20代で読んでおくべき本「質問力」の書評

この記事は書評に関する寄稿記事です。40代ビジネスパーソンの方より頂いた、40代目線から見た20代のうちに読んでおくべき本の書評をもとに構成しています。今回は「質問力」についてまとめました。日本人は特に、質問ありますか?と聞かれても手が上がりませんよね。それは質問力がない証拠です。質問力がないということはコミュニケーションが取れないということです。

質問力ってどんな本?

この本は明治大学文学部教授の斎藤孝氏が質問力について自身の考えをまとめたものです。

コミュニケーションの秘訣は質問力にあり。斎藤氏は質問力はそのままコミュニーケーション能力だとして、日頃から質問力を意識することで鍛えられると言います。

心がけとしては、具体的かつ本質的な質問をすることです。質問はその人の能力が曝け出されてしまうので、質問力を磨き続けなければ、様々な世代の人と継続的なコミュニケーションが取れなくなります。

 

日本では質問が出ない

質問力はコミュニケーション力です。ただ単に頷いているのではなく、自ら積極的に質問してコミュニケーションを深めていくのが質問力であるとしています。

ここに欧米と日本人の差が出ていると言っています。欧米では講義やトークショーなどのあと、何も言わなくても多くの質問が出ます。日本ではこちらから質疑応答はありませんかと問いかけても、まれに全く質問がない場合があるといいます。

事前に「終わりに質問コーナーを設けますので何か考えておいて下さい」と伝えておかなければ質問がないのは、要は考えながら話を聞いていない表れです。考えて質問するということを習慣にすることを薦めています。

 

質問は誰でもできる

質問力が身につくとさまざまな世代の人や専門家の人と深く共感できます。「この人と話していると面白い」と思ってもらえることでさらに継続的なコミュニケーションに発展させることもできます。

ただ質問は、その行為自体は誰でも簡単にできるものです。その人がどんな質問をするかでその人の能力がさらけ出されてしまいます。ですから状況や文脈を常に把握できる能力がないと的を射た質問ができません。

例えば講演会などを聞きに行き、最後の質問では自分以外にも他の誰もが聞きたい質問をするべきです。たまに、その質問いま別にしなくてもいいでしょう?というものがあります。これがまさしく状況などを把握していない質問で、自分の無能さが出てしまっています。

 

良い質問とは?

質問力を身につけるためには日常的に質問力を頭の中に意識することが大切だとしています。いい質問のキーワードは「具体的かつ本質的である」ことです。座標軸を使って質問の種類を整理しています。

縦軸を具体的-抽象的、横軸を本質的-非本質的とします。すると質問が4つに分けられます。

質問の4分類

非本質的 本質的
具体的  ②
抽象的

①右上が具体的かつ本質的な質問です。

④右下は抽象的かつ本質的な質問です。宗教的ゾーンと呼んでいます。例えば「あなたにとって生きるとはどういうことですか?」とか「人生で最も大切なものは何ですか?」と聞かれて「愛」と答えるような、不毛に近い対話だと言っています。「今のお気持ちは?」と聞いて「嬉しいです」と答えるのも同じです。

本質的であることと抽象的であることは一見似ているので、どうしてもこのゾーンに質問が偏ると言います。大事なこと、真面目なことを聞こうとすると漠然としてしまうのです。

②左上は具体的かつ非本質的な質問です。例えばスポーツ選手にプレーとは全く関係ないプライベートのことを聞くことなど、高い専門性を持っている人に専門的なことを聞かないことです。

③左下は抽象的かつ非本質的な質問です。「哲学的にねじれてしまった頭の持ち主がときにする妙ちくりんな質問」とバッサリ切り捨てています。

質問力という概念を持たないで質問すると④の抽象的で本質的な質問か②具体的だけど非本質的な質問をしてしまうと言います。具体的かつ本質的な質問がなぜ良いかは、クリエイティブな対話や新しい意味を生み出すからだとしています。

 

具体的かつ本質的とは?

斎藤氏はいい質問の代表として作家の谷川俊太郎氏が書いた「谷川俊太郎の33の質問」をあげています。

この質問を考えてみて下さい。さまざまな質問のヴァリエーションがある中で2番目に「自信をもって扱える道具をひとつあげて下さい」という質問があります。この答えでその人のことをほとんどわかってしまえます。

例えばサッカーをやってきた人はサッカーボールですし、野球をやってきた人はボールかバットでしょう。読書を通じて日本語を勉強してきた人は日本語を道具と捉えてもいいでしょう。この答えによってお互い非常に深い話ができるのではないでしょうか。

この質問は自分がいままでやってきたことをクリアに考えることができる「具体的かつ本質的」な問いです。このような問いを心がけることでコミュニケーション能力が格段に身につきます。

 

質問力はコミュニケーション能力

そのほかのポイントとして、自分も聞きたいし相手も話したいこと、現在の文脈に沿っていて相手の経験世界や過去の文脈に沿っていることなどを紹介しています。

また相手に対する情報を事前に調べて質問することも大切だと言っています。相手が忘れていた意外な答えを発見した問いができれば質問力のレベルが上がったと言えます。

まずは日々頭のなかで具体的かつ本質的な質問を意識すること。コミュニケーション能力を上げると、人との出会いをさらに素晴らしものにし、さらに多くの出会いを生むのではないかと感じます。

 

「話を聞く」を能動的に捉える:編集後記

学校の授業や何かの講演会などで先生が「何か質問はありますか?」と聞いたとき、誰も質問しない状況は誰しも経験したことがあると思います。この状況はつまり、誰一人頭を働かせて話を聞いていない状態とも言えます。

「話を聞く」という行為を受け身と捉えると、頭を働かせずに聞くだけになってしまいます。「話を聞く」という行為を能動的に捉えることで、考えながら話を聞くことができます。そうすれば自ずと質問も浮かぶはずです。

質問したいけど、的を射た質問ができるか自信がないから質問しない、という人も多いと思います。ただそれではいつまでたっても質問できません。何事も経験です。

今から700年ほど前に出された吉田兼好の徒然草には「うまくいかないうちは誰にも見せたくない、上達してから見せるのが格好いい。などと言っている人がうまくいったことはない」と記されています。

やってみなければ始まりません。まずは自分の頭で考えて質問力を磨いてください。講演会や学校の授業で必ず1回は質問すると決めれば、質問するために頭を働かせます。

質問する機会で質問が浮かばないという人は、この本を読んで質問力を理解してくださいね。