【水ビジネスの業界研究】市場規模は?日本企業は下請け?課題や今後は?

日本は少子高齢化が進行していますが、世界的に見れば人口は増加しています。そのため水ビジネスは成長市場です。ただ人間が利用できる淡水は地球上の水の約0.01%といわれており、水不足が問題となっています。日本企業は取水から提供までの一貫したサービスがなく、下請けという立場から脱していません。一方海外企業は、独自で一貫して下請けするサービスを行っています。この記事では、水ビジネスについてまとめました。

水ビジネスの現状は?

地球規模で見れば世界の人口増加する傾向にあります。人口が増加すればさまざまな問題が生じます。そのひとつが希少資源の水問題で、水の問題を解決するところにビジネスチャンスがあります

海水を淡水化する企業が台頭したり、上下水道管理・運用するノウハウを地方公共団体が輸出したりと、水ビジネスはまだまだ成長市場です。

一方で日本の水ビジネスに携わる企業は部品や機械、設計、運営・管理・保守といった個別の分野にそれぞれ展開しています。

そのため設計から運営・管理までを1社単独で行える世界的な水メジャーと呼ばれる企業に太刀打ちできず、多くの日本企業はサブの立場でしか参画できずにいます

また取水や運営などのノウハウは地方公共団体に蓄積されてきたため、世界進出を見据え民間企業との連携を強化していくことが急務です。

 

水ビジネスの需要増加

日本は2010年に人口が約1億2806万人とピークを迎えて以降減少に転じ、少子高齢化時代に突入しました。一方世界では人口が急増しています。2012年におよそ70億人だった人口は、2025年に80億人を超えると予想されています。

人口が増えればそれだけ水需要が増えます。ペットボトルに水を詰めて販売するだけが水ビジネスではありません。取水から蛇口まで、水ビジネスはスケールの大きなものなのです。

 

水不足

日本は水が豊かな国と言われています。ただ地球規模でみれば水のほとんどは海水で、人が利用できる淡水は地球水のわずか約0.01%に過ぎません。

人口が増え続ける中でこの希少資源、水を奪い合うという状況がすでに生まれています。

また新興国が経済発展し続けるなかで工業用水の需要も増え、人々の暮らしも豊かになり、飲み水や洗濯といった水使用量も増え続けています。

こうした新興国の生産活動が活発になるにつれて水質汚染の問題も生じ、ただでさえ淡水が不足しているなかで、供給元を汚して水不足をさらに複雑にしています

 

水ビジネス関連企業

世界的な水不足は深刻な問題ですが、ここにビジネスチャンスがあります。経済産業省がまとめた報告によりますと、2007年の水ビジネスの世界市場規模は約36兆2000億円ですが、2025年には約86兆5000億円に拡大する見込みです。

淡水化プラント

日本でも慢性的な水不足に悩む沖縄には海水を淡水化するプラントがありますが、中東諸国では海岸近くに海水淡水にするプラントが建てられています。

この淡水化プラントの建設運営を日本の総合商社が仕切り、千代田化工建設や日揮、東洋エンジニアリングといったエンジニアリング企業が手がけています。

濾過膜

海水を淡水するためには、海水を濾過膜(ろかまく)に通して塩分を取るという方法がとられています。

この濾過膜では日東電工、東レ、東洋紡の3社で世界シェアの半分弱を占めています。ほかにも三菱レイヨン、旭化成、クラレ、ダイセルなども濾過膜を製造しています。

ポンプ

次に海水を汲みあげるポンプメーカーでは、荏原製作所、酉島製作所が実績があります。

荏原製作所はポンプ総合メーカーとして国内最大手です。酉島建設は売上高は小規模ですが海水淡水化用ポンプを得意としていて、この分野で世界シェア約40%を獲得している企業です。

チタン

チタン企業も注目です。海水を淡水化する機械を鉄でつくると錆びてしまうからです。

チタンはほとんど錆びず、金属疲労も起こりにくいのでプラント建設に適した非鉄金属です。チタン関連では大阪チタニウムテクノロジーズ、東邦チタニウム、神戸製鋼所などの企業があります。

上下水処理機械

さらに水質汚染を食い止めるための上下水処理機械の会社も需要が増えています。

上下水処理機械の大手月島機械は下水汚泥を乾燥させ、焼却する設備を製造しています。また下水汚泥を石炭代替燃料に変える設備も生産していてリサイクルにも貢献しています。

 

海外の水ビジネス

一方海外では、アメリカのGEやドイツのシーメンス、フランスのヴェオリアといったコングロマリット経営の巨大企業が、水メジャーとして設計から運営、管理までを自社単独で一貫して元請けするサービスを提供しています。

相手国の規格、水源、水利用の実情に応じて最適で低コストの技術を利用し、長期に渡って事業を管理できる強みがあり、実績積み重ねてきています。

 

水ビジネスの今後は?

日本では先にあげた企業が、部品や機械の提供といったところで高い技術を持ち、ある程度のシェアを獲得しています。

ただそれぞれの企業が分断して活動しているため効率が悪く、スピード感にも劣り、水メジャーの下請け先という立場を変えることができません

また取水から上下水道の運営管理といったノウハウは公共団体に蓄積されており、民間企業との横断的な事業展開が進んでいません

北九州市は2016年度に148社の民間企業と「海外ビジネス推進協議会」を設立して、アジア地域での水道インフラの設計やコンサルタント事業を展開し始めました。水道施設の建設や運営の受注獲得目指しています。

ほかにも東京都、横浜、川崎、大阪、神戸、福岡といった市が水ビジネスの海外展開に積極的です。

水メジャー企業からは大きく出遅れていますが、濾過膜、ポンプ、下水処理といった高い品質を持つ民間企業と組み、巻き返しが期待されているところです。


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