【原子力ビジネスの業界研究】実は成長産業?現状は?

原子力ビジネスは、日本では東日本大震災による影響から否定的ですが、世界的に見れば成長産業です。2017年1月現在、建設中と計画中の原子炉は合わせて150以上あり、日本企業は原子力ビジネスにおいて大きなシェアをもっています。一方で廃炉などの課題もあります。ただ廃炉を経験することでそのノウハウを輸出するなど、あらたな市場価値を算出することも可能です。この記事では、原子力ビジネスについてまとめました。

原子力ビジネスの現状は?

東日本大震災による福島第一原発の事故を受け、日本では原子力発電に否定的な反応を示す人が増えました。ところが世界的に見れば人口増に伴う電力需要の高まりから原子力発電所の建設は増加傾向にあります。

日本では資源がないためエネルギー政策は原子力発電が中心でした。そのため世界でもトップクラスの技術を持つ原子力企業が成長し、原子力関連ビジネスは日本の貿易黒字を支えています

一方で原子力発電所の稼働年数は40年程度で多くの施設が制限を迎えつつあります。

日本の企業は商業用原子力発電所の廃炉を経験したことがありません。また1基あたり廃炉に20〜30年かかるといわれていて、安全に廃炉を行うためのノウハウ蓄積が重要課題です。

 

原子力ビジネスは成長産業

原子力発電は人間が作り出せるエネルギーであり、かつ供給量も大規模です。

日本では福島第一原発の事故により、安全性が疑問視され原子力発電の新規の建設は難しくなりました。一方世界的に見れば人口の増加と新興国の経済成長から電力ニーズは高まり、それに伴い原子力発電所の建設は増え続けています。

2016年の1月現在、原子力発電所は世界に434カ所あります。現在建設中が74カ所、計画中が101ヵ所あります。原子力発電は成長ビジネスなのです。

 

原子力発電関連企業

原子炉の設計・建設ができるのは世界で5つの企業グループしかありません。そのうち日本では東芝、日立製作所・GE連合、三菱重工業・アレバ連合の3つで、日本は原子力発電分野で優位に立っています。

また原子力発電に関連した企業も高い技術力を持っています。日本製鋼所は原子力圧力容器や蒸気発生器などの原子炉用鉄鋼部材で世界シェアの約80%を占めています。

原子炉圧力容器とは原子炉を覆う鉄の容器で、高熱と高圧に耐えなければいけません。日本製鋼所はもともと軍需産業で戦艦大和大砲を製造していました。現在も自衛隊の戦車や戦艦の大砲製造しています。その技術が原子炉製造に活かされています。

原子力発電所関連の工事を請け負っているのは太平電業です。日本原子力発電所工事の約70%に関わってきました。発電所の工事では東芝プラントシステム、東京エネシスなどがあります。

また原子力発電所で発生する汚染された水を漏らさずに吸い上げるポンプを製造する帝国電機製作所という会社があります。この会社はこの漏れないポンプの業界で世界シェア約40%、国内では約60%のシェアがあります。

ほかにも使用済み核燃料を運ぶ鋼鉄製の容器を製造する日立造船や木村化工機、原発大型設備の輸送や核燃料輸送で実績がある港湾運輸大手の宇徳といった企業があります。

 

原子力の課題

原子力分野は世界的にも日本が高い技術力で市場をリードしています。

一方で課題は役目を終えた原子炉設備の廃炉です。原子炉は稼動から40年程度で稼働を終えることになっていて、そこから廃炉まで約30年程度かかります。

なぜこれほど長い時間を要するのかというと、原子力発電所を停止し、放射能漏れが発生しないよう安全に部品を解体するためです。つまり廃炉するにも高い技術が必要になるのです。

日本では研究炉の廃炉は太平電業が機器の取り外しを行なった実績があります。また福島第一原発の廃炉決定から初めて商業用原子力発電所の廃炉を経験します。他にも敦賀原発や美浜原発など合計15基の廃炉が決定しています。

廃炉に伴い、原子炉の構造物を安全に解体する技術や、構造物などの廃棄物の処分方法などはまだ確立していません。また跡地の利用方法も決まっておらず、廃炉に関わる人材の確保と育成も同時に必要になります。

ドイツやアメリカでは工場や火力発電所を原子力発電所の跡地に利用した実績があります。海外での実績を参考にしながら日本の廃炉ロードマップを作成することが急務です。

 

新たなビジネスの創出

またこの廃炉ロードマップを確立することができれば、その技術を輸出することでさらに日本が原子力ビジネスをリードすることができます。

世界にはすでに400基以上の原子力発電所があります。世界的に見ても今後廃炉をしていく原発が増えていきます。そのため今後50年以上、廃炉に伴う技術の需要は高まっていきます。

安全安心に廃炉を進めていくこともまた原子力ビジネスの成長分野です。


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