オピニオン

心構えの整え方。千里の道も一歩から。

1983年生まれ東京都在住。青山学院中等部・高等部卒。
慶應義塾大学総合政策学部にて、国際政治学を専攻。
卒業論文で学部優秀論文賞(SFC AWARD)受賞。
2006年住友商事に入社し、海外駐在を含めた実務経験から
様々なビジネスの知見を得る。
現在、歴史を軸にしたコンテンツ作成者として活躍中。
冷徹な分析力で現代社会とビジネスを診断する。

国民的スターであるイチロー選手。

2001年に米メジャーリーグに挑戦すると、MVP、首位打者、盗塁王、シルバースラッガー賞ゴールドグラブ賞など数々の賞を受賞。2016年にはメジャーリーグ通算3000本安打を達成するなど、輝かしい成績を残しています。

そんなスーパースターであるイチロー選手は、自身のことを以下のように評しています。

努力せずに何かできるようになる人のことを「天才」というのなら、僕はそうじゃない。努力した結果、何かができるようになる人のことを「天才」というのなら、僕はそうだと思う。

またイチロー選手はこうも言っています。

小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道

言葉通り”とんでもないところ”に到達したイチロー選手。それは”小さいこと”を1つずつ着実に積み重ねてきた結果なのです。

「千里の道も一歩から」ということわざがあります。

このことわざは、中国古代東洋哲学『老子』に記された言葉が元となっています。

合抱の木も毫末より生じ、九層の台も、累土より起こり、千里の行も足下より始まる(両手で抱えるほどの大木でも、毛先ほどの小さな芽から成長し、九層にも及ぶ高台も、小さな土を重ねることから着手し、千里の道のりも足下の一歩から始まる)出典:老子

当時の中国では「一里≒400メートル」だったといわれているので、千里は約400キロメートルです。人の歩幅が80センチだとすると、50万歩の距離。

“とんでもないところ”まで到達したイチロー選手も、野球ボールを手に取った瞬間はまだ第一歩を踏み出したばかりだったのです。それが”小さいこと”を積み重ねていったことで、メジャーリーグで数々の賞を受賞するほどの実績に到達したのです。

イチロー選手は”小さいこと”を「積み重ねる」と言いましたが、この「積み重ねる」とはどういうことでしょうか。

もちろん、物理的に何かを積み上げることではありません。

積み重ねるとは「経験から得た学びを自分の中に蓄積すること」と言い換えることができます。「キャリアを積む」という言い回しをしますが、これも考え方は同じです。自分の中に学びを溜めていくこと。これが「積み重ねる」ということです。

どんな経験をしたとしても、その経験自体がマイナスになることはありません。たとえお客様にお茶を出すだけでも1つの経験として蓄積されます。あるいは何か些細なことで失敗してしまったとしても、次に失敗しないための学びを1つ手に入れたと捉えればプラスと言えます。

 

イチロー選手は自分が積み重ねていることを意識するために、打率ではなく安打数を意識しているそうです。打率は打てなければ下がりますが、安打数が減ることはありません。

1回打てば1安打。一つひとつは小さくても、全てをプラスとして積み重ねることが出来ます。着実に積み重ねた結果、通算3000本安打に到達したのです。

「積み重ねる=経験から得た学びを自分の中に蓄積すること」と言いましたが、実は経験を自分の中に学びとして蓄積するためには1つ大切なポイントがあります。

それは、経験や行動に対して丁寧に意味づけする必要がある、ということです。

どんなに些細な経験でも、学びとしてプラスに蓄積させる方法はあります。

どういうことか。

例えばコピーを取ったり、お客様をご案内したり、資料を作成したりといった、何気ない仕事や毎日行うようなルーティンワーク。日々たくさんの経験をすると思いますが、何も考えずにこなすだけではいつまでたっても学びは蓄積されません。

1度やったミスを何回もしてしまった経験、ありませんか?ミスを繰り返してしまうのは、学びが蓄積されていないからです。学びとして蓄積されなければ、どれだけたくさん経験しても”とんでもないところ”には到達できません。

大切なのは、どんなに小さな経験でも「何のためにやっているのか」「どうすればよりよくなるのか」を考えることです。お茶を出すにしても、ただ漫然とお茶を持っていくのと、「今日は寒いから暖かいお茶を持っていこう」と考えて行動するのでは雲泥の差です。

失敗したとしても、考えることが大事。考えた結果の失敗なら「次どうしよう」と改善の行動に繋がります。これが学びの蓄積です。何も考えずに行動していては、次の行動もきっと何も変わりません。同じ失敗を繰り返してしまいます。

行動の一つひとつに対して丁寧に考えて意味づけしていくこと。これが、経験を学びとして積み重ねるためのポイントなのです。キャリアに無駄なことも雑務も存在しません。もしお茶出しやコピーを雑務と感じてしまうとしたら、何も考えずにこなそうとしているからではないでしょうか。

