オピニオン

師走、忙しいからこそ余裕を持とう

1984年生まれ。東京都在住。慶應義塾大学環境情報学部卒業。映画、音楽、読書をこよなく愛す編集者。ビジネスについて勉強中。

あっという間に2017年も12月になりました。

ご存知の通り、12月は旧暦で「師走(しわす)」と呼ばれています。「お坊さん(師)が走るほど忙しい」ことが「師走」の語源になるほど昔から忙しいのが12月です。

実際に、仕事の上では客先訪問や年末の事務処理、プライベートでは帰省など様々なイベントが重なりますよね。

社会人になって最初の数年は特に、学生時代の友人関係との飲み会なども予定に加わってくるでしょうから、12月はこんなにも忙しいのかと実感している20代のビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。

 

そうです。多くの方が「師」でなくても走らなければいけないのが12月なんですね。

 

しかし、そんな忙しい時期だからこそ、心の余裕を持って主体的な行動をとれるようにしたいものです。

今回は忙しい12月を有意義なものにするために「忙しさ」について考えてみようと思います。

そもそも「忙しさ」とはなんでしょうか。

  • やることがたくさんある
  • 時間が足りない
  • 休暇が取れない

など色々な見方ができると思います。

 

デジタル大辞泉によると「忙しい」とは

1.多くの用事に追われて暇がない。多忙である。「目が回るほど―・い」
2.せかせかして落ち着かない。せわしない。「―・い性分だねえ」

とあります。

「忙しさ」は1.「物理的(時間的)に余裕がない」、2.「精神的に余裕がない」という外的要素と内的要素の2つに分類できることがわかります。

 

少し立ち止まって考えてみます。

「忙しい」と感じる原因はなんでしょうか。

 

仕事量が多いといえど、今この瞬間に、ひとりができる行動はひとつだけです。

マルチタスクという言葉もありますが、実際の行動としては目の前の仕事をひとつひとつ仕上げていくしかありません。

仕事が多くなると「物理的(時間的)な余裕」のことを考えて、「忙しい!」と叫びだしたくなる時もあると思いますが、目の前のできることはひとつということは忘れてはいけません。

その事実が変わらないのであれば、そのひとつひとつを確実にこなしていくだけですので、目の前の作業自体の「忙しさ」はいつもと変わらないはずです。

「忙しさ」の鍵はむしろ、ひとつひとつの作業を滞りなく行うための「精神的な余裕」なのです。

 

「茫然自失」という言葉があります。

簡単にいうと「ぼーっとして自分を失う」という意味です。

頭がPCのようにフリーズしてしまう状態と言えばいいでしょうか。

 

仕事に当てはめてみると、多くの仕事が押し寄せてきて、何から手をつけていいかわからない状態と似ていますね。何から手をつけていいか考えられなくなるほど「精神的な余裕」を失っているということです。

 

つまり、「忙しい」とは「茫然自失」な状態ということなのではないでしょうか。

上述したようにひとつひとつの作業自体のすることは変わりません。「精神的な余裕」を持って「茫然自失」を回避し、仕事の優先順位(段取り/計画)をつけることができれば、あとは目の前の仕事に集中すればいい状態を作ることができるのです。

 

では、仕事量が増えて物理的に時間がなくなっていく中で、焦らずに精神的な余裕を確保することは本当に可能なのでしょうか。

精神科医の土居健郎氏の著書『「甘え」の思想』に「精神的な余裕(引用文では「ゆとり」という表現)」についてこのような記述があります。

「私はいろいろな患者を診ることがあるが、心の病気になる人は、みんな「ゆとり」をなくしている。まずゆとりのない人しか病気にはならない。ゆとりのない人はみんな病気になるわけではないが、病気になる人はみんなゆとりがないといって間違いではない。ゆとりというのは精神的価値に深く関係している。ゆとりとは表にある価値と裏にある価値と二つあって、裏の価値が表にある価値を超えている、実はそっちの方が高いということが見通されているときに生まれる心の落ち着き、それがゆとりである。だからゆとりとは隠れているものである」

物事には表と裏の2つの価値があって、自分の中で裏の価値の評価が高い時に「精神的な余裕」が生まれると言っています。

外的要因のやらなければならないことにしても、他人から与えられた表の価値だけを追いかけるのではなく、裏の価値を見出すことが大事なのです。

 

裏の価値とはなんでしょうか。

それは、主体性のことです。

表向きの「〜であるべきだ」「〜しなければ」という価値ではなく、自分自身でそのタスクに意味づけをし自分自身の裏の価値を見出すのです。

  • 「自分にとって」このタスクはどんな意味を持たせることができるか
  • 「自分にとって」そこまで重要な意味を持つものではないから優先度を下げよう
  • 「自分にとって」このタスクは重要な意味があるので、〇〇までに必ず仕上げよう

など、自分自身で「裏の価値」をつけることで、タスク管理自体も主体的に整理でき、一貫した考えで計画を立てることができます。

もちろん、ひとりで仕事ができるわけではないので表の価値もとても重要です。独りよがりになってしまうことには注意が必要ですが、優先順位をつける「裏の価値観」をしっかりと自分の中で作っておくことは大切なことです。

中には優先度が低いものも出てきますので、その時間をさらに自分の使いたいタスクに使うこともできるかもしれません。

 

時間は有限ですので、あまりに多い仕事を抱え込んでしまっては物理的にこなすことが不可能になる限界線もあります。しかし、「裏の価値」を見通すことができれば、優先度の低いものを断ることもできるようになるでしょう。

 

例えば、つきあいだけの飲み会を断ってみるというのもひとつの手です。

飲み会に高い価値を感じている方もいると思いますのですべての正解ではありませんが、「精神的な余裕」が足りていない(忙しい)と感じた時には、自分の中での優先度を整理してみましょう。

 

物理的な余裕を生むためにも、精神的な余裕が大切なのです。

仕事のことを中心に話を進めてきましたが、これは「休む時間」「リフレッシュする時間」「遊ぶ時間」についてもいえることです。

仕事が多くて、「リフレッシュする時間がない」という意味で「忙しい」と思っている人もいると思いますが、自分が心からしたいと思うことの優先順位は仕事と並列に考えてみるのです。

「時間が取れたら」と後回しにしている状態は、プライベートの時間に「茫然自失」している状態です。

 

仕事と並列に、「精神的な余裕」を持って優先順位をつけ、計画を立て、「必ず確保する!」と考えれば、プライベートの時間も含めて自分のために主体的な生活を送ることができるようになるでしょう。

 

以上のことを踏まえて、忙しい12月の話に立ち返ってみましょう。

 

年の瀬というのは普段とは違う意味を持ってくる時期です。

12月は1年の締めくくりとして「今年どうだったか」「来年どうするか」を余裕をもって考えたいと思っている方も多いと思います。

「こんなに忙しいのに…」とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、少し立ち止まってみてください。

忙しく、いろいろなことがめまぐるしく動く月だからこそ、今後の行動を大きく変えるきっかけが見つかるかもしれません。

 

私は、その意味で12月に振り返りの時間を持つことは価値のある(優先度の高い)ことだと考えています。

しっかりと振り返りの時間を確保することで、12月の残りの時間を来年にもつながる時間にできるはずです。

 

来年の12月にどんな状態になっていたいでしょうか。

今年、何ができたのか。来年の12月の描いた姿のために今できることは何か。優先順位をつけることで忙しさに負けない目的を持った師走になるのではないでしょうか。

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