ロシアゲート疑惑とは?密室政治からの脱却を求める世界の動き

1983年生まれ東京都在住。青山学院中等部・高等部卒。 慶應義塾大学総合政策学部にて、国際政治学を専攻。 卒業論文で学部優秀論文賞(SFC AWARD)受賞。 2006年住友商事に入社し、海外駐在を含めた実務経験から 様々なビジネスの知見を得る。 現在、歴史を軸にしたコンテンツ作成者として活躍中。 冷徹な分析力で現代社会とビジネスを診断する。
ロシアゲート疑惑とは、米国トランプ大統領がロシアと癒着しているのではないかという疑惑です。名称はニクソン大統領のウォーターゲート事件に由来しています。ロシアゲート疑惑が白であれ黒であれ、民衆から見えない密室で何かが行われているということに大きな反発が生まれています。このような密室への反発はアメリカに限らず世界中で起こっている現象にも見えます。この記事では、ロシアゲート疑惑から世界での密室政治への動きをまとめました。

ロシアゲート疑惑とは

ロシアゲート疑惑とは、米国トランプ大統領とロシアが癒着しているのではないかという疑惑です。

 

具体的な疑惑は

  • トランプ大統領のロシアへの利益・便宜供与の有無
    (ロシアの米大統領選への干渉疑惑)
  • トランプ大統領の司法妨害
    (FBI長官にロシアの選挙干渉の捜査を中止するように要望した疑惑)

の2点です。

 

選挙介入・干渉に対するアメリカ国民の価値観

今回の疑惑が大きく注目を集める背景には、アメリカ国民の選挙への価値観があるといえます。

日本人にはわかりづらい感覚かもしれませんが、アメリカでは選挙にたいしてある種の神聖な価値を持っている歴史的背景があります。

 

選挙結果という民衆の意思への冒涜

それは権力の正当性の問題です。

 

かつての王制時代には「王権神授説」という考え方がありました。

つまり、「王様が王様でいるのは神様のお墨付きがあるから」なのだということです。

 

王様がいなくなった現在、それは選挙に変わりました。

選挙の結果とは、民衆の意思の表れという強い価値観があるのです。

 

介入・干渉のタブー

どの民主国家でも同じことが言えますが、選挙にたいしての介入や干渉への拒絶反応はアメリカでも強いということがいえます。

 

後で紹介しますが、ニクソン大統領が選挙に介入した「ウォーターゲート事件」でニクソン大統領は最終的に辞任しました。

選挙への介入は神への冒涜と等しいとも言えるのです。

 

司法妨害についてアメリカにとって三権分立がいかに重要か

民主主義の根幹といわれるのが「三権分立」という考え方です。

つまり、

  • 司法
  • 行政
  • 立法

です。

現在では、これにジャーナリズムを加えた「四権」とも言われています。

 

これらの権力が独立して監視しあっている状態こそが、極端な権力の集中を生み出さない仕組みになっているということです。

 

こちらも選挙と同様に、「王制時代や独裁政治での権力の集中から、民衆が権力を勝ち取った」という民主主義の歴史的背景の中心にある考え方です。

 

大統領の権力(行政)によって司法妨害を行っていれば、民主主義を根幹から揺るがすことなのです。

 

ウォーターゲート事件を考える

先ほども少し紹介しましたが、「ロシアゲート疑惑」に非常に似た事件をアメリカはすでに経験しています。

 

それは

  • 「ウォーターゲート事件」

です。

 

1972年に、当時のニクソン大統領が選挙活動中に、野党だった民主党の本部があるウォーターゲート・ビルに盗聴器を仕掛けようとしたことが発覚したことから始まった事件です。

 

この事件でも、ニクソン大統領が揉み消しや、司法妨害を行ったことが大きな問題になりました。

「ロシアゲート」という名称も「ウォーターゲート事件」が由来です。

 

ウォーターゲート事件の場合は、証拠などがしっかりしておりニクソン大統領は結局辞任しました。

 

では、トランプはそこまでやったのでしょうか。

現在のところ、ウォーターゲート事件ほどの決定的な証拠は出てきていない状態で留まっています。

 

 

ロシアゲート疑惑でのアメリカ政治への影響

ロシアゲート疑惑によって国会機能の不全が起こっています。

 

それは、トランプ大統領の政策の目玉であるオバマケアの見直しの頓挫です。

トランプの出すオバマケア代替案への共和党の支持が取れなくなってしまっているのです。

 

この状況はトランプ大統領に限らず、アメリカ政治全体に影を落としかねない事態ともいえます。

 

オバマケア見直しによって確保するはずだった財源

トランプ大統領が描いていた政治的構想は

  • オバマケア見直しによって財源の確保
  • 減税+公共工事
  • 景気刺激

というものです。

 

この最初の財源の確保ができずに国会が止まっている状態なのです。

 

今後、ロシアゲート疑惑がさらに追求されてトランプ大統領の求心力が落ち続けるならば、アメリカ政治全体に大きな影響を及ぼすことが考えられます。

 

 

密室政治への不信感が世界で広がる

トランプ大統領のロシアゲート疑惑の本質は、その密室性にあります。

見えないところで自分に関わることが決められていることへの国民の反発です。

 

多くの人が情報にアクセスしやすくなっている現在、世界中で政治の密室性への不信感も大きくなっています。

いかに政治的決定に透明性を確保できるかが重要な世の中になってきているのです。

 

日本、安倍首相の加計問題も密室

日本に目を向けてみましょう。

安倍首相の加計問題も結局のところ、密室性が大きなポイントになっています。

 

加計問題の中で、

  • 行政がゆがめられたか
  • なぜ加計学園なのか

など様々な論点がありますが、決定プロセスが透明であればここまで大きな注目を集めることはなかったのではないでしょうか。

 

やはりポイントはトレーサビリティ(透明性確保)です。

 

中国、習近平は脱密室政治で支持を広げる

逆に、その密室性を排除する方向で大きな支持を得ているのが、中国の習近平です。

 

習近平は、共産党の一党独裁政権の中での腐敗を打倒するという姿勢を打ち出したのです。

クリーンさを売りにすることで、民衆の心をつかんだと言えます。

 

現在のトランプ大統領や安倍首相の状況と逆の状態です。

 

北戴河会議

中国では共産党党大会の前に非公式で行われる北戴河(ほくたいが)会議というものがあります。

共産党大会を前に党の結束を乱さないために、食い違った意見を事前に密室ですり合わせる場だと言われています。

 

習近平は、江沢民などの以前の中国共産党の既得権益側を排除する形で密室の見える化を図っています。

 

これからは、権力が磐石になり、逆に習近平が既得権益側になることで同じような腐敗が起こらないかの真価が問われるところでしょう。

 

 

密室政治はなくっていくのか

世界を見回すと、似たような政治的な動きが多くの国で起こっています。

 

トランプ大統領は、ロシアゲート疑惑での密室性に批判が集まっていますが、もともと大統領選ではヒラリー氏などの既得権益の密室性を奔放な言葉で批判する側として支持を集めました。

 

インターネットの発達で、多くの人が情報を手に入れ自分で発信できる時代に、一部の特権的な層の密室での決定に疑問が生まれてきている、という大きなうねりが生まれているとも考えられます。

 

ポイントは

  • 透明性の確保

です。

 

これまで見えなかったものが見える時代になったからこそ、手続きの見える化が重要になってきます。

密室への反発という大きなうねりは今後どのような動きを見せるのか注目が必要です。


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