仕事を自分の中で意味づけして「どうすればいいか」を考えていれば、雑務として片付けていい仕事など存在しないでしょう。

しかし「なぜその仕事をするのか」「どうすればよりよくなるのか」を教えてくれる人は、自分の周りにはいないことも多いです。そもそも、自分で考えて仕事に意味を与えなければなりません。

つまり、”小さいこと”を積み重ねるためには、自分で”小さいこと=日々の経験”に意味を与えて学びに変える必要があるのです。これを繰り返して経験値として積み上げていけば、きっと”とんでもないところ”に到達することが出来ます。

ここではイチロー選手の言葉にのっとって”とんでもないところ”と書いていますが、ゴールは1人1人違います。あなたが目指す何らかのゴールこそが、あなた自身にとっての”とんでもないところ”なのです。

ここまで”日々の経験”を学びとして積み重ねるポイントについて書いてきましたが、実は”とんでもないところ=あなた自身のゴール”にたどり着くためには学びを積み重ねることができるだけでは足りません。

積み重ねを継続していくことが必要です。

積み重ねることが出来ても、三日坊主で終わってしまっては3日分の積み重ねしか出来ません。そしてやめた後は、積み重ねたものは風化し、崩れ去っていきます。

仕事でもプライベートでも、何かを始めたばかりの頃はうまくいかないことのほうが多いかもしれません。ただだからといってすぐに辞めてしまっては、せっかく始めた意味がなくなってしまいます。

モチベーションというものは人から与えられるものではありません。誰かからやれと言われたものは結局続けられないでしょう。自分からやろうと思えてはじめて継続できるのです。大切なのは、自分からやろうと思えるかどうかです。

継続して学びを積み上げていると、あるタイミングでチャンスが巡ってきます。毎日しっかりと自分の頭で考えながら仕事をしていれば、例えばより大きな仕事が回ってきたり、新しいプロジェクトに誘われたりしたときに、そのチャンスをものにすることができます。

このチャンスを自分の中でチャンスと思い、掴み取ることができることも重要なポイントです。より大きな仕事ができるチャンスが巡ってきても、「面倒だなあ」と思ってしまっては、チャンスを掴むどころかそれをチャンスだと思うことも出来ません。

チャンスを掴むためには、結局のところ、日々の仕事にどのように向き合っているのかが大事になってきます。仕事に対する態度です。

 

「態度」には2種類あります。英語で言う「attitude(アティチュード)」と「behavior(ビヘイビア)」です。attitudeは人や物事に対する考え方・心構えとしての姿勢・態度、behaviorは実際の立ち振舞や行動に出ている態度を指します。

 

ここで大切にしたい態度とは、心構えを示すattitudeの方です。日々の仕事との向き合い方、経験の積み上げ。これができていれば、いざチャンスが巡ってきたときにしっかりとそのチャンスを掴むことが出来ます。

attitudeがしっかりとしていれば、自然とbehaviorの方もしっかりしてくるはずです。逆にbehaviorばかり気にしていても、肝心のattitudeが疎かになっていてはどこかでボロが出ます。

 

attitudeは仕事に対する向き合い方、behaviorはビジネススキルと言い換えることも出来ます。

もちろんビジネススキルは大切ですが、必要とされるビジネススキルは変わっていくものです。日本ではスーツをびしっと着こなすことも大切なスキルだと思いますが、ハワイではアロハシャツを着て仕事をしている人もいます。場所が変わるだけでも必要なビジネススキルは変わるのです。

大切なのは表面的なbehaviorだけにこだわることではなく、内面的なattitudeを整えることです。

attitudeは心構えです。仕事にしっかりと向き合うことで、経験の積み上げが意味のあるものになり、いつか来るチャンスを掴み取る準備が整います。

 

 

11世紀の中国で編纂された「資治通鑑(しじつがん)」という書物に、以下のような文があります。

人以銅為鏡、可以正衣冠。以古為鏡、可以見興替。以人為鏡、可以知得失。(人は銅を以て鏡と為し、以て衣冠を正すべし。古きを以て鏡と為し、以て興替を見るべし。人を以て鏡と為し、以て得失を知るべし。)出典:『資治通鑑』巻一九六

「人を以て鏡と為し、以て得失を知るべし。」人を鏡として、自分が学ぶべきこと、避けるべきことを知ることが出来ます。今の自分の心構えに加えて、更に欠点を減らし、長所を伸ばす、そんなヒントが周囲の人間関係から学ぶことも出来ます。

自分の周りにいる人を自分の鏡としてみてください。あなたの周りにはどんな人がいますか?

 

自分が仕事に対してどのように接しているか見つめ直し、仕事に対してしっかりと接して、自分の経験・学びとして蓄積していけば、イチロー選手のように、いつかきっと”とんでもないところ”にたどり着くことが出来るでしょう。

 

もし、”小さいこと”の積み重ね方がわからない、というのであれば、BraveAnswerに問い合わせてください。もしくは、BraveAnswer主催のイベントに参加してみてください。キャリアを積み重ねるためのヒントをお渡しすることができると思います。

まずは、最初の一歩が大切です。

千里の道も一歩から。

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