外国人技能実習制度とは?仕組みや問題点は?まるで奴隷制度?今後の課題は?

外国人技能実習制度とは、外国人労働者を一定期間実習生として雇用し、産業における技能などを習得してもらう制度です。発展途上の経済発展を担う人材育成を目的としています。実習実施機関の7割以上で労働基準関係法令違反が認められるなど、低賃金の労働力確保として利用されています。新しい法律では対象職種に「介護」も加えられました。この記事では、外国人技能実習制度とその制度、行われている職種や問題点、課題についてまとめました。

外国人技能実習制度とは?

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外国人技能実習制度は、1993年に創設された公的制度です。

日本は発展途上国の若い労働者を一定期間実習生として受け入れています。技能実習生は最長3年の期間実際に働くことで、日本の産業・職業上の技能や技術、知識を習得します

帰国後はその国の経済の発展に役立ててもらいます。日本の先進国としての役割や国際貢献を目的としています。

実習生を受け入れる企業にとっては、労働意欲のある若い人材を採用できるというメリットがあります。また将来的に企業の海外進出なども期待できます。

 

実習生を受け入れる仕組みは?

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公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)によると、実習生を受け入れる方式は「企業単独型」「団体管理型」の2種類に別けられます。

  • 企業単独型:日本の企業など(実習実施機関)が海外の現地法人や合弁企業、取引先企業の職員を受け入れて技能実習を行う
  • 団体管理型:商工会や中小企業団体などの営利を目的としない団体(管理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業など(実習実施機関)で技能実習を行う

「企業単独型」と「団体管理型」では在留資格が異なります。入国後1年目の技能などを習得する活動と、2年目以降の習得した技能などを習熟させる活動に別けられます。

入国1年目 入国2年目
企業単独型 技能実習1号イ 技能実習2号イ
団体管理型 技能実習1号ロ 技能実習2号ロ

実習生は日本に入国後、日本語教育や技能実習生の法的保護に必要な講義を受けます。その後、実習実施機関に雇用され、実践的な技能などを修得する活動を行います。

技能などの修得が一定水準以上になると、「技能実習2号」の在留資格への変更が許可されます。「技能実習2号」の在留資格を与えられると、最長3年間の実習が可能になります

技能実習2号では、技能実習1号で活動した実習実施機関と同じ機関で働かなければなりません。活動内容も「技能実習1号」で修得した技能などを習熟する活動に限られます。

 

どんな職種で行われてる?

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外国人技能実習制度が行われている職種は以下のとおりです。

  • 農業:耕種農業、畜産農業
  • 漁業:漁船漁業、養殖業
  • 建設:さく井、建築板金、建築大工、とび、左官、配管など
  • 食品製造:加熱性水産加工食品製造業、食肉処理加工業など
  • 繊維・衣服:紡績運転、織布運転、染色、婦人紳士服製造など
  • 機械・金属:鋳造、鍛造、機械加工、鉄工、電子機器組立など
  • その他:印刷、製本、塗装、溶接、自動車整備など

2016年11月現在、実習生の受け入れが可能な職種は74職種、作業範囲は133作業です。職種や作業範囲は増加傾向にあります。

厚生労働省によって職種作業ごとに必須作業と関連作業、周辺作業が決められています。決められた必須作業はすべて実習する必要があり、作業全体の50%以上とされています。

関連作業は厚生労働省に決められた作業の中から、実習実施機関が選択し実習します。作業全体の50%以下とされています。同様に周辺作業は3分の1以下とされています。

 

外国人技能実習制度の問題点は?

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外国人技能実習制度は実習生の労働環境が整っていないという問題を抱えています。

厚生労働省の2015年の調査では、実習実施機関5173事業場のうち3695事業場で労働基準関係法令違反が認められました。実習実施機関の7割以上が違反をしているということになります。

違法な時間外労働や安全確認がされていない機械の操作、賃金不払い残業などの違反が挙げられています。

無資格にもかかわらず実習生にフォークリフトを操作させ、作業中に転倒し実習生が死亡する事故もありました。

制度上は最長3年の実習期間がありながら、農家では農繁期の7カ月間だけ働き帰国する実習生も多いといいます。また実習生には「外泊禁止」「恋愛禁止」を要求し、強制帰国や違約金について取り決められる場合もあるようです。

実習先の都合に合わせた労働現場であることから、「現代の奴隷制度」という批判があります。実際に来日を後悔し逃亡する実習生もいます。

JITCOによると、管理団体や実習実施機関から報告された実習生の行方不明者は年間3000人近くもいます。

 

今後の課題は?

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2016年11月に外国人技能実習制度を見直す法律が成立しました。受け入れ実績の優れた実習実施機関は、最長3年の実習期間を最長5年に伸ばすことが決められました。

新しい法律では、「外国人技能実習機構」が創設されることになりました。実習生の保護を目的とし、管理団体や実習実施機関を指導・監督する機関です。

今後は英語や各国言語に対応可能な労働相談窓口が必要となります。実習生が自ら労働環境の改善を訴えることができれば、違反をする実習実施機関も減ると考えられます。

実習生の労働環境の改善が期待されています。

 

日本にとって外国人実習生は必要

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新しい法律では、対象職種に「介護」も加えられました。

厚生労働省の発表によると、2025年には日本国内の介護職員は約38万人不足するとされています。そのため外国人の介護職従事者の増加が期待されています。

他にも人手不足により外国人技能実習制度による実習生なしでは、成り立たなくなっている業界や分野もあります。

実習生の労働環境の整備は、すぐに対応しなければならない問題です。


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