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【医療ビジネスの業界研究】成長産業だが波に乗り切れない?現状は?どんな企業がある?

訪日外国人数は増加傾向で、それに伴って日本の技術の高い医療を求めて外国人富裕層の医療目的での来日も増加しています。一方で成長産業である医療ビジネスの波に乗り切れていないのが今の日本の現状です。今後政府による大きな改革が期待されます。日本の医療技術は世界トップクラスです。ただその技術を活かしきれていません。この記事では、日本の医療ビジネスについてまとめました。

医療ビジネスの現状は?

日本を訪れる外国人観光客の数は増え続けています。そんななか、先進国や新興国の富裕層がより安く高度な医療を求めて日本にやってくる人が増えています

治療目的で日本にやってくる外国人観光客(インバウンド)を医療観光、医療ツーリズムと呼んでいます。こうした医療観光を日本の成長戦略に位置付けたのは2010年の民主党政権です。

しかしその後の自民党政権では医療の国際展開(アウトバウンド)重要戦略として大きく方針展開しました。

いずれにせよ訪日数の増加に伴い、外国人患者の受け入れ数も増加傾向にあります。医療関連サービスは日本再興戦略の重要施策に位置付けられています。

この動きに伴って政府は医療機器や医薬品など医療関連産業の成長を狙っています。

 

訪日外国人数の増加

日本を訪れる外国人の数は2013年に初めて1000万人を越え、2014年は約1341万人、2015年は約1973万人と急増しました

政府は2020年までに年間2000万人を目標としてきましたが、これはほぼ達成されました。そこで政府は2020年目標を4000万人引き上げました。

これは民主党政権時代に観光産業を日本の成長戦略と位置づけ、ビザの発給条件を緩和したことと円安の影響が大きいとされています。

訪日外国人が増えるなか、医療目的で日本を訪れる人も増加しています。

 

成長の波に乗り切れない

外国に渡航して治療、診療を受ける医療ツーリズムは、2010年の民主党政権時代に成長産業として外国人患者の受け入れを推進することを決めました。

その後、医療渡航者の日本の長期滞在や母国との行き来を可能にする医療滞在ビザを創設しました。政府の後押しで外国人患者受け入れを支援する組織も立ち上がり、法整備も進みました。

ところが言葉や文化の壁、皆保険制度との兼ね合いもあり、国内の医療機関は国際化推進に消極的でした。

日本医師会は医療の非営利原則や混合治療の禁止などの視点から問題があるなどとして、医療ツーリズムの推進に一貫して反対しています。

国内では医療費の抑制傾向が続き、海外で知名度が上がれば保険外収入の増加や高額な医療機器の稼働率向上が見込まれます。

また経済成長が続くアジア諸国からの潜在的な需要を見越して、医療ツーリズムを今後の病院経営の柱のひとつにしたいという狙いもあります。

一見日本にとっていいことづくめの医療観光ビジネスです。

ところがこの流れにうまく対応できていない古い体質の医師会メンバーの意見を守る、いわゆる既得権益とのせめぎ合いの中で大胆な舵を切れていないのが現状です。

 

医療渡航者はほとんどが中国

経済産業省によると、医療渡航者の約87%は中国、ロシアが約6%で、検診と治療が半々です。申し込みは企業が中心で、観光のインセンティブツアーに組み込むケースが多いそうです。

医療渡航者を積極的に受け入れているのは千葉県の亀田総合病院、東京都のがん研有明病院、日本医科大学検診医療センター、聖路加国際病院などがあります。

亀田総合病院では中国からの来院患者数が2014年は50人程度でしたが、2015年は約160人と3倍以上に増加しています。

一方、政権が自民党に変わり、安倍政権は外国人患者受け入れを前面に出した民主党政権の方針を修正しました。

日本の医療技術、サービスの海外展開(アウトバウンド)推進を重視し、日本再興戦略で新興国を中心に日本の医療拠点を2020年までに10カ国程度創設し、2030年までに5兆円の市場獲得を目指すことをきめました。

日本の医療サービスを政府の後押しで積極的に輸出することで、国内の医療機器や医薬品、遠隔診断などの情報システムなど関連業界の成長を促すのが狙いです。

出典:経済産業省「外国人患者の医療渡航促進に向けた現状の取組と課題について

 

医療機器メーカーのトップ企業

医療機器メーカーではオリンパスが売上高のトップです。特に消化器内視鏡の世界シェアは70%を越えています。

オリンパスの内視鏡は技術優位性が高く、利益率も高いため大きなシェアが獲得できています。一時は社内の不祥事で経営危機もありましたが、ソニーと資本業務提携することで危機を乗り越えました。

医療機器メーカーの2番手はテルモです。主力事業は3つで、カテーテルなどの心臓血管製品や使い捨て注射器などのホスピタル製品、輸血治療に必要な血液システムです。

なかでもカテーテルや人口心肺といった心臓血管製品のシェアが高いのが特徴で、世界4位のメーカーです。

歯科製品では栃木県に本社があるナカニシが世界トップクラスの技術と売り上げを誇ります。歯を削る時に使うハンドピースと呼ばれる歯科治療機器の分野で、アメリカ、EU諸国を中心に世界130カ国販売ネットワークを持ちます。

また松風は人口歯の製造、販売、歯の治療機器や矯正用材料の製造などで海外展開を行っています。アメリカ、ドイツ、中国、シンガポールに販売会社を持ち、イギリスと中国に生産拠点を設けていて、売上の約31.1%が海外向けです。

出典:医療機器転職BiZ「医療機器メーカーランキング【売上高・年収】-2019年版-

 

医療技術を輸出するために

現状では医療機器や医療関連メーカーは日本の得意分野であるものづくりで培った高い技術力で世界的に優位性を保っています。

ところが病院経営やサービスといった医療行為そのものは、国民皆保険制度の弊害、法整備の不備、医師会の存在など、さまざまな要因が足かせとなり、歩みが遅いのが現状と言えます。

政府は今後日本の医療を輸出していくために、大胆な構造改革が求められます。

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