ジョン・ロック『統治二論』や社会契約説や立憲主義とは?

ロックは、17世紀のイギリスの哲学者です。イギリス経験論や社会契約説といった現在にも大きな影響を与えている考えを残したことで知られています。現在、個人が誰の制約も受けずに自由に暮らせる大きな考え方のひとつが立憲主義です。このような立憲主義を唱えたのがロックなのです。この記事ではジョン・ロックについてまとめました。

ロックとは?

ジョン・ロック(1632~1704)は17世紀のイギリスの哲学者です。

 

ロックの主な功績は

  • 認識論の中に「経験論」という立場を確立した(イギリス経験論の父)
  • 名誉革命の思想の基盤となる哲学者

です。

 

ロックの著作

それぞれの考え方は

  • 『人間悟性論』
  • 『統治二論』

にまとめられています。

 

次世代を照らす重要な役割を担ったロック

経験論は、中世からのキリスト的価値観による世界の認識の仕方を超えていくために重要な役割を果たしました。

そして、名誉革命の思想の基盤となる社会契約説は、現在へとつづく民主主義にとっても重要な概念のひとつです。

 

このように、中世と近代との間の過渡期にあたる時代に、次世代を照らすきっかけを作ったという点で非常に重要な哲学者なのです。

 

では、2つの功績をくわしく見ていきましょう。

 

 

ロックが確立したイギリス経験論

ロックの経験論の大きな特徴は

  • 人間の心は「白紙(タブラ・ラーサ)」である

としたことです。

 

このロックの経験論を理解するには、少し時代をさかのぼって話を始める必要があります。

それは、人々の世界の認識の仕方の問題(認識論)にヒントがあります。

 

人々の根本的な考え方を決める認識論

人々の世界の認識の仕方は、時代とともに変化をしてきました。

例えば、ロックの前の時代、中世の時代はどうでしょうか。

 

中世はキリスト教の時代です。

すべての根拠が神に向かう時代ともいえます。

 

神が「愛」という概念を与えてくれたから私たちは「愛」を認識できるという認識の仕方なのです。

 

ロックは「生得観念」を否定→「白紙(タブラ・ラーサ)」

生まれながらに誰しもが「愛」などの観念を持っているということを「生得観念(innate ideas)」といいます。

これはプラトン以来、2000年近くも信じられてきた考え方です。

 

これをロックは否定したのです。

 

人は生まれながらに「愛」などの観念なんか持っていない、生まれた時の人の心は「白紙(タブラ・ラーサ)」だといったのです。

 

経験によって観念を得る

ロックは、生まれた時の人の心は「白紙(タブラ・ラーサ)」で、観念は人間の「経験」によって作られていくと考えました。

 

生得観念があるならば、

  • 子供や病人や非文明人も、数を十分に計算できなければならない
  • 善悪の観念も、いかなる条件でも同じでなければならない

などの矛盾が、心理学や人類学などの新しい学問によって明らかになってきていたからです。

 

ロックの同時代の友人には、自然科学における巨人であるニュートンがいます。

他にも、ベーコンやホッブズなど、人間の精神を自然へと解放させる新しい流れが出来始めた時代だったのです。

 

認識論の最初の体系をまとめた

経験とは、人間の「感覚」のことです。

生まれてから、五感などの人間が身体に備えている認識能力で、世界から受けた感覚をとおして観念が生まれると考えたのです。

 

人間の認識能力を研究し、人間にとっての確実な知識の起源を明らかにしようというするロックの試みは

  • 『人間悟性論』

にまとめられました。

 

これは、近代において盛んに行われた認識論の中でも、最初の体系的な著作です。

 

では、次はもうひとつの功績を見ていきましょう。

 

 

『統治二論』社会契約説と立憲主義とは?

次に、ロックが名誉革命の哲学者と呼ばれる由縁である

  • 自然法
  • 社会契約説
  • 立憲主義

などの考え方を見ていきましょう。

 

ロックの根本にある「自然法」

名誉革命の基盤である社会契約説の根本には「自然法」という考え方があります。

自然法とは、かつて人間が自然状態であったということを前提とした考え方です。

 

ロックの考える自然状態とは

  • 人間が自由の状態:自分の所持物の処遇を、他人の影響を受けずに自分で決めることができる。
  • 人間が平等の状態:自然から受ける利益はすべて等しく共有する。人間の権力はお互いに利益がある状態である。
  • 他人の生命・健康・自由・所持物を侵害してはいけないという自然法が支配している。
  • 自然の中にすべての人々がいる状態である。

です。

 

そして、「自然状態の個人」が従うのが自然法です。

自然法とは、自然状態の社会がうまく回るための自然に生まれる社会法則です。

 

そして、本来は現在(ロックの場合は当時)においても、このような自然法は、守られるべき理想的な法であると考えました。

 

社会契約説と自然状態

ロックの考える自然状態にはひとつの問題点がありました。

それは犯罪が起こった場合です。

 

犯罪が起こった場合、ロックの考える自然状態では、処罰する権利をすべての個人が持つので、「戦争状態」を生み出すのです。

 

このような、自然状態の問題点を解決するために、自然状態の人々が同意して社会に権力を委託・契約し、「自然法」に基づいた運営を行うとするのがロックの社会契約説です。

 

立憲主義が重要

重要なことは立憲主義であるということです。

 

ロックの、

  • 個人ひとりひとりが自然状態で持っている権利を国家に守らせるべきだ

という考えが、現在の民主主義にも通じる立憲主義の考え方なのです。

 

これらのロックの考え方は

  • 統治二論

にまとめられています。

 

ここで、そんなロックの名言を見てみましょう。

 

 

ロックの名言は?

ロックは名誉革命の哲学者と呼ばれていますが、その言葉も新しい時代を作る力を感じます。

新しい意見は常に疑われ、たいてい反対される。
まだ一般的ではないという理由だけで。
言われるままに信じるだけの知識は、ただの切れ端に過ぎない。
切れ端としては立派でも、それを集める人の知識の蓄えを少しも増しはしない。
人間を強制的に救済することはできない。
だから彼ら自身の良心に委ねるよりいたしかたない。
あなたを心配させるものが、あなたを支配する。

いかがでしょうか。

常識にとらわれない深い視点を感じます。

 

 

ロックは現在にも大きな影響

ロックは、認識論でも、社会契約説でも、現在の社会の基礎的な考え方の枠組みを切り開いた哲学者といえます。

気付かないうちにロックの影響を受けていると言ってもいいかもしれません。

 

社会で生きてく中で、自分が生きている社会の枠組みを知ることは、自分自身の考えを作る上でも重要なことです。

 

ロックも、間違いなく現代の枠組みに大きな影響を与えた哲学者です。

ロックを知って、自分の生きている社会を違った視点で見てみてはいかがでしょう。

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