オピニオン

それでも私はサンタクロースを信じている

1983年生まれ東京都在住。青山学院中等部・高等部卒。 慶應義塾大学総合政策学部にて、国際政治学を専攻。 卒業論文で学部優秀論文賞(SFC AWARD)受賞。 2006年住友商事に入社し、海外駐在を含めた実務経験から 様々なビジネスの知見を得る。 現在、歴史を軸にしたコンテンツ作成者として活躍中。 冷徹な分析力で現代社会とビジネスを診断する。

もう少しでクリスマス。

澄み切った空の下、夜になるとイルミネーションが光り輝く季節になりました。皆さんはもうクリスマスの予定は決まっていますか?

 

クリスマスとは、イエス・キリストの降誕を祝うお祭りのことです。キリスト教徒にとっては宗教的な意味合いのある日ですが、特定の宗教を持たない人が圧倒的に多い日本においては、年末のイベントのような捉えられ方をしています。

クリスマスが近づくに連れてクリスマスツリーが街中に登場し、イルミネーションで彩られ、デパートではセールが開催され、ディズニーリゾートでは期間限定のパレードやショーが行われます。これが日本のクリスマスです。

街中にクリスマスツリーやイルミネーションがあると、「そろそろクリスマスだなあ」と感じますよね。

ちなみにクリスマスツリーの習慣は、中世ドイツの劇でアダムとイブの物語を演じた際に使われた木が由来と言われています。クリスマスツリーにイルミネーションなどの装飾を施す風習は19世紀のアメリカで始まったそうです。

大人になると、子供の頃とはクリスマスの意味付けが変わってくるように思います。

子供の頃はサンタさんが待ち遠しく、寝なければプレゼントが来ないのはわかっているのに興奮して中々寝付けなかったものでした。

大人になっても、大切な人にプレゼントを渡したり、いつもよりおしゃれで少し高めなレストランに行ったりしたくなる、特別な日であることに変わりはありません。

ただ子供の頃のように、サンタクロースという存在を信じてる人はあまりいないのではないでしょうか。

皆さんは、いつまでサンタクロースの存在を信じていましたか?

 

そもそもサンタクロースは、4世紀頃のミュラ(現在のトルコにあった古代都市)という都市の教父であった聖ニコラウスという人物が由来だといわれています。聖ニコラウスについて、以下のような伝説があります。

ニコラウスは、貧しさのために3人の娘を身売りしなければならない家族の存在を知りました。それを知ったニコラウスは、夜中にその家の煙突(一説には窓)から金貨を投げ入れます。すると金貨は、暖炉のそばに干してあった靴下の中に入りました。そのお金のお陰で娘を身売りしなくて済み、家族は救われたのです。

この伝説が、クリスマスに靴下を下げておくとサンタクロースがプレゼントを入れてくれる、という習慣になったといわれています。

少なくともサンタクロースの元となる人物は存在していたといえます。それでは、今現在のサンタクロースについてはどうでしょうか。存在していると思いますか?

1897年9月21日にニューヨーク・サン紙に掲載された「Is There a Santa Claus?(サンタクロースっているんでしょうか?)」という社説があります。アメリカの新聞史上最も有名な記事と言われる社説です。

この社説は、当時8歳だったバージニアという女の子が、友達に「サンタクロースなんていないよ」と言われ、そのことをお父さんに伝えると、「サン紙に聞いてごらん」と言われたことに端を発します。バージニアは、友達にサンタクロースがいないと言われたことを手紙に書いてサン紙に送りました。この社説は、バージニアの質問に回答する形で掲載されたものです。

…They do not believe except they see. They think that nothing can be which is not comprehensible by their little minds. All minds, Virginia, whether they be men’s or children’s, are little.(彼らは自分が見たものしか信じることが出来ないんだ。彼らの小さな心で理解できないものなど存在しないと思っているんだろう。でもねバージニア、大人も子どもも、心はみんな小さいんだ。)
…Yes, Virginia, there is a Santa Claus. He exists as certainly as love and generosity and devotion exist, and you know that they abound and give to your life its highest beauty and joy. (そうだよ、バージニア。サンタクロースはいるんだ。愛や寛大な心や献身さがたしかに存在しているようにね。そしてそれらが満ち溢れて、君の人生を輝かしいものにしているんだよ。)出典:ニューヨーク・サン紙

社説では、目に見えるものしか信じない心の狭さや何かを信じることの素晴らしさについて説いています。その素晴らしさから、100年以上経った今でもクリスマスの時期になると再掲されることもあるようです。

ニューヨーク・サン紙のインターネットのホームページで「yes virginia」と検索すると、再掲されたこの社説の全文が読めますので、ぜひ読んでみてください。

社説の中でも特に「Yes, Virginia, there is a Santa Claus.」という部分は有名です。バージニアはサン紙に出した手紙の最後に「Please tell me the truth, is there a Santa Claus?(本当のことを教えてください。サンタクロースっているんでしょうか?)」と書いています。それに対してサン氏の記者は力強く「Yes, Virginia, there is a Santa Claus.(そうだよ、バージニア。サンタクロースはいるんだ。)」とはっきりと答えているのです。この一文が、この社説をしてアメリカ新聞史上最も有名な記事とされる箇所です。

サンタクロースはいるのでしょうか?

確かに、サンタクロースという名前の白い髭を生やしたおじいさんが煙突から入ってプレゼントを渡すことはないかもしれません。ただ、だからといってサンタクロースがいないと言い切れるのでしょうか。

ここで、サンタクロースの定義を考えてみましょう。

サンタクロースは私たちにプレゼントを持ってきてくれる存在です。それではサンタクロースが私たちに持ってきてくれるプレゼントとはどんなものなのでしょうか。

聖ニコラウスの伝説によれば、彼は貧しい家族の幸せのために金貨をプレゼントしていますが、これは1つの象徴であり、ニューヨーク・サン紙の社説によれば、サンタクロースは人生を輝かしいものにしてくれる存在と位置づけることが出来ます。

つまりサンタクロースとは、「幸せを運び、人生を輝かしいものにしてくれる存在」と定義することができるのではないでしょうか。

 

そう考えると、実は今の世の中にもサンタクロースは存在してるように思います。

例えば、仕事帰りにクリスマスプレゼントを買って家に帰ってくるお父さんたち。子どもたちは髭を生やしたサンタさんがプレゼントをくれたと思うかもしれませんが、子どもたちに幸せを運んだという意味では、お父さんたちは全員サンタクロースなのです。

恋人や家族の存在自体も、サンタクロースと言うことができるかもしれません。恋人や家族は、一緒にいるだけで幸せをもたらしてくれます。

お店の店員さんの気遣いが幸せを運ぶこともあるでしょうし、電車やバスで席を譲ることで私達が幸せをもたらすことができるかもしれません。

このように考えると、私達全員がサンタクロースになるチャンスがあると言えます。

サンタクロースは幸せをもたらし、人生を輝かしいものにしてくれる存在です。私達がサンタクロースになることができれば、世の中は幸せに満ち溢れるのではないでしょうか。

真のサンタクロースとは、私達自身なのかもしれません。

このイルミネーションに彩られた風景の中、優しさについて考える切っ掛けにしてみませんか?

周りを見渡してみてください。どれだけ沢山の人に幸せをもらっていますか。どれだけ沢山の人に、幸せをもたらしていますか。

 

Is there a Santa Claus?

Yes, there is a Santa Claus.

Merry Christmas.

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