマシンが実際に可能かどうかではありません。
目標を設定するにあたって、既存の概念にとらわれ、達成したい目標が達成できないことへの逃げ道に使っていないか、ということです。
私たちは想像することができれば実現可能性について検討することが出来ます。目標を設定することができれば計画をたてることが出来ます。
ただそれを、「この目標は不可能に違いない」という固定観念にとらわれて、より達成しやすい目標に変えてしまっている人もいるのではないでしょうか。
もしかしたら、ある一面においては不可能に見えるかもしれませんが、タイムマシンの例のように、見る角度を変えれば違う答えが見つかるかもしれません。
見方次第で不可能が不可能ではなくなることがあるのです。
実現したい目標があるのであれば、目標までの道筋を様々な角度から検証する必要があります。
タイムマシンに比べると、永守氏や柳井氏の目標は現実的です。タイムマシンのように、まだ技術も確立できていない状態で完成後の運用までイメージしているわけではありません。
現実的ではありますが、すぐ届く目標ではなく、はるか遠くに目標設定をしています。目標設定にあたって、実現可能性は考慮されていません。目標を高く設定して、それを目指して行動することに意味があるのです。
高い目標に向かって行動すれば、そこに到達しようとして大きく成長することが出来ます。
目標は必要以上に低くしてはいけません。一見不可能に思えるようなストレッチした目標を設定してみてください。
高い目標を設定したら、その目標を噛み砕いて計画を立て、1つ1つ仕組み化してこの1年を過ごしてきましょう。こちらの記事でまとめたように、仕組み化することで、継続的に行動できるようになります。
時間は常に流れています。誰も止めることは出来ません。その意味で、私たちは一方向に流れるタイムマシンに乗っていると言うことも出来ます。
行き着く未来は、会いたかった自分でしょうか。それとも、今のまま変わらない自分でしょうか。
目標のボールを遠くに投げて、未来の自分に会いに行こう。時間というタイムマシンに乗って。