不安への対処法は?元保険屋が見た不安との付き合い方

この記事は寄稿記事です。保険の営業職に勤めていた経験を持つAさんが見た、不安との付き合い方についてまとめています。人が不安になるとき、それはまだ起きていないことを勝手に想像しています。不安になる時に大切なことは、目の前のやるべきことに集中することです。不安はなくなることはないので、いかに上手に不安と付き合っていくか、その対処法を知っておくことが大切です。何かに不安を感じている人、不安を感じて生活をしている人にオススメの記事です。

毎日が不安

外資系保険会社に勤務しているときは毎日不安でした。

 

次も商談が失敗したらどうしよう。

プレゼンで契約がもらえなかったらどうしよう。

このまま契約がなく、食えなくなったらどうしよう。

 

そうした危機感が自分を動かしていたのも事実ですが、毎日毎日こうした不安に押しつぶされそうになる自分がいました。

お客様に感謝したこと」でも触れたのですが、とりわけ毎週3件のご契約を預かることを決めていたので、それが達成できなかったことを想像すると落ち着くことがありませんでした。

 

毎年3月。

それは1年で最も不安になる時期でした。

年度締めが毎年3月15日で、このときに自分の毎年の成績が確定するからです。

 

それは名誉と事業収入という2つの側面で大きな意味を持ちました。

まず名誉の部分では、社内で年間100件、保険手数料1,000万円を達成すると社長杯という表彰式に招待されます。

毎年ハワイなどの海外で開かれるこの式典に無料で招待され、表彰を受けます。

 

次に収入の面では、自分の来年度のボーナス割合を決めるボーナスレートという指標があります。

これは、営業全体の保険手数料の平均に対し、自分の成績が何%達成したかで5段階に分かれています。

例えば全体の保険手数料の平均が800万円で、自分の成績が1,000万円だとすると、達成率は125%となり、ボーナスレートは最上位の80%になります。

この80%が翌年度の四半期ごとにもらうボーナスレートになります。

仮に翌年度の第一四半期に200万円の保険手数料を売り上げると、その80%である160万円がボーナスとしてもらえるのです。

ですから、自分のボーナスレートが何%になるかどうかが、保険という事業を行っていく上でも、生活していく上でも非常に大切になります。

 

社長杯とボーナスレート。

この2つが確定するのが3月15日なのです。

 

 

あと5件足りない

締めまで残り1週間にも関わらず、社長杯基準に5件足りないという年がありました。

どうやったら残り5件が達成できるか想像がつかず、八方塞りの状態でした。

 

当時の上司と顧客リストを洗い出します。

5件では何かあった時に対処できないので、10件の契約を目標にあと1週間のスケジュールを立てました。

 

そこから新規のご契約をいただくには、商談からプレゼンまで最低3回は会うので時間がかかります。

ですから新規の商談は2つにとどめ、既に契約いただいている顧客のなかから足りない保障を分析し、追加契約を探すという戦略を立てました。

 

その際上司から念を押して言われたことがあります。

「For meになるなよ。」

 

For meとは自分のため、自分の都合だけのために契約を頂くことです。

自分が社長杯に入賞することだけを考えるのではなく、その人のニーズをしっかり聞いて、その人のためになる提案をしろという意味です。

この仕事を続けていくためにも、目先の5件にとらわれて、結果として顧客に迷惑をかけるよりは、契約を頂かない方がマシだとも忠告されました。

 

とはいえ、不安は頭の中をよぎります。

 

契約頂けなかったらどうしよう。

社長杯に入賞できなかったらどうしよう。

毎日生きた心地がせず、夜も眠れませんでした。

 

追い込みの1週間が始まりました。

最近結婚した人、子供が生まれた人、家族に変化がある時は保険のニーズも変わるときです。

 

1人1人丁寧に。

商談前には常にこのフレーズを唱えて臨んでいました。

 

幸先よくご契約をいただけたものの、プレゼンのアポイントが15日を過ぎてしまう人がかなりいました。

 

10人と商談し、締め切り前日までに4件のご契約。

15日の締め切りは午後2時まで。

それまでにあと1件必要という状況までこぎつけました。

15日の午前中にあるプレゼンが全てでした。

 

 

締切に間に合わない

午前11時30分。

最近子供が生まれたという埼玉の浮間舟渡というところに住む方との商談でした。

 

その方は大手運輸会社のサラリーマンで、仕事中です。

にもかかわらず、時間を割いて会っていただきました。

さらにそこに無理を言って奥様も同席していただきました。

なぜなら、ほとんどの家庭では決裁権が奥様であり、仮に旦那様だけで契約したとしても、後で奥様につっかえ返されるということになり兼ねないからです。

 

駅に隣接するファーストフード店の中でプレゼンし、生活保障と学資保険を提案しました。

「生活保障は契約します。学士保険ついては考えさせて下さい。」

とりあえず1件です。

 

これで社長杯基準は達成なのですが、ご契約の手続きを終える頃には時計の針は午後1時に差し掛かろうとしていました。

支社まで電車で1時間はかかります。

「まずい、締め切り時間まで間に合わない。」

浮間舟渡駅で途方にくれていました。

 

