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2017.8.3
2017.8.3
脱時間給制度とは
です。
日本ではまだ導入されていません。
世界では
とも呼ばれ、
などの先進国で導入されています。
一定の要件を満たしている人に対して、労働基準法で定められた時間で縛られない働き方を認めるという考え方です。
一定の要件とは、国によって違いますが
など、厳しい条件が設けられています。
IT産業の出現など、産業の変化によって従来の労働の概念では対応しきれない働き方が生まれていることを背景としています。
日本でも、政府の進める「働き方改革」の一環として導入が検討されています。
成果 | 時間 | |
---|---|---|
Aさん | 1 | 80h/週 |
Bさん | 1 | 40h/週 |
⬇︎ | ||
2 | 80h/週 |
AさんとBさんの例でみていきましょう。
これをみるとBさんの方が生産性の高い人材ということがわかります。
しかし、現行の「時間」を軸とした給与体系では、「1」の仕事量に対して、80時間かけたAさんの方が、多く給与をもらい、効率よく40時間で済ませたBさんの方が給与が少ないという矛盾が生じます。
これは単純化したケースですが、多かれ少なかれ多くの職場でこのような事態が起こっているといえます。
現在、時間を軸にした給与体系になっているのには理由があります。
もともと、工場のライン工などの働き方が主流だった時代の遺産なのです。
つまり、
という分かりやすい構図があった時代があるのです。
しかし、現在はどうでしょうか。
産業が多様化し、稼働時間=成果となる仕事ばかりではなくなりました。
働き方、生産性についての考え方の変革が求めらているのです。
働き方改革の大きなポイントに
があります。
評価基準が「成果」に変われば、効率良く成果を出す人材はより活躍しやすくなります。
脱時間給法案の対象は高所得者に限っています。
つまり、高所得を目指すならば、しっかりと「成果」を出すことが重要になってきます。
高所得者になるには、長時間会社に尽くして出世することではなく、「成果」を出すことだという考え方に変わるからです。
脱時間給制度は、構造的な生産性の問題に取り組む制度といえます。
脱時間給への動きは政府からだけではありません。
トヨタ自動車では、すでに裁量労働制を導入を始めています。
企業が独自に、現在の法律の枠組みの中で、脱時間給を目指し始めているという流れが生まれているのです。
政府の進める脱時間給制度の法案が通る、通らないにかかわらず、今後も、成果での評価の流れは大きくなっていくと考えられます。
労働者を雇う企業側にとって、生産性が上がる脱時間給を目指すのが望ましいからです。
各企業が、脱時間給への取り組みを進めていくという時代になっていくと考えられます。
時代が脱時間給へと進んでいく中で、考えなければいけないポイントもあります。
時間の上限をどうするかという問題があります。
時間に縛られずに仕事をできる事のメリットもありますが、無制限にする事に懸念もあります。
過剰労働にならない時間の上限をどこに設定するかには議論が必要です。
時間の上限の問題とも関係がありますが、法律的に脱時間給労働者の健康をどう保障するのかという問題も考えなければいけません。
現行の労働基準法ではまかないきれない問題が生まれてくることも考えられます。
「時間」という分かりやすい基準をなくした場合に、どう「成果」を評価するかという問題が残ります。
例えば、サービス業、事務職など、売上的に成果が出なくとも重要な職業はたくさんあります。
時間以外でどのように成果を判断すればいいでしょうか。
脱時間給制度導入には、これからさらに突っ込んだ議論が必要といえるでしょう。
「労使」という言葉をご存知でしょうか。
の頭の文字をとった言葉です。
使役者とは、労働者に給与を払い雇うもののことです。
労働条件の問題を扱うときによく出てくる言葉です。
脱時間給制度についても「労使」の問題です。
の3者の合意が制度を進める上で重要なポイントとなります。
労働者の立場を代表するのが「連合」という組織です。
全国の企業、業界の労働組合をまとめる組織です。
そして、連合の支持政党は民進党です。
連合でまとめた意見を民進党を通して国会に持っていくという構図です。
脱時間給に限らず、労使の問題を扱う場合の最重要組織が「連合」なのです。
脱時間給制度に連合は一時は賛成し、政労使の間で合意の方向で進んでいました。
しかし、一転して連合が合意の見送りを発表しました。
いったい何があったのでしょうか。
今回の脱時間給制度の合意の方向性は、連合内の各組織からの意見をまとめるという形ではなく、中央組織だけで決められたことでした。
しかし、いざ合意へと進む段階になって連合内の各組織からの反発の声が大きくなりました。
そして、今回の脱時間給の問題で、その反発が爆発したのです。
内部でのコミュニケーションが取れずに連合執行部の求心力が下がった形です。
今後の連合の動きにも注目してみましょう。
脱時間給制度の要件についてもう一度詳しく見ていきましょう。
日本で導入が検討されている脱時間給制度についても厳しい要件が設定されています。
対象は
です。
日本の中でもほとんどいない層を対象とした制度設計になっています。
しかし、このようなトッププレイヤーの生産性の高い働き方の規制をなくすことで、脱時間給制度は働き方改革のシンボルのようなものになります。
一方で、この厳しい要件が徐々に緩められて引き下がっていくのではないかという懸念の声もあります。
脱時間給は自分でどんどん成果を出せる人間にはメリットのある制度ですが、成果の出せない人間にとっては苦しい制度になる恐れがあるからです。
引き下がった時の問題点としては
などがあります。
使役者にとって有利な状況が懸念されるのです。
しかし、世界の導入状況や現段階での要件を見る限りでは、低所得者層にはあまり関係のない制度といっていいでしょう。
生産性を上げる動きを促進することと、懸念点をどう考えていくかが議論の中心になりそうです。
脱時間給制度を見るだけでも働き方改革の論点を整理することができると思います。
今後も、脱時間給制度は議論が繰り広げられる問題です。
日本の生産性の向上は常に問題とされるポイントです。
少子高齢化、人口減少、新産業の出現、長時間労働問題など、労働を取り巻く環境は時代とともに常に変化していきます。
働き方についても、様々な価値観が生まれています。
このような時代背景の中で、ご自分の働き方をどのように考えていますでしょうか。
働き方について、もう一度それぞれが見つめ直してみてはいかがでしょうか。