このままでは顧客を奪われる?元保険屋が見た40代税理士の人生

キャリア

この記事は寄稿記事です。保険の営業職に勤めていた経験を持つAさんが見た、40代の税理士の人生を紹介します。税理士といっても今は顧客を獲得するのが大変な時代です。業務のコンサルティング化や専門分野に特化した経営をしなければ顧客を奪われてしまいます。税務署と手を組み顧客の信頼を得ようとする税理士もいるようです。

税理士も大変な時代

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税理士の仕事は大きく2つに分けられます。税金の計算と税務調査が入った時の対応です。

税理士は事業主の個人や会社の1年のお金の流れを仕分けして、最終的に税金をいくら納めるか計算します。

そのため繁忙期は年に2回あります。確定申告期限である年明けから3月ぐらいまでと、企業の決算が集中する6月から作成書類提出期限である8月までです。

税理士の仕事は手に職があるので仕事に困らないと思われがちです。しかし実際はそうではありません。今は顧問先を獲得するのが大変な時代です。

税理士は毎月顧問先から送られてくる伝票や領収書をもとに数字の仕分けをします。こうした決算業務の仕事は値下げ合戦であり、個人で事務所をかまえている税理士は顧客を奪われ続けています。

東南アジアや中国などで会社を作って現地で人を雇い、教育し、人件費を抑えています。毎月の決算業務といっても伝票の数字をPCのソフトに打ち込むだけなので、やり方さえ覚えてしまえば単純作業だからです。こうして値下げをしていきます。

これまでにはなかった価格帯で決算業務を請け負っているため、多くの企業や個人は税理士を乗り換えているのです。

 

コンサルティング化する税理士

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これまでと変わらない価格、あるいはこれまで以上に顧問料を貰おうと考えると、付加価値をつけていくしかありません。

これまでの決算業務は過去会計といって、企業の過去のお金の流れを記録してきたものに過ぎません。

今のトレンドは未来会計です。これから企業がどのように成長していくか予測し、未来のお金の流れを経営者と一緒に考えアイデアを出していく税理士が求められています。その証拠に未来会計のノウハウを持った税理士が成功しています。

税理士がコンサルティング化しているといえます。決算業務だけしていては価格の安い事務所に顧客を奪われる流れはもう止められません。

一方で、相続に特化する税理士事務所も増えています。相続税は実質値上げされ続けています。またこれからはさらに高齢化が進み、団塊の世代が息子世代に相続する時代へと突入するためマーケットが見込まれています。

 

サラリーマン税理士が無難

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コンサルティング化するか、相続に特化するかのどちらかで成功しない限り、税理士で食べていくのは大変です。

税務署で開かれる税務相談に参加して、アルバイト代を稼ぎ食いつないでいくしかありません。世の中の流れを知らないお年寄りの確定申告を手伝うアルバイトです。

それが厳しければ大きな税理士事務所のサラリーマン税理士として働くことが無難です。

 

保険販売も税理士の売り上げの柱

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税理士にはもう1つ売り上げの柱があります。それは保険です。法人の保険は節税対策になるからです。

節税といっても課税を先延ばししているだけです。今年度は良くても、来年度も同じ保険料を払って税効果があるかどうかは慎重に決めなければいけません。

それにもかかわらず、経営者は数字のことを全て把握している税理士に「税金対策になる」と奨められると簡単に契約してしまうのです。

税理士のほとんどが生命保険会社と代理店契約を結んでいます。税理士が販売した保険の手数料が税理士事務所の売り上げになります。

中には過去の販売実績から他社より手数料率を高く設定する税理士事務所もあります。保険会社の決算月に販売するとさらに手数料率が上乗せされるといったボーナスもあり、税理士事務所にとって保険販売はいい商売になっています。

 

税務署に顧客の情報を流すことも

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顧客離れを避けるために、かなり悪どいことをする税理士もいると聞きます。特に税務署出身の税理士に多いそうです。

税務署出身ですから当然税務署に知り合いが多いです。税務署の知り合いに自分の顧問先の会社の内部情報を告発します。いわゆるタレコミです。

税務署も内部情報を歓迎しています。なぜなら税務署の評価は毎年どれだけ税金逃れを見つけ出し、追徴で課税できたかだからです。税務調査の手がかりの8割ぐらいは、社内の人間など会社に近い人からのタレコミというのですから恐ろしい話です。

その情報をもとに税務署が調べ、その会社に電話し「税務調査しますのでお会いできる日を教えてください」と伝えます。すると社長は顧問の税理士に「なんとかしてください」と泣きついてきます。そこで税理士はこう答えます。

「税務調査が入ると何もなく帰ることはまずありません。しかし私は税務署出身です。私の力でなんとかして追徴課税を安く抑えるので安心してください」

こんな税理士が本当にいるというから驚きです。

 

税理士の経営判断が問われる時期

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税理士といっても顧客を獲得しないことには経営が成り立ちません。大手事務所は値下げを進めているため、個人事務所は付加価値をつけて顧客を奪われる流れを止めています。

また保険販売を行ったり税務署と手を組んで顧客の信頼を得ようとする税理士もいます。そこまでしなければならないほど、税理士という資格を持っているだけでは食べていけない時代なのかもしれません。

今は過渡期といえます。税理士としての業務をコンサルティング化するか、専門分野に特化するか、それともサラリーマンでいるか。税理士の経営判断が問われています