得意なことが仕事を呼ぶ?元保険屋が見た40代フリーカメラマンの人生

この記事は寄稿記事です。保険の営業職に勤めていた経験を持つAさんが見た、40代のあるフリーカメラマンの人生を紹介します。ホタルイカを撮影したいという想いが仕事につながりました。実績を買われイギリスやアメリカからも仕事の依頼が来るようになりました。得意は仕事を呼びます。娘が自分の撮影した番組を見て何か感じてくれたら嬉しいと語っています。

撮影したいものがあるから

「今日はニュースで殺人事件の現場を撮影」

「明日から山に登り秋の高山植物を撮影」

「週末は海に潜ってホタルイカの生態を撮影」

フリーカメラマンの仕事は多岐に渡ります。

テレビ局と1年間契約を結び、その局のニュースの仕事をする人がいます。またニュースの仕事は毎週何曜日と決めて、その他の曜日にスポット的に舞い込む仕事をする人もいます。ドキュメンタリー番組や旅行番組など、スタイルはさまざまです。

私が出会ったフリーカメラマンの1人は、主に自然を撮影するカメラマンでした。なぜ自然なのかと尋ねると「好きだから」の一言でした。

この方は東京生まれの東京育ちで、高校卒業後にアメリカの市立大学に入学して映像の勉強をしました。

卒業する頃にはすでに自分の中で「撮影したい」と決めているものがありました。それがホタルイカです。ホタルイカは海の宝石と呼ばれるように発光体を持ち、水揚げされるときには青白く光を放つ軟体動物です。

主に富山湾に生息しており、旬の春先にはその水揚げシーンを見に多くの観光客が訪れます。この方は富山には縁もゆかりもなく、ただそのホタルイカを撮影したいという思いだけで富山に行ったそうです。

とりあえず大学時代のツテをたどり、紹介された馬の調教師の家に居候させてもらいました。そこで馬の掃除や牧場の修繕などをして、日々の生活費を稼いでいました。

 

ホタルイカ撮影の第一人者になった

ある日、牧場にテレビ局が取材に来ました。その時ディレクターに自分の経歴とこれまで撮り溜めておいた映像を渡し「何か仕事をさせて欲しい」とお願いしました。

この出会いがきっかけとなってそのテレビ局と契約し、ようやくカメラマンとして仕事ができるようになったそうです。

そこからはとんとん拍子に仕事がうまく行きました。

最初の2年間はニュース専属で撮影を続けましたが、そのままでは本来の目的である自然の取材ができないと考えました。そこで3年目以降はニュースの仕事は週4日と決めました

それ以外の日はテレビ局でできたツテをたどり、自然を撮影するための営業活動を始めました。

その甲斐あって、NHKの山の番組の仕事をすることになりました。そこでの実績が買われ、さまざまな自然の番組の仕事が東京から舞い込むようになりました。

ここで富山湾の神秘に迫るBS番組の仕事の依頼があり、初めて本格的にホタルイカの撮影をすることなります。

数年間はずっと海に潜りっぱなしでした。富山湾の地形や生息するポイントなど、右に出る人がいないくらい詳しくなりました。富山湾のホタルイカ撮影の第一人者となっていました。

 

次々と仕事が舞い込んでくる

アメリカの大学を卒業しているので英語は堪能です。その撮影の様子を英語でネットにアップしていました。するとイギリスの国営放送BBCから「ホタルイカの番組を制作するので力を貸して欲しい」と仕事の依頼がありました。

またアメリカの自然ドキュメンタリー番組「ナショナルジオグラフィック」も、この方の撮影した映像を見て仕事を依頼してきました。

日本の田舎で暮らしながら世界各地に映像を届けるという新しさに、生き方の提案をされた気がしました。

そのフリーカメラマンはもちろんホタルイカが大好きです。そしてその撮影で大きな賞を受賞したいという野望もあります。もちろん賞が取れるかどうかはわかりません。でも好きだからホタルイカを追いかけられ続けるのです。

亡くなった任天堂の元社長の岩田聡氏は自分の得意なことについて「自分の労力の割に周りの人がすごくありがたがってくれること、喜んでくれること、それが得意なことだ」と言いました。

「自分としては努力して達成感があるのに、周りからの評価が芳しくないとき、自分は好きだったとしても実は不得意なことかもしれない」とも言っています。

このフリーカメラマンを見ていると「得意なことをしていれば人からの評価を得られ、仕事が自然とやってくる」ということを実感します。

 

娘が何か感じてくれたら良い

30代で結婚し、3人の娘がいます。仕事が面白すぎて子育てはほぼ奥様に任せっぱなしです。「娘たちが自分のことをどう見ているかはわからないけど、自分が撮影した番組を見て何かを感じてくれたら良い」と言っていました。

子供の運動会があることをすっかり忘れてホタルイカの撮影に行ってしまったこともあるそうです。

大事な子供のイベントを忘れるぐらい好きで得意なことをする人生は素晴らしいなと感じます。そしてそれを支える奥様が実は1番素晴らしいのかもしれません。

 

好きなことを仕事にするために

好きなことを仕事にするのは誰もが憧れることだと思います。このフリーカメラマンの方は、「ホタルイカを撮影したい」という想いを持ち続け仕事にしてしまいました。

そこで偶然出会ったテレビ局の関係者のおかげで仕事をもらえるようになりました。

必要なのは行動力と覚悟です。

アメリカに留学して映像を勉強したことやホタルイカのために富山に行くという行動力が、カメラマンの仕事を引き寄せたのです。

またホタルイカを撮影したいという想いだけで、縁もゆかりも食い扶持もない富山に行くには覚悟が必要だったと思います。

好きなことを仕事にするには行動力が必要であり、そのために覚悟を決めて飛び込むことができるかが問われます。

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