自民党の派閥の系譜を知って今後の政局を読み解く

1983年生まれ東京都在住。青山学院中等部・高等部卒。 慶應義塾大学総合政策学部にて、国際政治学を専攻。 卒業論文で学部優秀論文賞(SFC AWARD)受賞。 2006年住友商事に入社し、海外駐在を含めた実務経験から 様々なビジネスの知見を得る。 現在、歴史を軸にしたコンテンツ作成者として活躍中。 冷徹な分析力で現代社会とビジネスを診断する。
今後の日本の政治を考えることは、日本の未来・自分の生活への影響を考えることに繋がります。ところで日本の政治の現在地はどこなのでしょうか?日本の政治を知るためには良くも悪くも自民党を理解しなければ始まりません。常に自民党が日本の政治の中心を担ってきたからです。なかでも自民党内の派閥は現在の日本の政治にも影響を与えています。この記事では自民党の派閥の系譜と今後の政局についてまとめました。

日本の政治は自民党を知らなければ理解できない

現在の日本の政治を理解しようとした時に軸になるのは、やはり自民党です。

戦後、いわゆる55年体制の中で長らく自民党が政権政党を担ってきました。

 

まず自民党を理解することで、日本の政治の現在地がより明確に見えてきます。

今後の日本の政治の行方を理解したい方は是非この記事を熟読することをオススメします。

 

自民党内で政権交代が行われていたようなもの

自民党が結党以来、日本の政治の中心に居続けることができたことには理由があります。

 

それは、自民党の中に多様な派閥勢力があり、自民党の中で派閥争いという形で、党内政権交代のようなものが常に行われてきたからです。

 

ある意見に振れそうになった時は、自民党内の反対の勢力が台頭しバランスをとってきたのです。

 

現在の政治を知るにも

55年体制が崩れた2000年代以降も、その派閥の流れは脈々と続いています。

派閥の系譜を知っておくと、現在そして今後の政権の動きを読むときに大いに役に立つので見ていきましょう。

 

自民党の派閥

まず自民党の派閥の3つの大きな系譜を押さえましょう。

 

それは

  • 宏池会
  • 経世会
  • 清和会

です。

 

その他にも上記の派閥に属していない流れもありますが、まずは3大派閥を見ていきましょう。

 

自民党3大派閥の系譜

まずは3つの派閥の主な人物を見ていきましょう。

宏池会系 経世会系 清和会系
池田勇人

大平正芳

宮澤喜一

谷垣禎一

など

佐藤栄作

田中角栄

竹下登

橋本龍太郎

小渕恵三

など

福田赳夫

森喜朗

小泉純一郎

福田康夫

安倍晋三

など

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現・岸田派

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現・額賀派

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現・細田派

 

宏池会

宏池会は、旧自由党の吉田茂(吉田学校)の門下である池田勇人が袂を別つかたちで結成した派閥です。

同じ吉田学校系の「経世会」と「宏池会」は近い派閥とされています。

宏池会の大平正芳は、経世会系の田中角栄とも親しかったということでも有名です。

 

現在は、外務大臣を務める岸田文雄氏を会長とする岸田派です。

 

経世会

経世会は、前述したように自由党吉田茂派の流れをくむ派閥です。

  • 周山会(佐藤栄作派)
  • 木曜クラブ(田中角栄派)

などを経て形作られた保守本流の派閥とも言われています。

 

現在は、額賀福志郎氏が会長を務める額賀派です。

 

清和会

1962年に福田赳夫が結成した「党風刷新連盟」を起源に持つ派閥です。

田中角栄と大平正芳の蜜月とは逆に、福田赳夫と田中角栄の犬猿の仲は有名な話です。

 

また、2000年当時首相だった小渕恵三が急死して、森喜朗が首相になって以降、大きな勢力を保っているのが清和会です。

現在の安倍首相も清和会に属しています。

 

現在は細田博之氏を会長とする細田派です。

 

選挙区でみるとわかることもある

また、その議員の選挙区に注目してみると見えてくることもあります。

 

例えば、上記の3大派閥に属していない麻生太郎氏は安倍政権において常に重要閣僚を勤めています。

これは、麻生さん(福岡)と安倍さん(山口)と選挙区が極めて近いことも大きな理由のひとつです。

 

選挙区が近いということは、地理的な選挙区の特色などが似て気心が知れていることがあります。

 

また、その逆もあります。

 

群馬と新潟では地理的には近いのですが、仲が悪いともいわれています。

田中角栄が群馬に予算を回さずに、山を通り越して地元新潟に多く予算をつぎ込んだからです。

 

このように地理的な選挙区を見ることでも政治を理解することができます。

 

麻生派の勢力拡大

また、最近だと麻生派の勢力拡大も選挙区で見ることができます。

麻生派の新勢力は神奈川選挙区の議員を多く引き込みました。

 

神奈川といえば、菅官房長官の選挙区でもあります。

これは推測ですが、選挙区でみると党内での地盤を固めるために麻生氏が菅氏を牽制してると見えなくもありません。

 

清和会が多数派を占める自民党

2017年現在の自民党は清和会の天下といわれています。

2005年の衆議院議員選挙で、当時の小泉純一郎首相が、最大の派閥であった橋本派(経世会系)を非主流として大勝利を収めて以来の流れです。

 

また、民主党政権後の第2次安倍政権においても多くの安倍チルドレンを生み出しています。

正確には1年生議員は会派には属していませんが、清和会系の勢いが強いということはおわかりになるでしょう。

 

