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2017.1.22
2017.1.22
世界の人口増加と新興国の経済発展によって水や食料、エネルギーが高まるなか、鉱物資源も足りなくなってきます。そこで注目されているのが都市鉱山です。
都市鉱山とは、ゴミとして廃棄される携帯電話などの家電製品やIT製品に含まれる鉱物のことを指します。都市鉱山には探査の必要がないなどさまざまなメリットがあります。
一方で、こうした金属を含んだ製品の回収システムがないことや、海外流出といった課題もあります。そのため日本は世界有数の埋蔵量を誇る都市鉱山を持つと言われているものの、課題を解決しない限り資源を回収できないとも言われています。
都市鉱山から原料を調達し、鉱物を取り出して輸出する企業も増えてきた中で、産学官が連携して金属リサイクル社会を推進していかなければ都市鉱山ビジネスはうまくいかないと予想されています。
国立研究開発法人である物質・材料研究機構によりますと、日本の都市鉱山にある金の埋蔵量は約6800トンと言われています。これは世界の埋蔵量の約16%にあたり、世界最大の金産出地である南アフリカの埋蔵量を上回ります。
都市鉱山には3つのメリットがあると言われています。
1つ目に、探査する必要がありません。鉱物資源を見つけ出すためには調査、試掘など時間とコストがかかりますが、都市鉱山ではその必要がありません。
2つ目に、埋蔵量を簡単に予測することができます。実際の鉱山では、ある程度の埋蔵量が期待できると思い掘ってみたらそこまでの量はなかった、ということが頻繁にあります。都市鉱山では捨ててあるゴミの内容から鉱物資源の量を推測できます。
3つ目に、鉱物を取り出す効率性が高いです。例えば、金の含有率が高いと言われている鉱石の1トンあたりの金の含有量はおよそ40グラムです。一方で携帯電話1トンに含まれる金の量は250グラム以上です。
電化製品、IT製品をしっかり回収できれば効率良く鉱物を集めることができます。
金属をめぐる世界情勢は、非鉄メジャーと呼ばれるわずか数社の大手資源会社による資源の寡占と資源保有国による資源の囲い込みが問題になっています。
資源を寡占して得られた利益でM&Aを繰り返し、非鉄メジャーはさらに事業規模を拡大していっています。
また資源保有国も、資源供出見返りとして技術協力や経済援助を求めてきたりと、日本にとって不利な要求を飲まなければいけない状況です。
このような厳しい金属事情があるからこそ、日本が独自に調達できる都市鉱山にますます注目が集まってきています。
こうした情勢のなかで、国内の都市鉱山ビジネスも活発になってきました。
松田産業は電子部品のスクラップから金や銀、プラチナ、パラジウムを回収・製錬し、電子材料や地金につくりかえて販売しています。
東南アジアにも拠点を持ち、ASEAN諸国の都市鉱山で調達したスクラップを電子部品などに変えてASEAN諸国に販売しています。
DOWAホールディングスはもともと鉱山を持ち、鉱物を製錬する事業がはじまりでした。いまはグループ会社の小坂製錬が、捨てられた携帯電話やパソコンからレアメタルなどを取り出しています。その抽出量は国内トップクラスです。
アサヒホールディングスは、半導体や電子部品、フラットパネルから貴金属やレアメタルの回収を行っています。また歯科医院や歯科技工所から出る廃棄物を回収して、金や銀、プラチナ、パラジウムなどを取り出しています。
一方で課題もあります。課題は大きく2つです。
都市鉱山の原料は携帯電話などの電化製品や電子部品です。ただ日本では、家電4品目や自動車以外に使用済み製品の回収やリサイクルを義務づける法律がありません。
そのため電気部品や電化製品が中古品として中国や東南アジアに相当量が流れています。その大部分は金銀などの貴金属回収が目的で処理されています。国内よりも高値で売れるため、その流れに歯止めが効きません。
都市鉱物を不適切に処理すると有毒な物質が発生し、環境汚染につながります。実際世界各地で使用済み電気電化製品を不適切に処理したことが原因とされる環境破壊や健康被害が多数報告されています。
都市鉱山にはさまざまメリットがある一方で、有害性を同時にカバーしなければ真の意味での循環資源としての役割は果たせません。
例えば銅や鉛、亜鉛など、複雑鉱とよばれる鉱物から多種類の金属を分離回収する製錬所は世界に3つしかなく、そのひとつが日本にあります。
資源性と有毒性の両面をカバーできる環境技術で日本がリードできれば、世界の金属情勢に大きな役割を果たすことができます。