 

不安が頭をよぎる

商談を終えた浮間舟渡駅で、まず上司に電話しました。

「いまなんとか1件のご契約をいただきました。ですが支社まで書類を届けるのに午後2時に間に合いません。どうしましょう。」

「おめでとう!よくやった。確かにいま電車に乗っても間に合わない。ちょっと待ってろよ。すぐに折り返す。」

こう言って電話を切りしばらく待っていました。

 

するとすぐに折り返し電話がありました。

「池袋の支社に連絡しといた。ご契約の書類はその支社に提出すれば大丈夫だ。」

自分の所属支社ではなくても、書類を提出すれば契約としてカウントされるのは知っていました。

ただそのときの焦りから、自分はそんなことすら忘れてしまっていたのです。

 

午後1時30分、締め切りまで残り30分のときに、なんとか滑り込みで書類を提出できました。

 

 

まだ終わりではない

こうして社長杯基準は達成したものの、まだ確定ではありません。

それは契約が成立していないからです。

 

保険の契約は、申し込み書類が提出されてから成立まで、概ね1週間程度かかります。

 

まず書類に不備がないかを調べます。

そのあと体況といって、被保険者の健康状態が保険契約上問題がないかを調べる必要があります。

ご契約申し込みリストに体況の判定が反映されるのですが、その日から毎日パソコンでチェックし続けていました。

「無条件」

書類提出から5日後、被保険者の健康状態に何も問題がなく契約できるとの判定が出ました。

 

これでようやく社長杯への入賞が確定しました。

 

 

不安の正体とは?

こうした追い込まれた状況では、自分の素の部分が出てきます。

追い込まれて焦って周りが見えなくなる人。そんな状況でもむしろ笑って落ち着いていられる人。

その人が持つメンタルが問われます。

 

「この人はどんな人だろう」とわからない場合は、追い込まれた状況を作ってあげるとすぐにわかります。

そんな状況でどのように振る舞うかがその人の本性だからです。

 

人は誰でも不安になりますが、そのほとんどは「まだ起きていない事」に対してです。

自分もそうなのですが、

  • ご契約をもらえなかったらどうしよう
  • 社長杯に入賞できなかったらどうしよう
  • ご飯が食えなくなったらどうしよう

これらは全てまだ起きてはいません。

 

普段生活していてもたくさんの情報が不安を煽ります。

  • 子供の進学
  • 年金
  • 自分のキャリア
  • お金

など、さまざまな情報が手に入る分、煽られる状況も増えているのではないでしょうか。

ですが、これらも全てまだ目の前に起きていることではなく、起きてもいないことを自分で勝手に想像しているだけなのです。

 

 

課題の分離

アドラー心理学をご存知でしょうか。

 

最近「嫌われる勇気」という本がベストセラーになりました。

「嫌われる勇気」で紹介されていることのひとつに「課題の分離」があります。

自分の課題と相手の課題を分けて、自分の課題だけに集中するという考え方です。

 

例えばご契約できるかどうか、社長杯に入賞できるかどうかはお客様があってのことなので、自分ではどうしようもありません。

第一志望の企業に内定できるかどうかも、相手企業のことなので自分ではコントロールできません。

こうした相手があってのことを考えても意味がないのです。

 

では自分でコントロールできることは何でしょうか。

それはご契約もらえるかどうかに関わらず、商談数を増やすために訪問することや電話することです。

アポイントのスケジュールを組むことです。

第一志望の企業に内定もらえるかどうかに関わらず、自己分析や企業研究をすることであり、OB訪問をすることです。

自分が思う最善の選択をして、そこに集中して取り組むことが最も重要なことだとアドラーは語っています。

 

ですが、人は不安になると何かにすがろうとします。

それは人そのものだったり、タバコやお酒などの嗜好品だったり、人によって様々です。

最悪の場合、依存症になって精神的に不安定になってしまう人もいます。

 

 

不安への対処法を身に着ける

課題の分離をして、自分でコントロールできることに集中するために、自分が行っていたのは瞑想でした。

以前テレビで紹介されていたのを私はいまでも実践しています。

 

まず目をつぶり、川に落ち葉が流れているのをイメージします。

しばらくすると頭のなかで余計なことを考え始めます。

  • あの商談失敗した
  • 次のプレゼンこうやろう
  • あいつあんなこと言ってたな

とさまざまなことが頭をよぎります。

そのときに自分の頭に浮かんだことを落ち葉に乗せて川に流すことをイメージします。

これを5分行います。

 

これは自分を客観視する力をつける方法なのだそうです。

何かを無意識に考え出す自分を客観的に知ることで、目の前の最善のことに集中する自分を取り戻す方法です。

座禅を組むのはそういう意味があるそうです。

 

不安がなくなることはないと思います。

ですから、その不安とどう付き合うかが重要です。

自分の場合は瞑想ですが、不安への対処法を身につけることは、追い込まれた状況でも力を発揮するメンタルの強さを生む源だと感じています。

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