加計問題〜都議選大敗、支持率低下で変化の兆しも

しかし、加計問題などで安倍政権の支持率が低下し、2017年7月に行われた都議選での自民党大敗の中、変化の兆しも出てきています。

 

岸田外務大臣の憲法改正反対表明

まずは、岸田外務大臣の憲法改正反対表明です。

 

岸田氏は前述した通り宏池会の会長であり、選挙区は広島です。

原爆を経験した広島選挙区である岸田氏が憲法改正反対を表明するのはうなずけます。

 

安倍首相は他派閥である宏池会の会長を重要閣僚に置くことで党内掌握を図り、政権への反対表明を防いできましたが、今回のその一角に穴が空いた形です。

 

余談ですが、2017年7月に行われたG20の日欧EPAの調印での功労者である岸田外務大臣は、現地まで赴きながら、最後のトップの調印には立ち会わずに帰国させられています。

 

石破氏の政権批判発言

また、石破茂氏の政権批判の発言もメディアで取り上げられるようになっています。

これも、安倍政権の支持率低下、都議選の敗北を背景にしている動きといえるでしょう。

 

石破氏は3大派閥には属していませんが、次期首相候補に名前の挙がる人物であることは説明不要でしょう。

 

今後の政治スケジュール|首相は解散権を使うのか?

安倍政権の今後の政権運営を占う主な政治スケジュールは以下のようになっています。

日程 イベント
2017年7月 都議選大敗
2017年8月 内閣改造
2017年10月22日 愛媛補選(国政選挙)
2018年秋? 総裁選
2018年12月 解散総選挙(任期満了)
2020年  東京オリンピック

 

内閣改造

支持率の下がった首相が打つ手として、内閣改造があります。

実際に2018年8月に内閣改造が行われました。

 

内閣改造の目的としては以下の2つが考えられます。

  • 支持率回復(世論)
  • 改憲への党内掌握

支持率は政権運営に大きな影響を与えます。

内閣改造で、どんな人物を起用し、いかに内閣の印象を上げることができるかに注目が集まります。

 

また党内掌握という点では、議員にとっては閣僚入りすることができれば選挙に有利に働くなどの理由で閣僚入りに大きな意味があります。

また派閥からの視点でも閣僚を何人出せるかは大きな意味のあることです。

この力で、首相は党内掌握をもう一度はかることが予想されます。

 

安倍首相は解散権を行使するのか

国会議員の人事権は首相が握っています。

首相の解散の宣言によって衆議院の全ての議員の職を奪うことができるからです。

 

また、地方議員など、選挙区に張り付いていることのできない議員は、解散によって急に選挙が行われることを嫌います。

十分に準備ができないからです。

 

解散権は首相にとっては大きな武器なのです。

逆に解散権を使うことができないで任期満了を迎えてしまうことは、求心力を失った内閣とみられる恐れがあります。

 

任期満了の解散を避け、2018年秋に予想される自民党総裁選に向けて党の求心力を保つためには、この解散権を常に懐に持っていることを議員に意識させる必要があります。

 

 

 

安倍首相がしたい改憲と東京オリンピック

安倍首相が首相在任中にしたいことに

  • 改憲
  • 東京オリンピック時の首相であること

があります。

 

改憲の発議を行える2/3を占める現在

改憲については現在の議席数で発議を行える状態です。

任期満了の2018年12月解散にセットして、このまま政治スケジュールを進めることができれば、是非は別として改憲の発議まで持っていくことができる状態です。

 

しかし、世論を味方にできず解散権を使えなかった内閣ということにもなります。

次の選挙に少なからず影響が出る流れになります。

 

東京オリンピックはどうか

上述の流れで、他派閥の勢いが増してくると、東京オリンピック時の首相であることは厳しいのではないかという声もあります。

 

東京オリンピックをとるならば、改憲を一旦休眠させて、内閣改造後の支持率が上がったタイミングで解散にでて任期を伸ばすのもひとつの手です。

 

改憲と東京オリンピックの両方を取りたい安倍首相はどのような動きをしていくのでしょうか。

 

 

今後の展開はここに注目

いづれにしても、内閣支持率と自民党内掌握が今後の政治を占う大きなカギになることは間違いないでしょう。

 

まず、直近で注目すべきイベントは

  • 内閣改造
  • 2017年10月の愛媛の補選(国政選挙)

です。

 

まずは内閣改造の内閣の顔ぶれ(派閥ごと)と支持率に注目してみましょう。

党内掌握と支持率を意識したものだということがお分かりになると思います。

 

加計学園のお膝元での国政選挙

また、自民党の白石徹氏が死去したことにより2017年10月22日に行われる愛媛の補欠選挙も大きなポイントです。

 

都議選の敗北は地方選挙という言い逃れもできますが、補欠選挙は国政選挙です。

現在の内閣の体力を図る上でも大きな目安になります。

 

そして、何の巡り合わせか加計学園のある愛媛である補欠選挙であるということも忘れてはいけません。

 

自民党内の力学をもう1度理解しておく

内閣の体力次第では、自民党内の他の勢力がまた台頭してくることも考えられます。

今現在も、徐々に清和会以外の発言をメディアが取り上げるようになっています。

 

今後のスケジュールと党内の力学を、もう1度理解することで、見えてくるものがあるのではないでしょうか。

 

自民党の派閥の源流、戦後日本政治史については以下の本にまとめられているので興味のある方は手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

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