20代におすすめの転職エージェント全15選!選び方は?そもそも使ったほうが良い?転職サイトとの違いは...
2017.9.14
2017.9.14
「リスクを取らない」ことは大事です。「無駄なリスク」「取る必要のないリスク」はできるだけ排除するのが人生の基本ですよね。
ただ、知らず知らずのうちに「リスクを取らされている」としたら?
自分ではリスクヘッジをしているつもりが、実はできていなかった。その状態は、とても怖いことではないでしょうか。
先日私は、起業家であるAから、Aの友人で大手企業に勤めるBさん(33歳、妻子あり)の話を聞きました。
Bさんには出世しようという野心はありませんが、これまで懸命に働いて社内でのポジションを守りつつ、経済的な安定を得られるように努めてきました。
Bさんは独立してやりたいビジネスのアイデアを持っていますが、今の安定を捨てるリスクを冒してまで起業するという気持ちもありません。
Bさんは「リスク取らない」という選択をしています。
ただAは、大手企業に勤めるBさんのリスク感覚に疑問を持ちました。大企業であっても今後安定して事業が成長するとは限らない。
つまりBさんの選択は「リスクを取らない」選択になっていないのではないか。
ただ、大手企業がそんなに簡単に倒産しないのも事実です。「Bのリスクヘッジは正しいとも言えるなあ、でもなぁ」
私はAの話を聞きながら、リスクについて具体的に考えを巡らせました。
まずリスクの定義をはっきりさせておきましょう。
リスク【risk】
①
予測できない危険。 「 -が大きい」
②
損害を受ける可能性。
三省堂の大辞林で「リスク」を引くとこのように出てきます。
では、リスクの反対はなんでしょうか。
リスクの反対は「保証された、安全・安定な状態」です。
誰もリスクなんて背負いたいくないし、保証された安全・安定な状態にいたいと思うのは自然なことでしょう。
今から約60年前の1955年には、ゼネラルモーターズ(GM)はアメリカで最初に年間10億ドルを稼いだ企業になりました。「GMはアメリカを代表する企業である」と、誰もが思っていました。
2009年、GMは破綻をしました。
競争が激しかった自動車産業とはいえ、その凋落ぶりは驚きを持って迎え入れられました。
現在でいえば、Googleやトヨタが50年後に経営破綻にまで追い込まれているようなものです。
時代は常に動いており、数年先まで見通すことはできません。
「安定といえば公務員」というイメージもあり、学生などからの就職志望度は年々高まっていますが、北海道・夕張市のように市町村でも破綻することがあります。夕張市ではその結果、仕事は減らず、人員は半分に減らされ、給料は40%カットとなりました。
市町村に限らず、ギリシャのように国家が破綻する可能性もゼロではありません。ただ自分の人生の中で経験していないだけなのです。
当たり前にあることは、当たり前ではないのです。
乗り遅れれば、すぐに飲み込まれるのが時代の変化なのです。保証された安全・安定な状態は一時的なものです。
もし今あなたが、保証された安全・安定な状態にいると思えているならば、それは誰かが頑張って船を漕いでくれているからか、あなた自身が頑張って漕いでいるからです。
自分の組織は大丈夫、と思うかもしれません。ただ、みんなで船を漕いでいる状態に慣れてしまうと、保障された安全・安定な状態が無条件で続くように思えてしまうのです。
AがBさんに持った疑問はこんなところではないでしょうか。大企業にいることで、自分がもつリスクが埋もれてしまい、リアリティをもって見えにくくなっているのかもしれません。
日本においても、東芝、シャープ、三菱自動車など、過去から日本の製造業を支えてきた大企業が軒並み、存続の壁に迫られています。
年間1兆円を超える純利益を稼ぐトヨタでさえも、テスラなどの新興企業の電気自動車のうねりの中で、次の一手を必死に模索しています。
個人であっても同様です。大企業も変化を求められている状況において、戦後作られた理想のキャリアプランが変化している時代です。今後数年でキャリアの常識が変わる可能性が高いのです。
また、私たち自身、年を重ねることによって変化しているといえます。
変わらないということ自体が、必ず起こる変化に対応できないというリスクになるのです。時代や周囲が変化するなかで同じやり方はやがて通用しなくなります。通用しなくなってから気づいても、時既に遅し、となっている可能性があります。
つまり、変化をすることにリスクが伴うのはもちろんですが、現状維持という選択にもリスクが潜んでいるのです。
リスクから逃れられない以上、必要となるのが「リスク比較」です。
「変化は避けられない」ということが事実なのであれば、変化に対して常に態勢を整え、耐性を身につけることが必要になります。
