ヘイトスピーチとは?例は?規制法の内容や問題点は?

ヘイトスピーチとは人種、国籍、思想、宗教、性的指向など変えることが難しい個人や集団の特質に基いて、暴力や差別をあおる発言や行動のことです。海外で盛んに議論されていた言葉で、日本でも規制法が成立しました。ただ問題も抱えています。近年、ヘイトスピーチという言葉を耳にする機会も増えました。あなたはヘイトスピーチとは実際には何なのが分かりやすく説明できるでしょうか。この記事ではヘイトスピーチについてまとめました。

ヘイトスピーチとは?

ヘイトスピーチとは、変えることが難しい個人や集団の特質に対して、暴力や差別をあおる発言や行動のことです。人種、国籍、思想、宗教、性的指向などがこの特質に当てはまります。

本人にはどうしようもないことにたいする罵倒の言葉というものはいつの時代もあります。国際化、情報化が進んだ社会において、ヘイトスピーチは生命を脅かす問題に発展しかねないものです。

日本では2016年5月24日に国会において「ヘイトスピーチ規制法(対策法)」が成立しました。

近年よく聞かれるようになり、規制法まで成立したヘイトスピーチですが、ここからがヘイトスピーチだという定義が難しいものでもあります。

ヘイトスピーチの基準

一般的には、対象がより先天的なものの場合ヘイトスピーチと考えられています。

ヘイトスピーチは小さい集団になるほど危険性が高い傾向にあります。頭髪が薄いという「体質」も先天的なものですが、頭髪が薄い人は多くいるのでヘイトスピーチの対象としては危険性が低いといえます。

このようにヘイトスピーチの判断はうっすらとした基準はありますが、明確な基準が決めづらい問題でもあります。

 

ヘイトスピーチの例は?

ヘイトスピーチはもともと欧米で広く認知されていた言葉です。

ドイツやフランスにおいては「大陸法」と呼ばれるヘイトスピーチを厳しく規制する法律があり、年間数百件単位で法律が適用されています。

欧米ではヘイトスピーチという言葉を生み出さなければならない歴史的土壌があるのです。

ユダヤ人差別

第2次世界大戦で、ナチスドイツは民族主義を唱え、ゲルマン人ではないという理由だけで何百万人というユダヤ人を大量虐殺したという歴史を持っています。

欧米では悲惨な歴史を背景に、民族や人種に関する差別に関して強い問題意識を共有しています。ドイツにおいては、ナチスがユダヤ人迫害、大量虐殺をしたことの事実を否定することを禁止する法律があります。

日本の在日朝鮮人差別

近年、日本における在日朝鮮人にたいする差別的なデモなどのヘイトスピーチは世界でも話題になっています。

日本は島国ということもあり、世界的に見ても多様性が低い状態であると指摘されています。日本人は同じ肌の色で同じ人種という考え方が変わってきているのです。

今後国際化が進み、朝鮮人にかぎらず多くの国からの人々の流入も予想される中で、多人種が一緒に日本で暮らすことへの意識の変化が求められています。

 

規制法の内容は??

冒頭でも述べたように、2016年5月24日に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(ヘイトスピーチ規制法)」が成立しました。

日本では初めてのヘイトスピーチに関する法律です。

目的

日本以外の国や地域の出身者への不当な差別的言動の解消のための基本理念や基本施策を定めて推進することを目的としています。

定義

「本邦外出身者」の定義は

  • 日本国外にある国もしくは地域の出身者又はその子孫
  • 日本の国に適法に居住していること

以上2つを満たす必要があります。

差別的言動について

衆議院の公式ホームページによると条文には以下のように明記されています。

差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する

その他

  • 基本理念(国民の差別解消への努力義務)
  • 国及び地方公共団体の責務(差別解消への取り組み義務(地方公共団体のみ努力義務))
  • 相談体制等の整備(国は義務、地方公共団体は努力義務)
  • 啓発活動等(国は義務、地方公共団体は努力義務)
  • 人権教育の充実等(国は義務、地方公共団体は努力義務)

 

規制法の問題点は?

「ヘイトスピーチ規制法」が定められたことは前進であるという意見がある一方で、問題点も指摘されています。

ヘイトスピーチ規制法の3つの問題点

  1. 定義
  2. 実効性
  3. インターネット

1.定義

「本邦外出身者」の定義は

  • 日本国外にある国もしくは地域の出身者又はその子孫
  • 日本の国に適法に居住していること

の2つを満たす必要があるとしていますが、アイヌなどの少数民族はどうなるのか、外国人の違法滞在者に関してはどうなるのかと指摘されています。

違法滞在は犯罪ですが、人種的な差別と、在留に関する違法性とは別の問題であるという指摘もあります。また、差別的言動の定義も曖昧であるということもいわれています。

2.実効性

法律の内容を見ていくと、罰則がなく、義務もしくは努力義務とするという内容になっています。この法律は実効性がないものとなっていると指摘されています。

理念として掲げることに意味があるという主張ですが、実際にヘイトスピーチをなくすには弱い内容です。

野党もヘイトスピーチに関する以下の法律案を提出していました。

  • すべての項目で努力義務ではなく義務
  • ヘイトスピーチを防止する動きを支援する

こちらは罰則こそないものの支援という実効性のある内容でしたが、否決されました。

3.インターネット

ま野党案ではインターネットでのヘイトスピーチ防止に関する規定もありましたが、成立した与党案では規定がありません。

インターネットのヘイトスピーチが過激になっていることが指摘される中で、インターネットの規定を求める声もあります。

 

ひとりひとりが意識を

ヘイトスピーチ規制法が成立しましたが、ヘイトスピーチ否定派の中でも法規制に関しては慎重という意見も聞かれます。しっかりとした定義付けがむづかしい問題であり、安易に規制する方向では運用の難しさが考えられるからです。

規制の裏には必ず失われる自由があります。ヘイトスピーチの定義が曖昧なため、表現の自由が妨げられる可能性があります。

立場により、良い点悪い点というものは変わりますが、ひとりひとりが問題意識をもって議論を深めていくことが重要です。


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