【まとめ】2017年の骨太の方針とは?子育て支援が鍵?ビジネスパーソンなら知っておくべき基本

1983年生まれ東京都在住。青山学院中等部・高等部卒。 慶應義塾大学総合政策学部にて、国際政治学を専攻。 卒業論文で学部優秀論文賞(SFC AWARD)受賞。 2006年住友商事に入社し、海外駐在を含めた実務経験から 様々なビジネスの知見を得る。 現在、歴史を軸にしたコンテンツ作成者として活躍中。 冷徹な分析力で現代社会とビジネスを診断する。
骨太の方針とは、毎年、内閣府から発表される「経済財政改革の基本方針」のことです。予算編成を政府主導で行うための方針で、政府が経済財政においてどこに向かっているのか、骨太の方針を見ることでわかります。日々ニュースから流れてくる経済政策、例えばプレミアムフライデーも骨太の方針に沿った政策なのです。ビジネスパーソンたるもの、国の方向性を知ることは基本中の基本といえます。骨太の方針を知って、国の大きな流れを知ってみてはいかがでしょうか。この記事では骨太の方針についてまとめました。

骨太の方針とは

2017年6月9日に、政府は2017年の「骨太の方針」を閣議決定しました。

 

骨太の方針とは、毎年内閣府が発表する

「経済財政改革の基本方針」

のことです。

 

政府の経済財政政策の方向性をまとめたものです。

 

骨太の方針の概要

骨太の方針は、2001年に当時の小泉政権下で始まりました。

それまで財務省が主導権を持っていた予算編成を政府主導にする目的で作成されています。

 

従来の状態では、省庁ごとの利害によって国の大きな方向性を出しづらい構造がありました。

そこで、マクロな視点で「国の将来」をとらえ、その視点をもとに政策決定、予算編成を行うことを可能にする必要があったのです。

 

骨太の方針を知ることで国がどこを向いているかがわかる

政府がどこに向かっているかがわかるのが「骨太の方針」です。

 

ニュースなどで様々な経済政策が報道されていますが、骨太の方針を知ると、バラバラに見えていたそれらの政策の意図がどこに向かっているのかわかるようなります。

 

 

2017年の骨太の方針を読み解く

それでは、2017年の骨太の方針を読み解いていきましょう。

 

現状分析

2017年の骨太の方針の現状分析では、これまで日本経済を蝕んできた「デフレ」というキーワードには一切触れられていません。

 

これは、安倍政権が行ってきた経済政策(アベノミクス)が、その成否は別として、成果を出しているということを示す意図があります。

 

そして実際に数値としても、

  • 名目GDPは増加し、過去最高水準
  • 企業収益も過去最高水準
  • 有効求人倍率は史上初めて全ての都道府県で1倍を上回る
  • 失業率は約2.8%と22年ぶりの低水準
  • 政府賃上げ要請にも企業側が受け入れて徐々に賃上げ効果が出てきている

などのものが上がっています。

 

しかし、実際にはどうでしょうか。

 

実感として経済が上向いていると感じている人がどれくらいいるでしょうか。

大半の人が先行きは明るくないと感じているのではないでしょうか。

 

問題の原因|将来不安

骨太の方針では、雇用改善や企業収益の上がる中で、経済の上向きが実感されない状況の原因を

  • 将来不安

に求めています。

 

先行きの不透明な将来不安から、消費は伸び悩み、お金は貯蓄に回ってしまいます。

企業も設備投資には回さず、内部留保を貯め、銀行も先行きの不安から融資は鈍い状態です。

 

これらの目に見えない感覚が、実体経済を停滞させていると考えられるということです。

 

問題解決への道筋|働き方改革

政府は、これらの課題感を構造改革の好機として捉え、人的資本の質を高め、潜在成長力を引き上げていく必要があると提唱しています。

 

つまり、将来不安を解消するために対策を講じる必要があると言っているのです。

 

現在、政府が取り組んでいる働き方改革は、日本経済の潜在成長力の底上げにもつながる、第三の矢・構造改革の柱となる改革です。

働き方改革は将来不安を解消するための政策の1つということになります。

 

政府は働き方改革によって、生産力を向上させ成長力を底上げし今後の見通しを明るくしようとしているのです。

 

 

同一賃金同一労働

正規と非正規の理由なき格差を埋めることで、能力が評価される納得感が生じ、労働生産性が向上する(はず)。

長時間労働の是正

女性や高齢者の労働参加率の向上につながるとともに、経営側の工夫を通じ、単位時間当たりの労働生産性向上を実現する(はず)。

柔軟・多様なキャリア設計の許容

転職が不利にならない柔軟な労働市場の確立は、労働者自らによるキャリア設計を可能とし、付加価値の高い産業への転職・再就職を通じて生産性向上につながる。

 

 

以上のように、

  • 生産性向上の成果を働く人に分配すること
    ⬇︎
  • 賃金の上昇、需要の拡大を通じた成長を図る成長と分配の好循環の構築にもつながる(はず)

というのが骨太の方針、つまり政府の大きな方向性なのです。

 

 

将来不安解消のための政策まとめ

では、骨太の方針をさらに深く読み進めてみましょう。

 

上記で見てきた将来不安を取り除く方向性をどのように具体的に進めていくのか、またそのための鍵は何なのか見ていきましょう。

 

不安解消のための様々な政策

2017年の骨太の方針では

  • 財政規律
  • 薬価改定
  • 防災・防衛
  • 働き方改革(同一賃金同一労働/長時間労働の是正/正社員一本のキャリア)
  • 規制緩和
  • 外国人材受け入れ
  • プレミアムフライデー

