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2016.12.23
2016.12.23
インドは慢性的な電力不足の状態です。現在インドでは電力の需要量に供給量が追いついていません。インドでは常に10%ほど電力不足の状態にあるとされています。不足している分は一定地域ごとに順番で停電を行い対応しています。
インドでは人口1人あたりの年間電力消費量は日本の約10分の1です。さらに国内でも豊かな地域と貧しい地域では大きな格差があります。
地方では今でも電気を使わずに生活している人が多くいます。国際エネルギー機関の統計によると、インドでは4人に1人は電気を使用できていないといわれています。
電力不足の原因の1つに送電中のロスが多いことが挙げられています。
インドでは送電時の電力ロスは約30%です。日本の約4.7%、中国の約7%、ロシアの約12%などと比較すると、かなりの量の電力を無駄にしていることがわかります。
電力不足はインドの経済成長の足を引っ張っているといわれています。
インドの電源は、火力発電、水力発電、原子力発電です。それぞれの割合は以下のとおりです。
火力 | 83% |
水力 | 13% |
原子力 | 4% |
この他に自家発電や隣国のブータンからの輸入もインドの電気を支えています。それでも電力不足による停電は頻発している状態です。
電力は産業用、家庭用、農業用、商業用として使われています。GDPのおよそ20%にも上る農業分野で比較的多く消費されていることが特徴といえます。
インドは国土が広いため、都市や州が電気の供給体制を築いてきました。1950年にインドが国家として独立すると、州電力局が設立されます。州電力局は州営機関として、州全体の電力の供給を任されてきました。
その後中央政府により電力会社が設立され、発電所が建設されました。また送電会社も設立されています。
1990年代にインドは自由経済へ移行します。政府は民間企業の参入を期待し、電力分野でも自由化・規制緩和を実施しました。
インドで電力不足が解決できないのは、民間企業の参入が進んでいないことが理由の1つとされています。
政府が期待していたほど、民間企業や外資系企業は参入していません。そのため発電や送電といった電力事業のほとんどが、今でも州や中央政府により運営されている状況です。
政策的に電力は低価格で供給されています。特に農家や貧困層には料金は格安に設定されています。格安の電気料金に加え、料金不払いや電力泥棒によって、電力事業は巨額の赤字を出しています。
また新規参入する場合は、監督官庁で何回もの許認可手続きを行わなければなりません。許認可手続きの複雑さはインドビジネス特有のものといわれています。
こうした財務状況の悪さや許認可手続きの複雑さが、民間企業の新規参入を遅らせています。民間企業の新規参入が遅れている点が電力不足が解消されない要因といわれています。
2016年11月にインド政府は日本政府と原子力協定を締結しました。
インドは原子力プラントのあるアメリカやフランスと、すでに原子力協定を締結しています。さらに日本と締結したことで、日本の原子力発電所関連の機材や技術の輸入を可能にしました。
電力不足に悩むインドは電力確保のために、原子力発電所を増やそうと考えています。今後10年で20基の原子炉を新設する計画があります。
ただ原子力発電所の建設にはリスクがあります。建設には多大な費用がかかることや核廃棄物の処理の難しさ、事故が起きた際の影響が地球規模に及ぶなど問題点は多いです。
さらにインドの法律では原子力発電所で事故が起きた場合、製造会社が無制限で責任を負うことになっています。インドの電気不足の解決に貢献できる反面、日本政府や日本企業にとってリスクは小さくありません。
インドの電力不足は慢性的な問題であり、大規模停電も度々起こっています。電力不足解決になると期待していた民間企業の新規参入は上手くいっていません。
インド政府は原子力発電所を増やし、発電量を増やそうとしています。ただ原子力発電所の建設には費用も時間もかかります。電力不足解決のためには配電などの技術の向上だけでなく、法律の整備なども必要であると考えられます。
電力不足はインドの経済にもダメージを与えています。今後さらに経済成長が進むと必要な電力量はますます増えていきます。右肩上がりの経済成長の足かせにならないためにも、中央政府や州の早急な対応が必要です。