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2017.8.21
2017.8.21
キャッシュフロー計算書とは、「企業の家計簿」といわれる財務諸表です。
企業の業績を調べるうえで重要な、貸借対照表、損益計算書とならぶ財務三表のひとつといわれています。
キャッシュフローとは「お金の流れ」という意味です。
貸借対照表や損益計算書は、実際のお金の流れではなく、以下のようにあくまで収支の結果を表しています。
商品を作るために仕入れた材料が10万円分だった場合
実際のお金の流れとの違いが生まれてきて、余分なお金が見えなくなってしまうのです。
そのために実際に「入ってきたお金」と「出ていったお金」を表すキャッシュフロー計算書が必要なのです。
キャッシュフロー計算書は3つの区分に分けて計算されます。
後の章で詳しく説明しますが、キャシュフロー計算書は区分ごとに計算され区分ごとに見ていくことで理解できます。
キャッシュフロー計算書では3つ区分に分けて計算することで、会社のお金の流れをよりわかりやすくしています。
本業で実際にどれだけのお金が入って、出ていったか(プラス / マイナス)ということを表します。
一般的に営業キャッシュフローはプラスであればあるほどいいと考えられています。
【プラス要因】
【マイナス要因】
将来のためにどれだけお金を使っているかを表します。
工場を建てるための土地(固定資産)を購入したり、株式を購入するするといった投資のためのお金の出入りです。
一般的に投資キャッシュフローはマイナスの方がいいとされています。
土地を売ったり、建物を売ることで投資キャッシュフローではプラスになりますが、通常あまりポジティブにはとらえられません。
なぜならば、次の収益を産む資産がなくなってしまいかねないからです。
会社がお金をどれだけ借り、返したかを表します。
借りれば、お金が入ってきますのでプラスになります。
返せば、お金が出ていきますのでマイナスになります。
通常はマイナスが健全な財務キャッシュフローとされています。
しかし、会社の規模を拡大してくのかどうかなどの経営戦略によっては積極的に借入を作り、投資に回すこともあります。
その場合はプラスになります。
また、株式の増資をした場合も、財務キャッシュフローでプラスの認識になります。
実際にトヨタ自動車が公表している2017年3月期のキャッシュフロー計算書を例にとって見てみましょう。
科目 | 2016年3月期 | 2017年3月期 |
---|---|---|
営業活動からのキャッシュ・フロー | ||
非支配持分控除前当期純利益 営業活動から得た現金<純額>への | 2兆4342億円 | 1兆9269億円 |
減価償却費 | 1兆6258億円 | 1兆6109億円 |
貸倒引当金及び金融損失引当金繰入額 | 1592億円 | 986億円 |
退職・年金費用<支払額控除後> | 88億円 | 232億円 |
固定資産処分損 | 333億円 | 306億円 |
売却可能有価証券の未実現評価損<純額> | 92億円 | 70億円 |
繰延税額 | 328億円 | △532億円 |
持分法投資損益 | △3290億円 | △3620億円 |
資産及び負債の増減ほか | 4863億円 | 1319億円 |
営業活動から得た現金<純額> | 4兆4608億円 | 3兆4142億円 |
投資活動からのキャッシュ・フロー | ||
金融債権 | △4334億円 | △7087億円 |
有形固定資産 | △2兆9053億円 | △2兆2619億円 |
有価証券及び投資有価証券 | 1兆2183億円 | △6154億円 |
関連会社への追加投資支払<当該関連会社保有現金控除後> | 6億円 | 442億円 |
投資及びその他の資産の増減ほか | △1兆627億円 | 5718億円 |
投資活動に使用した現金<純額> | △3兆1825億円 | △2兆9699億円 |
財務活動からのキャッシュ・フロー | ||
長期借入債務 | 6996億円 | 7578億円 |
短期借入債務の増加・減少(△) | △109億円 | 2730億円 |
種類株式の発行による収入 | 4749億円 | |
当社種類株主への配当金支払額 | △12億円 | △36億円 |
当社普通株主への配当金支払額 | △7047億円 | △6344億円 |
非支配持分への配当金支払額 | △731億円 | △639億円 |
自己株式の取得(△)及び処分ほか | △7781億円 | △7039億円 |
財務活動に使用した現金<純額> | △4235億円 | △3751億円 |
為替相場変動の現金及び現金同等物に対する影響額 | △1998億円 | △134億円 |
現金及び現金同等物純増加額 | 6548億円 | 556億円 |
現金及び現金同等物期首残高 | 2兆2845億円 | 2兆9394億円 |
現金及び現金同等物期末残高 | 2兆9394億円 | 2兆9950億円 |
(※1億円以下は端数として切り捨てています。)
トヨタ自動車のキャッシュフローは
です。
これは、多くの企業が当てはまりますが、ものを売る企業の典型的な優良キャッシュフローです。
つまり、
という流れです。
2017年3月期のトヨタの場合は最終的に、約556億円の現金が積み重なって、預金残高に反映されました。
貸借対照表の記事でも触れましたが、通常、企業経営ではお金のフローを生むために現金残高は必要な分だけを残してあとは投資などに回します。
トヨタの場合は現在、約3兆円の現金残高で、それを超える現金は投資や債務返済に回しています。
その行為がまさにCFO(Chief Financial Officer)の仕事です。
トヨタの場合は世界で戦うための、次の一手のためにどのように投資するのかというところに注目が集まっています。
トヨタのようなキャッシュフローの形が一般的に優良なキャッシュフローと呼ばれています。
しかし、企業の業種や段階によっては投資がプラスになったり、財務がプラスになっても問題ないと判断できることもあります。
企業が何を意図したキャッシュフローなのか、それとも意図できないキャッシュフローだったのかという背景を考える癖をつけると良いでしょう。
「企業の家計簿」と呼ばれるキャッシュフロー計算書を見てきました。
企業を判断するにはいろいろな材料があります。
キャッシュフロー計算書の見方を覚えることは、その中に企業の家計を読むという判断基準を加えることができるようになります。
どんなに自分と考えがあっていても、倒産をしてしまえば意味がありません。
キャッシュフロー計算書を理解して、企業を見てみてはいかがでしょうか。