など様々な具体的な政策が明記されています。

 

財政規律

財政規律の問題もつまるところ、将来不安の一掃のため(日本の国家財政って大丈夫?という不安を解消するため)です。

財政規律は将来の安定的な施策実施のために避けては通れない問題です。

  • 基礎的財政収支の黒字化(単年度黒字化)
  • 債務残高対GDP比の引き下げ

を新指標に入れたことは「財政規律をどのように保つか」を中長期的視点で検討する上で重要な変更といえます。

 

薬価改定

  • 増大する社会保障費の削減のために薬価改定頻度の見直し(2年に1度から毎年)
  • ジェネリック医薬品の使用割合を8割目指す

 

防災・防衛(安全保障)

防災・防衛(安全保障)対策も、不安への対策といえます。

 

働き方改革

【正社員一本ルートのキャリア】

そこから外れたときの疎外感、脱落感を一掃する必要があり、多様な働き方の受容がキーポイント。

 

【同一労働同一賃金】

同一労働同一賃金の確保で勤務先や雇用形態に捉われない「仕事」自体が評価される社会へ。

すなわち、仕事をする「個人」が評価される時代となることが、キャリアの多様化や生産性の向上などに繋がっていく。

 

【長時間労働の是正】

  • 長時間労働の是正
    ⬇︎
  • 生産性の向上
    ⬇︎
  • 所得と余暇の向上
    ⬇︎
  • 消費の拡大

 

【人材投資】

  • 人材投資の抜本強化
    ⬇︎
  • 少子化対策・子育て支援(※)
    ⬇︎
  • 女性の活躍

 

(※)少子化対策には保育士や保育所などの規制緩和がポイントとなってくる。また不足する人材をカバーすべく外国人材の受け入れも重要となってくる。
以上のような政策が2017年の骨太の方針に明記されています。

これらはすべて将来不安解消の方向を向いているといえます。

 

では、以上のことをどうやって達成していけばいいでしょうか。

 

 

実現するための鍵は子ども支援

将来不安解消のためには「少子化対策・子育て支援」が鍵になってくると考えられます。

 

多くの問題の根元に少子化という問題があるからです。

逆にいえば、日本経済に巣食う諸問題の本質は少子化問題にあるともいえます。

 

社会的に何の不安もなく子供を作り育てていけるように、この問題を解決していくことがキーになり、様々な問題の解決の糸口になると考えます。

 

「子ども保険」

今回の骨太の方針には「子ども保険」が盛り込まれています。

 

従来、高齢者介護や子ども育成は家庭で行うものでした。

しかし、少子高齢化によって老人介護は社会全体で行うという認識が広がり、既に介護保険が成立しています。

 

「子ども保険」の考え方も、子ども育成も社会全体で行おうという考え方です。

過去にも育児保険という名前で出てきていますが、先延ばしにされてきた課題です。

 

子どもの教育

また、生まれてきた子どもが幸せな生活、豊かな未来に希望を持てる社会を作るためには、「能力に応じて」教育されることの果たすべき役割も大きいと考えられます。

 

骨太の方針では、小中学校9年間の義務教育無償化に続いて、

「幼児教育・保育の早期無償化や待機児童の解消に向け、財政の効率化、税、新たな社会保険方式の活用を含め、安定的な財源確保の進め方を検討し、年内に結論を得」る

としています。

 

高等教育無償化も

さらに、「高等教育を含め、社会全体で人材投資を抜本強化するための改革の在り方」も検討するとしています。

奨学金制度の整理と大学の統廃合などを行った上で、真に社会で生き抜くために必要な教養・教育が施される高等教育機関の実質無償化を目指すべきとしています。

 

このように見ていくと、政府は将来不安に対して

人材投資の抜本強化→少子化対策・子ども子育て支援

という方針で解決しようとしていることがわかります。

 

「骨太の方針」を知ることで、様々な政策の意図を読み解くことができました。

 

 

本当に行政はこれらを実行できるのか?|私たちができること

2017年2月から始まったプレミアムフライデーを覚えているでしょうか。

この政策も、骨太の方針に盛り込まれています。

 

将来不安解消のために、月末金曜日に時間を作り、消費を促して経済的好循環を生もうという政策です。

 

何を考え政策が作られているか

世間の反応からもわかる通り、その実効性には疑問が持たれる政策です。

しかし、骨太の方針を見ることで、何を考えてこのような政策が作られたかということはわかったと思います。

 

将来の不安解消のためです。

 

国だけに任せていいのか

プレミアムフライデーを見てもわかる通り、行政の出す政策が本当に実行され、国を好循環にしていけるかということに疑問を持つ声は少なくありません。

 

長い間、プレミアムフライデーのような枝葉の政策が、作られては消えてきたからです。

骨太の方針でも示されている本質的な議論が求められています。

 

多様な答えを

この空気に対して私たちができることもあります。

 

働き方の多様性を増やすこともそのひとつです。

今、あなたがいる環境はどうでしょうか。

 

ひとつの答えしかない社会ではその答えから外れた時の不安は大きいものです。

しかし、我々ひとりひとりがその殻を破り、多様な答えを生み出していく空気を作っていくことで不安を解消することもできます。

 

そのような空気は自発的なものなので国にはできないことです。

ひとりひとりの勇気のある決断も、将来の日本を作っていく大きな力なのです。

参考・引用◆内閣府公式ホームページ「経済財政運営と改革の基本方針2017

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