リスクを背負いたくないという気持ちは自然です。しかし、誰しもが時代や周囲の変化から逃れることができません。そうであるならば、「現状維持のリスク」と「変化した場合のリスク」を「比較」して、自分にとって前向きなリスクを選ぶ覚悟が必要です。
つまり、たとえ現状に不安がなくても、今後のリスク比較をした場合に、現状を変えた方が自分にとって前向きな場合には、リスクを恐れてはいけないのです。
現状を維持することも、変化させることにも覚悟が必要です。なぜならば、どちらも不確定な要素を含んでいるからです。
その中で、前向きなリスクを選択するということは「自分の人生を自分のものにする」ということと同じ意味ではないでしょうか。
自分しかその選択が自分にとって前向きな判断かどうかはわからないからです。
反対に言うと、自分の価値観の中で前向きと思えることを選択すれば、自分の人生を自分のものにすることができるともいえます。
リスクを考えることはそのまま自分の人生を考えることに通じます。
リスクと向き合い選択していくことが自分の人生を形付けていくのです。
企業レベルでも同じです。スティーブ・ジョブズ氏が1997年にCEOに復活して、当時経営不振だったAppleを復活させたエピソードをご存知の方も多いと思います。
簡単に説明すると、多数の商品ラインナップで勝負していた状態から、4種類にしぼるという変化をとって見事に復活したのです。
まさにこの選択が現在のAppleの地位を決定づけたといえます。
現状維持という選択が前向きであることもあります。年をとるにつれ必ず変化する人間の生理現象のひとつとして、代謝が落ちて体重が増えやすくなることがあります。体重については現状維持をしたいと思う20代の方が多いのではないでしょうか。
現状維持の選択が自分のキャリアにとって前向きな選択だと言える場合があります。それは自分で現状維持を決断しているときです。周囲に流されてや、ただ漫然と現状維持をしているのではなく、主体的にリスク比較した上での決断の場合、リスクを恐れない選択をしたといえるでしょう。
あなたは誰かの価値観によって望まないリスクを背負っていませんか。今現在も世界、そしてあなた自身も変わり続けています。
あなたにとっての今日のリスクと5年後のリスクは変化します。気づいたら自分のための決断ができずに誰かの価値観の上を歩かされていた、ということが起こりえます。
つまり「リスクを意識しないことが、一番のリスクである」ということです。
「リスクを恐れない」とは、自分がイキイキと生きていくために必要な考え方なのです。
キャリアのことを中心に話を進めてきましたが、「リスクを恐れないマインド」すなわちリスク比較の上で決断するという行為や行動は、日常生活すべてのことに当てはめることができます。
恋人や配偶者などのパートナーについても同じです。人の気持ち、関係性は変化します。このことを常に意識していれば、相手の変化に気付くことができます。
お金についても同じです。お金に対するリスク意識を持っていなければ、予期せぬ事態で資産を失うこともありえます。
リスクについて考え、リスクを恐れないことは、自分の人生を自分のものにするために必要なことなのです。
平家物語の冒頭に「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
すべての物事が移ろっており、それが世界の本質だと、仏教観をベースとした平家物語が語りかけてきます。
日本を思うままに支配した平家も滅びました。古代ローマ帝国も滅びました。約260年続いた江戸幕府でも潰れてしまいました。
冒頭に掲げたGMや夕張市のような破綻事例もあります。
私たちの人生はたかだか100年ほどなので、何百年と続く大きな時代というパラダイムの中にいるとあたかも保証された安全・安定な状態があるような気になってしまいますが、それは錯覚です。
このようにリスクについて考えてくると、日常の中にも大小たくさんのリスクをとっていることに気づきます。大事なビジネスの決断はもちろんのこと、今日食べるランチの決断にも「美味しくないかも」というリスクが潜んでいます。どんな決断のうしろにも必ずリスクが存在しています。
いつもと同じ決断をするだけが手堅い人生ではありません。リスクを管理する意味でも変化することに慣れておくことも必要なのです。
ソニー元社長の大賀典雄氏は「人生は、大きい決断、小さい決断の積み重ねだ。」と発言しています。
(時代を開拓する先見経営家 大賀典雄語録 〔ビジネスブック特別選書〕より)
小さな決断から、ひとつひとつを自分にとって前向きな選択に変えていくことで、自分の人生を前向きなものにしていけます。
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