20代で読んでおくべき本「決めて断つ」書評

この記事は書評に関する寄稿記事です。40代ビジネスパーソンの方より頂いた、40代目線から見た20代のうちに読んでおくべき本の書評をもとに構成しています。今回は「決めて断つ」についてまとめました。この本の著者は、元メジャーリーガーの黒田選手です。今でこそ誰もが知っている選手ですが、高校時代は補欠選手でした。

決めて断つってどんな本?

この本は先日プロ野球を引退した黒田博樹氏の著書です。広島カープで活躍し、その後大リーグのドジャース、ヤンキースでも大成功をおさめた投手です。

大リーグ最後の年は年俸約20億円という金額でオファーがあったものの、古巣広島カープへの移籍を決意しました。

この本は基本的に黒田氏が選手時代に感じた苦悩が中心です。他のスポーツ選手の本の多くは成功した体験が中心ですから、本書は自分の悩みと重ね合わせて読むことができます。

補欠から始まった野球人生で最高峰の大リーグまでたどり着けたのは「目の前の枠の中で目標を作る」という方法が有効だったと言います。

ひとつひとつ目の前の目標をクリアしていった結果が大リーグでした。

そして黒田氏は、限られた中だけで1番になって満足してしまうとそれで人間の成長は止まってしまうと言っています。上を目指して自ら環境を変えていく必要性を感じたそうです。

 

野球を楽しんだことがない

黒田氏は大阪府出身で、父は元プロ野球選手、母はバレーボールの国体選手というアスリート一家に育ちました。

自分も父に倣って野球を始めて、中学時代にはシニアに入ります。このころから2016年度に引退するまでの約30年間、野球を楽しい思ったことがないと言います。

よく「楽しんでやりたいです」という選手のコメント聞くが、彼らは本当にそう思っているのか、と僕は半信半疑のままだ。正直に言えば、何が楽しいのさっぱりわからない。誰か僕に野球の楽しさを教えてほしいぐらい…シーズンが終わったばかりの時は、来年もまた野球をしなければいけないと考えることすらつらい…当初ドジャースから4年契約提示されたのだが、自分で3年契約にしてくださいと頼んだ。理由は簡単だ。4年間もそんな苦しいことはできない…僕はひとつもアウトを取れずに降板した。その時は、本当に死のうと思った。大げさではなく、本当にそう思った出典:決めて断つ

なぜこれほどまでに苦しいことが続けられたのか本当に不思議なほど、黒田氏は悩みもがき続けながら野球をしていたことがわかります。

死生観に近いものがあったのではないかと感じるほどです。死生観とはもうこれで命が終わりだという思いです。これで最後と思えたときに人はとてつもない力を発揮します。

黒田氏は、毎年これで終わりと思えないと野球を続けられなかったのではないでしょうか。

 

補欠からの出発

そんな辛い毎日を過ごしながらも振り返れば世界最高峰の大リーグにたどり着き、そこで成功をおさめました。

しかし黒田氏は高校時代、上宮高校という野球の強豪校に進学しましたが補欠投手でした。最後の夏の予選も投げることはなかったのです。

いつも高校時代の監督から、よく言われることがある。「補欠だったお前が、メジャーリーグで投げてるんだなあ」…僕は出身である大阪の上宮高校で、背番号「1」をつけたことがない。いうなれば補欠だった…自分の実力が足りないが故の補欠だ。しかし補欠からの出発であっても、考え方を変え、チャンスを活かすことができれば、自分の想像を超えた舞台でプレーすることができることを自分の人生から学んだ。出典:決めて断つ

 

成長し続ける

最近サッカーで話題となった、バルセロナの下部組織出身で15歳の久保建英選手が取り上げられています。FC東京に所属し類い稀な技術と才能で将来を嘱望されています。

ただそのまま久保選手が期待通り世界を代表する超一流になるかどうかは誰にもわかりません。いま同じチームで補欠の選手が黒田氏と同じように海外で活躍する選手になるかもしれません。

大切なのは可能性がすべての人に開かれていることです。そしてその可能性を開いていく目安を、また心がけていたことを黒田氏はこう言っています。

上を目指す考え方とは「目の前の枠の中で目標を作る」という方法だった。チームという枠の中でポジションが分かってきて、その目標が達成できると、今度は他の大学の同学年の投手という枠の中で、自分の力を比較し、目標とするようになる。当然エース同士は第1戦に登板するから、そこで相手との力比べになる。そこで結果を出しナンバーワンになることができれば、今度はリーグという枠の中でナンバーワンの投手になりたい―そんな欲求が湧いてきたのだった。1つひとつ、自分の目の前の枠の中でナンバーワンを目指す。それが達成できれば枠を広げていく。その枠の中でまたナンバーワンを目指す。これがいまも変わらない自分の考え方の原点になったのだ。出典:決めて断つ

そして思ったことは、やはり世界には「上には上がたくさんいる」ということなのだ。…ありきたりの言い方になってしまうが、アメリカに来て思ったのは本当に自分が知らない世界が外には広がっているということなのだ。限られた世界の中だけで1番になって満足してしまうと、それで人間の成長は止まってしまう、と改めて思う。出典:決めて断つ

 

成功を維持するために

どこかで安心したい、満足したいというのが人間の性です。

一時的に満足しても安心してもいいとは思いますが、そこからさらに上を目指そう思えるかどうか。それは自分への期待、危機感、不安、周りの人への恩返し、感謝など様々な原動力があると思います。

これらを感じながらプレーしていたから黒田氏は悩み苦しんだのではないでしょうか。

一瞬だけ成功する人はたくさんいます。成功を高いレベルで維持できる人はそういません。成功し続けるために常に自分より上のレベル人を意識し続けることができるかがポイントです。

キャリアアップを考えるならば、まず今の職場で1番を目指しましょう。そして1番になれたら他の会社の1番の人に出会い自分と比べてみましょう。

 

可能性は常に開かれている:編集後記

黒田氏は高校時代は補欠選手でした。それが日本を代表する選手になったのです。これだけでも、可能性は全員に開かれていることが分かります。

今やサッカーの名門ACミランでエースナンバーの10番をつける本田圭佑選手は、ガンバ大阪ジュニアユースからガンバ大阪ユースに昇格できなかった過去があります。

このような話はスポーツ選手に限った話ではありません。今ではテレビで見ない日はないと言っても過言ではないタレントの有吉弘行さんは、一時期その日食べるお金にも困る状況だったといいます。

今ではよく知られるような才能あふれる人が実は苦い経験をしているような事実は多くあります。可能性は常に開かれているのです。それを理解しているかどうかが大切です。


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