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2017.1.20
2017.1.20
後知恵バイアスとは、結果が起きてからそれが予測可能だったと考えてしまうことです。
何か失敗をした時に「だから、そういったのに」と他人にいわれたことのある方も多いのではないでしょうか。
失敗をした本人としては、本人なりにいろいろな理由があって失敗したのに、わきで見ていた他人は結果だけを見て身勝手なことをいいます。これが後知恵バイアスなのです。
後知恵バイアスが過度に生じると、物事の本質を見ずに、誤った判断をしてしまう危険が増えるといわれています。
サッカー日本代表の監督を例にとって考えてみます。
サッカーの代表監督は結果によって様々な言われ方をします。
最終的にW杯の出場権をかけて戦いますが、予選の段階で、勝てないということはよくあります。サッカーの代表監督の場合すぐに「この監督の采配はダメだ」という報道が流れ、交代論まで出てきます。
ただ紆余曲折した結果W杯の出場を得た時には、予選の時にどれほど監督に厳しい意見をあげていたマスコミも名将と持ち上げるようになるということはよく見られる風景です。
このマスコミの姿勢は典型的な後知恵バイアスがかかっているといえます。
采配に関しては、選手のコンディションや様々な事情が絡み合っているもので監督はその事情の中でやりくりしています。そもそも実績のある監督が代表監督になるので、監督自身のやり方があるはずです。
ただ多くのマスコミは監督のやり方の本質よりも勝てば名将、負ければ無能と書き立てる傾向があります。
マスコミの多くは監督がしている指導がどんなに優れていても後知恵バイアスがかかり、結果によって表現を変えてしまうのです。
後知恵バイアスが生じる原因は大きく2つあると考えられています。
後知恵バイアスの2つの原因
後知恵バイアスの大きな原因の1つに記憶の問題があります。
人間の記憶は曖昧で、物事が起こる前にどのように考えていたかを忘れてしまいます。結果的に、物事が起こった時に以前考えていたことよりも明確な事実になった結果を重視してしまうのです。
2つ目に、自分の能力を過信していることが挙げられます。
人は自分が考えていることは間違ってないと思う傾向にあります。
もともと考えていたことと違う結果が出た時には自分の判断が間違っていたということになってしまうので、その苦痛を避けるために後知恵バイアスが生じます。
さらに、後知恵バイアスによって記憶が歪められ、自分の能力をいっそう過信するということにもつながります。
後知恵バイアスが生じる原因からわかるように、人間の判断は曖昧な記憶よりも、明確な結果というものに引っ張られる傾向があります。
結果が重視されると結果に至るまでのプロセスというものは無視されてしまいます。
先の日本代表監督の事例でもプロセスを考慮すれば、判断の方法が少し変わるはずです。
物事が起こった時に、当事者ではない周囲の人間は誰が悪いのかということを知りたがります。よかった時も同じです。英雄を探したがります。
悪い人、良い人を決めてしまえば、その物事を簡単に解釈できるからです。
物事の裏には、例えば夫婦喧嘩であれば、両者に言い分、プロセスがあります。少し想像すればわかることですが、どちらかが一方的に悪いということは、そうあることではありません。
しかし、当事者以外は見えている結果、知っている情報だけで物事を判断し、悪いもの良いものを決めてしまいがちです。
プロセスを無視して、誰が悪いかということを探してしまうのも後知恵バイアスの結果なのです。
後知恵バイアスが生じると過度に結果重視の考え方になります。
ビジネスにおいては次から次へと判断を迫られることは日常です。時間がない中での判断は十分な考慮ができず、後知恵バイアスにおちいる可能性が高いといえます。
人は過度に結果重視になると、なるべく失敗しないように行動し、新しいチャレンジをしなくなる傾向になるといわれています。
あとで悪い評価を受けるのを避けるために、意思決定が前例を重視して新しい提案や行動をしないような保守的・リスク回避的になるからです。
後知恵バイアスを回避することは難しいといわれています。ただ意識することによって減らすことはできます。
まずは、後知恵バイアスがあるということを知ることが後知恵バイアスを減らす第1歩です。後知恵バイアスを知らずに自分の判断は正しいと思い続けることで、過度な結果重視に陥り、組織の停滞につながります。
まずは、結果に流されやすいという認識のもとで自分の判断を振り返ってみてください。
ある結果が出た時に、結果以外に起こりえた事象を考えることも重要です。
同じ条件、環境、情報で、ある結果以外の結果になり得たか熟慮すると「別の結果もありえた」ということはよくある話です。別の起こりえた可能性を見ずに起こった結果だけに固執することは視野を狭めてしまいます。
後知恵バイアスは、当事者の評価をゆがめる可能性を多く含んでいます。評価をあやまってしまうことは後の大きな失敗にもつながります。
ビジネスパーソンは時間がなく、早く結果を求めてしまう傾向にありますが、当事者意識を持って物事に取り組めば、今まで見えなかった評価が見えてくるかもしれません。
結果に対して「だから言ったのに」というのは簡単です。後知恵バイアスを意識して、本質を見極める目を養うことで、結果が出る前に正確な判断を下せる目を持つことができます。
後知恵バイアスを意識してみていはいかがでしょうか。