20代で読んでおくべき本「僕は明日もお客様に会いに行く」書評

この記事は書評に関する寄稿記事です。40代ビジネスパーソンの方より頂いた、40代目線から見た20代のうちに読んでおくべき本の書評をもとに構成しています。今回は「僕は明日もお客さまに会いに行く」についてまとめました。お客さまに接している時、どんな気持ちで接していますか。営業成績のことばかり気にしていませんか。その気持ち、相手に伝わっていますよ。大切なのは「愛」をもって接することです。

僕は明日もお客さまに会いに行くってどんな本?

shutterstock_524702554

この本は、外資系生命保険会社の入社数年目の若手営業パーソンである主人公が会社のトップセールスパーソンであるメンターに指導を受けて成長していくというフィクション小説です。

フィクションではあるのですが、著者はプルデンシャル生命保険のトップセールス川田修さんです。プルデンシャルといえば、高い理念を掲げ、前年割れが続く業界にあって毎年業績を伸ばし新風を巻き起こし続けている会社です。

そのなかで川田さんが働きながら感じたこと、実際に行っていること、また実際にあった出来事を元に書かれています。

 

営業で最も大切なことは「愛」

shutterstock_319596401

川田さんは本書の他にも「カバンはハンカチの上におきなさい」という著者でも知られています。お客様の自宅にお邪魔して鞄を置くとき、床や椅子やソファーの上に何気なくそのまま置いていないでしょうか。

川田さんはハンカチを広げてその上に鞄をおきます。特に保険会社の営業が持っている鞄は大きくて重いので電車などに移動中、床に置いたりして鞄の下が汚れています。そんな鞄をお客様の自宅でそのまま置くと汚れてしまうので川田さんはこうしているのです。

このことに象徴されるように、川田さんは営業として1番大切なことは「愛」だと言っています。商談して自分たちの都合がいいようにプレゼンテーションして、ノルマに追われて数字を追いかける。そんなやり方をしていれば、一時的には通用するかもしれませんが長くは続きません。

 

物語に入らせてもらうスタンス

shutterstock_330828347

この作品のなかである企業の商談にメンターが同行する場面があります。まず車を停める場所。入口から一番遠い場所に車を停めさせます。それも他の人たちに近い場所を優先させたいからそうしていると言います。

またアポイントをもらったからといっていきなり商談でプランの話をしたりもしません。まず先方がいま何を考えているのか、何に興味があるのか、それを聞きたいと言います。

どんな人もその人なりの物語を持っている。その物語の中に少しだけでもいいから自分たちが入らせてもらって、物語をさらに素敵にしていけたら最高だよね出典:僕は明日もお客さまに会いに行く

スタンスが違うのです。こんなスタンスだからこそ自分の話をするよりまず相手の話を聞きたいと思うのです。

他の会社と圧倒的に差別化された商品というものは今はほとんどありません。あったとしてもごくわずかで少し安いといった程度です。それでも安い方がいいという人はいますのでそれを否定するつもりはありません。

だからこそただモノを売っているだけではダメです。目の前の人が過去にどんな経緯があり、今があって、さらに未来にどんな希望を持っているのか、そんな物語を知るということは、要するに相手の立場になって考えるということです。そして相手が好きになるということです。

問題になっていることの1つが生命保険で解決できるのであれば、そのお手伝いをするというスタンスなのです。個人事業主なので会社からこれを売りなさいと言われているわけではありません。会社の都合を考える必要はなく、目の前の人のことだけを考えばいいのです。ですから商談せずに帰ってくることがあるのです。

これを一言で言えば「愛」になります。

 

「愛」をもって接する

shutterstock_346932989

結婚して子供が生まれたとします。その子供が他の子供を叩いたり、また道路を飛び出したりしたときに本気で怒るのではないでしょうか。なぜ本気で怒るのか。それは「愛」があるからではないでしょうか。

これは何も家族のなかだけではありません。川田さんはすべての行動について「愛」を持てと暗に伝えています。

カバンをハンカチの上に置くことも、車を入口から遠くに停めることも、相手の物語を聞きたいと思い、その物語に少しでいいから自分たちも入らせてもらいたいと思うことも、ときには商談相手の社長と従業員に対する考え方などで言い争いになることも、すべて「愛」から生まれています。

そしてこの本のなかでは若手社員に対しても「愛」を持って接しているので多くをはっきりとは語りません。自ら求めて進んで行動するまで待っています。

商品を売ることばかりを考えていた主人公が自分も商品の一部であることを知り、そして徐々に自分には人に対する「愛」が足りなかったことを感じていきます。それは特に自分身近な家族、会社の仲間に対してです。

自分の身近な人たちに優しく愛情持って接することができない人がお客様や商談で会う人に愛を持って接することができるでしょうか。取り繕うことはできます。ですが本物ではないので後で化けの皮が剥がれるでしょう。

結局どんな仕事もそうなのだと思いますが、特に営業という仕事は人間的に本物の人にならないと続けられないものなのではないでしょうか。営業のノウハウよりも何よりも人としてなにが大切なのか。そんなことを教えてくれる1冊です。

 

「愛=おもてなし」:編集後記

shutterstock_314809457

犬は人間の感情がわかるといいます。楽しそうにしていれば一緒に遊ぼうとするし、落ち込んでいれば励まそうとします。

犬に感情が伝わって人間同士で伝わらないわけがありません。「愛」をもって接すればそれは伝わりますし、営業成績のことばかり考えて接していればそれも伝わります。相手が自分のために話していないな、と感じたことがある人もいるのではないでしょうか。

全てに愛を持って接することができるのはイエス・キリストとお釈迦様くらいだろう、と考えていませんか。実はこの記事の編集者も最初はそう考えていました。

ただ私たちには「おもてなし」の心があります。これはまさに「愛」をもって接することです。全てに対して「愛」をもって接することはできなくても、「おもてなし」の心をもって接することはできるのではないでしょうか。

日本では少子高齢化が問題となっています。地域との繋がりも薄くなってきています。そんな世の中だからこそ、「愛」と「おもてなし」の心をもって他人と接していくことが大切だと感じます。

この記事を読んで「愛」をもって接することの大切さが理解できた人は、この本を読んでさらに理解を深めてくださいね。

あわせて読みたい