オピニオン

忘年会こそ一発逆転のチャンスである

1994年生まれ。埼玉県立川越高校、法政大学文学部卒。2017年4月入社の新卒1年目。

いよいよ今年も残すところ後1ヶ月。年末ともなると、ビジネスでもプライベートでも何かと忙しくなります。

年末になると「年の瀬」という言葉が使われますが、「岩波国語辞典第7版新版」によればこの「年の瀬」には「慌ただしい年の暮れ」という意味があります。

ところで、なぜ年末のことを「年の瀬」と呼ぶのでしょうか。

「瀬」には「川の水深が浅く流れが早いところ」という意味があります。昔の人にとって年末は、溜まった支払い(ツケ)を精算して新しい準備をする大切な時期でした。ツケをちゃんと支払って年を越せるか、という切羽詰まった気持ちが、「瀬」という字に込められているのです。

 

何かと慌ただしい年末ですが、年越し前に行われる一大イベントがあります。

そう、忘年会です。

会社の同僚や上司と行ったり、地元の友人など久しぶりに会う人と行ったり。何回も忘年会に参加する人もいるのではないでしょうか。

実は忘年会は日本独自の風習といわれています。「年末にその年の労をねぎらって開催する宴会」という意味では東アジア圏に同様の文化があるようですが、英語文化圏においてはクリスマスとの対比で、宗教的な意味付けや行事的な様式のない行事として日本独自のものと理解されることも多いようです。

忘年会の起源ははっきりとしていません。鎌倉時代に、1年の終わりに和歌を詠み合う風習があったとされており、忘年会に通じるものとして起源の1つとも考えられています。

室町時代には、「としわすれ」と称して年末にお酒を飲んで踊る行事があったことを示す文献も存在します。江戸時代には特権階級の人々が1年の憂さ晴らしをする場となり、明治時代になって今の忘年会のような一般大衆の年間行事となっていったようです。

「忘年会」という言葉は夏目漱石の「吾輩は猫である」の作中に登場しており、明治時代には既に大衆に受け入れられていた文化であることがうかがえます。

そんな忘年会ですが、みなさんはどのようなイメージをもっているでしょうか。

リクルートライフスタイルの外食市場に関する調査機関「ホットペッパーグルメ外食総研」の職場での飲み会に対するイメージ調査によると、飲み会に対してネガティブなイメージもポジティブなイメージも両方持っている、と答えた人が全体の60%以上を占めています。職場の飲み会に対してはいいイメージだけでなく悪いイメージも同時にあることがわかります。

ポジティブなイメージとしては、

・普段会話しない人と会話できる
・職場の雰囲気が良くなる

といった回答がある一方で、ネガティブなイメージとしては

・気を遣いくつろげない
・プライベートな時間を削られる

といった回答がありました。

普段の職場での飲み会だけでなく、忘年会に対してもこのようなイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。

中でも若年層の飲み会に対するイメージはよくないようです。

同調査では、20代と30代の女性は、職場での飲み会に対してネガティブなイメージを持っていると答えた人がポジティブなイメージを持っていると答えた人の割合を上回りました。

実際に私の回りでも、上司との飲み会についての愚痴を聞くことがよくあります。若い世代の中には、職場での飲み会に対して不満がある人もいるのではないでしょうか。

 

ホットペッパーグルメリサーチ「忘年会・新年会実態調査」によれば、忘年会は誰と行うか、という質問に対して「会社の同僚・上司を含むメンバーと」と答えた人の割合が最も多い、という結果になりました。

多くの人が年末には会社のメンバーと忘年会を行うにも関わらず、飲み会に対してはポジティブなイメージだけでなくネガティブなイメージも持っていることになります。

中々つらい状況です。

ネガティブなイメージもある忘年会ですが、実は私のような20代にとって、忘年会はとてもメリットのあるイベントです。

そもそも忘年会とは「年末にその年の労をねぎらって開催する宴会」であって、その年のことを忘れるためのものではありません。また冒頭でも述べたように、忘年会が開催される年の瀬は「溜まったツケを支払う」時期でもあります。

忘年会は、今年のことを忘れるためではなく、「その年の労をねぎらい、溜まったツケを精算するための宴会」という位置づけなのです。

 

おそらく忘年会に対してネガティブなイメージを持っている人はこのように思っていると思います。

忘年会は上司の顔色を伺うことしか出来ず、ストレスが溜まるばかり。自分も今年のことを忘れて騒ぎたい。

確かにストレス発散は大事です。ただ、せっかくの無礼講の場で上司と話すチャンスなのに、ご機嫌取りに終止してストレスを貯めるばかりではもったいない。普段話すことが出来ない人や腹を割って話す機会がない人こそ、忘年会の場で距離を縮める絶好の機会です。

今年のことを忘れている場合ではありません。むしろ今年のことを思い出し、自分にとって有益な話を引き出すべきではないでしょうか。

 

特に20代の前半はもしかすると、直属の上司以外で部長クラスの人と話す機会は多くないかもしれません。そんな人はぜひ忘年会の場を活用してみてください。

仕事に関する悩みはもちろん、プライベートに関する悩みも思い切って打ち明けてみるのがオススメです。

自分のことを打ち明けることを「自己開示」と呼びますが、これはコミュニケーションを円滑にするために有効な方法です。自分がどんな人間であるか相手に伝えることで、相手は自分のことをたくさんの部下の1人ではなく一個人として認識してくれます。

自己開示には「返報性」という特性があります。これは、何かもらったらその分のお返しをしなければならないと考える心理のことです。

例えば上司に自己開示をして自分の困っていることや課題などを打ち明ければ、返報性に従ってアドバイスやヒントをくれる可能性が高いです。

自己開示によって一個人として認識してもらえるばかりでなく、返報性によって仕事やプライベートに対してアドバイスも貰える。

忘年会では、一晩でこのような変化をもたらす可能性を秘めた重要な宴会なのです。

もし、「忘年会参加したくないな」と思っているのであれば、忘年会に漫然と参加するのではなく、「自分の利益のために利用してやる」とマインドを置き換えて見ることをオススメします。

自己開示によって自分の課題を解決する方法を聞き出し、今年の”ツケ”を精算しましょう。自己開示は、自分のことをしっかりと認識してもらえるチャンスでもあります。

とは言え、楽しむことも大切です。自分のメリットだけを考えて神経をすり減らしては、せっかくの忘年会なのに気疲れしてしまいます。

忘年会は親睦を深める場でもあります。忘年会は自分にとってメリットがある、ということを念頭に置きつつ、同じ仕事をしているメンバーと楽しんでくださいね。

 

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