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2017.1.18
2017.1.18
集団思考の罠とは、集団でものごとを協議する場合に集団内の意見の一致を優先させてしまうために不合理や危険な意思決定が認められることです。
誰しもが何らかの集団に属しています。国、会社、学校、家族など大小様々な集団があり、人は集団に属することから逃れることは難しいものです。
集団には集団ごとの考え方の傾向があります。学校のクラスであれば、クラス内で人気のある生徒の意見を中心に話がまとまるということはよくあることです。
ただ人気の生徒がいつも合理的なことをいっているとは限りません。
不合理なことでも、クラスで人気があるということだけで集団の意思決定に大きく影響を与えてしまうような意思決定のプロセスは問題です。
学校のクラスの例はあくまで例ですが、集団ごとに何らかの要因で考え方が1方向に流れてしまいやすくなるということがあります。
個人では合理的な意思決定をするにもかかわらず、集団になると不合理な意思決定を行う可能性が大きくなるという罠なのです。
集団思考の罠に陥った例というものは世界中にあります。中でも、有名な事例は1986年に起こったNASAのスペースシャトル打ち上げ事故の事例です。
NASAは世界中の頭脳が集まった集団です。一般的には平均以上に合理的な考え方のできる個人の集まりと考えていいでしょう。
この前提は重要です。集団思考の罠は聡明な人間の集まりでも個人の知能に関係なく起きるということです。
1986年1月28日、スペースシャトル「チャレンジャー号」が宇宙に向けて発射し、その72秒後に爆発しました。全米にテレビ放映される中で起こった、まさかの事故でした。
乗組員の7名は全員が一瞬で帰らぬ人となりました。
ただ実は発射前に、スペースシャトルの打ち上げを延期するように主張するグループがあったのです。ロケットの推進器をつくった会社、サイアコル社のスタッフです。
理由は「低温での発射は大きな爆発事故につながる」ということです。
打ち上げは極寒の1月28日でした。サイアコル社のスタッフは再三NASAに警告をしていたそうです。ただNASAは、この警告を打ち上げ関係スタッフに伝えていなかったのです。
チャレンジャー号の打ち上げは、初めて一般人が宇宙に行くということで全世界で注目されていました。
NASAは打ち上げ延期の警告よりも計画通りに進めることを優先しました。反対意見が潰されるという形になったのです。
危険がわかりながら打ち上げを決行したのが事故の原因です。まさに集団思考の決定が合理性を打ち砕いた事例だといえます。
NASAほどの優秀な人間の集まりでも、集団思考は思いもよらぬ単純なミスを犯すという良い例です。
アメリカの心理学者のアーヴィング・ジャニスは、集団思考の罠に陥るには条件や兆候があるとしました。
欠陥のある意思決定を下す3つの条件は以下のとおりです。
以上の3つの条件を満たすと集団思考の罠に陥りやすいといわれています。
条件を満たした集団の集団思考には兆候があるとされています。兆候は3つの類型に分けられます。
自分たちの集団に対する過大評価。自分の集団が不死身であると考えたり、自分の集団の持つ倫理観が唯一正しいものだという考えを持つようになる。
閉ざされた意識。外部の集団への偏見や自分の集団への自己弁護など。
同調圧力。集団の意見の傾向に沿うように個人が自主規制や自己検閲をしはじめる。
集団思考の兆候3類型のどれか、またはすべてに当てはまると、意思決定のプロセスにも兆候があらわれはじめます。
以上の兆候があらわれると、欠陥のある意思決定を下す確率が高いといわれています。
集団思考の罠におちいらないためにはどうすればいいのでしょうか。いくつかあげていきましょう。
組織構造も大事です。
重要な意思決定を任された組織は1つの構造でなく、多層的な構造を持つようにすることが大切です。1つの集団だけで意思決定するのではなく、多くの集団が存在していることも集団思考の罠を避ける有効な手段だといわれています。
集団の中にいるときに、違和感を感じても行動しないという経験をしたことのある方もいると思います。
1人だけで集団に対峙するのは勇気のいるものです。ただその違和感が実は集団の危険な決定を止めることができるかもしれません。
もしかしたら違和感を感じているのは自分だけではないかもしれません。意外と隣にいる人も自分と同じ違和感を持って、ただ言い出せないだけなのかもしれません。
集団に入るとどうしても個人は薄れてしまいます。ただ個人の感性がなければ集団は成り立ちません。
集団思考の罠があるということを念頭に自分の感性を信じてみてはいかがでしょうか。