生き方

感動は人との違いを生み出す

1984年生まれ。東京都在住。慶應義塾大学環境情報学部卒業。編集者。SSW。サウンドクリエイター。編集と並行して、歌もの/アートインスタレーションサウンド/ダンスミュージック等の音楽制作活動を行う。

Facebook、Twitter、インスタグラムなどのSNSを始めてからコンテンツに触れることが多くなりました。

「いいね」ボタンも最初は違和感がありましたが、今では少しでも心が動いたら押すようにしています。投稿者の投稿した気持ちを応援したいと思うからです。

 

ただ、ふと立ち止まって考える時もあります。

コンテンツに対して本当に感動しているのかということです。

 

そんな「ものの見方」について面白い視点があります。

芸術家の岡本太郎氏が、著書の「今日の芸術」の中で展開する「八の字文化」論です。

 

「富士山」の絵は日本を象徴するものとして、あちこちで見かけると思います。一昔前だと蕎麦屋さんの湯のみや襖には必ずと言っていいほど「富士山」の絵を見ることができました。

日本の文化の中で「富士山」のモチーフは「キレイなもの」として定着しているので、多くの場面で、無難にはまります。

 

しかし、岡本太郎氏はこの「無難なモチーフ」を批判します。

つまり、「富士山はキレイなもの」という言説に反応しているだけであって、絵自体には、もはや富士山そのものを見た時の感動はない。ただの記号になっているということです。

富士山の形に見える「八」の字を描いて喜んでいるようなものだというのです。

 

岡本氏は当時の美術界に対する挑戦状として、この発言をしています。

 

「富士山=八」というのはひとつの例えとして、

「これはキレイだという既存の共通認識の中でしか絵を描けなくなっているのではないか?」

「本当の感動はそこにあるのか?」

という批判なのです。

 

もちろん、ここで「いいね」ボタンを押すことを批判したいわけではありません。それぞれに「いいね」ボタンを押す理由があると思いますし、私も押しています(楽しいですね)。

 

ただ、SNSにおいて、タイムラインに流れていく写真などのコンテンツを記号としてみている節はないでしょうか。

  • 「イルミネーションはキレイなもの」
  • 「猫は可愛いもの」
  • 「自然は癒されるもの」

それは私もそうだと思います。

一方で、本当の主役は

  • 「キレイだなあ」
  • 「可愛いな」
  • 「癒されるなあ」

という気持ちが自分の中に起こることです。

岡本太郎氏の言うように、ただの記号に反応するのではなく、自分の中で何が起こっているかを見ることの方が価値があることだと思うのです。

 

実は、ビジネスを進める上でも、この感覚は重要です。

確かに、既存の共通認識はとても大事です。マーケティングの基盤ともいえるでしょう。

しかし、変化の激しいビジネスの中で、新しいアイデアを生み出すためには、既存の共通認識を超えた「何か」が必要です。

 

その「何か」とは、何でしょうか。

 

それは、理屈を超えた感動です。感動とは自分の中にある感覚との出会い(発見)です。

「こんな感覚があったんだ」という出会いは、既存の共通認識とは関係ないその人独自のものだからです。

 

多くの人々が、そして自分でも価値がないと思っているものに深く感動する可能性もあります。

まさに人と違う視点です。

 

その人独自の感性を磨くことこそが、人との違いを生み出すのです。

SNSでも、タイムラインを流し見するだけでなく、時には自分の心ものぞいてみてはいかがでしょうか。

いつもと違うものが見えてくるかもしれません。

 

あわせて読みたい