20代で読んでおくべき本「嫌われる勇気」の書評

書評・レビュー

この記事は書評に関する寄稿記事です。40代ビジネスパーソンの方より頂いた、40代目線から見た20代のうちに読んでおくべき本の書評をもとに構成しています。今回は「嫌われる勇気」についてまとめました。人は誰しも、誰かに認められたいと思っています。ただそれは、ほんとうの意味で自分がやりたいことですか?他人の望みに応えることは必ずしも自分の望みではないかもしれません。

嫌われる勇気はどんな本?

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誰かに認められたい。そんな承認欲求は誰でも持っています。例えばFacebookに投稿し、たくさんの「いいね」が集まれば嬉しいですし、集まらなければ寂しくなるのは私だけではないでしょう。

この本ではそんな承認欲求を否定しています。心理学の三大巨頭の1人と言われるアルフレッド・アドラーが確立したアドラー心理学をわかりやすくまとめたのがこの本です。

 

承認欲求は他人の人生を生きること

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産まれたその時から私たちは親の教育で育つため、多かれ少なかれ親の影響を受けることになります。子供を育てるとわかるのですが、パズルができた、問題が解けた、かわいい洋服を着た、など何かをしたときに子供は「見て、見て〜」と言います。

そのときに「すごいねー」「できたねー」「かわいいねー」と答えると納得したように笑顔になります。ここで何も言わず無視していたらおそらく何も言ってこなくなるでしょうが、そうしたいと思いませんし、そうする勇気もありません。

いったいどんな子供に育つのかと考えてしまうからです。つまり、承認欲求は大人だけでなく子供も求めるものということになります。親もその欲求を満たそうとするため、承認欲求は人間にとって普遍的な価値観になっていると感じています

アドラーはこれを否定します。

承認されることを願うあまり、他者が抱いた「こんな人であってほしい」という期待をなぞって生きていくことになる。つまり、ほんとうの自分を捨てて他者の人生を生きることになる。出典:嫌われる勇気

 

承認欲求に振り回された例

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私の友人にパソコンのプログラマーがいました。彼の実家は世田谷区に豪邸を構える医者一家でした。聞くと江戸時代から家族は全員医者だそうです。彼も当然親から医者になるための教育施されたと言います。医者になるために塾に行き、医学部にいくために有利な中学校を受験したそうです。

そして大学受験は現役時代に失敗したのですがそのときにこう言われたそうです。「医学部に現役で合格できなかったのは汚点だ」。そのときから彼はもう医学部に行きたくなくなったそうですが、そんな気持ちを抑えながら浪人し翌年には医科大学に合格しました。

大学に入っていざ勉強をすると何も面白くなかったそうです。毎日が苦痛でこの先医者になっても何も面白くない人生になるだろうと感じていました。自分のなかでは医者の研究よりもプログラミングの方が楽しく、将来はその道に進みたいと思い始めました。

そこで意を決して親に医学部を中退し専門学校に行くことを伝えたところ、父親はそれを認めず、やるなら勘当だと言われました。彼は悩みに悩んだ末、勘当を覚悟で医科大学を中退し、専門学校に通いました。

当然親とは絶縁ですからアルバイトをしながら自分で学費を払いました。そこから10年以上父親とは口も聞かず、唯一つながっていたのは母親だったそうです。私と会ったときにも父親に対する恨みつらみを口にしていましたが、本当は認めてもらいたかったのだと思います。

 

これは誰の問題?

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彼と同じように、他人からの承認を得るために、他者からの期待に応えるために、その他者の喜びそうなことに合わせて生きることがあると思います。アドラーはこれを否定しています。

そのために必要なのが「課題の分離」です。課題の分離とは「これは誰の問題なのか?」を考えることで自分の課題と他人の課題を分け、他人の課題を考えないようにすることです。

例えば先の友人のケースですと、医学部にいくのは親の希望でした。そして医学部を中退することは自分の課題であり、それを親がどう思うかは他人の課題です。その後親と絶縁状態になってしまいますが、親に対して愚痴をこぼすのは自分にはどうすることもできない他人の課題です。

つまり、自分のやっていることが他人に認められるかどうかは他者の課題であって、自分でコントロールできることではないのです。プログラマーの道に行くこと、それが「自分の信じる最善の道を選ぶこと」だったのです。

 

嫌われる勇気とは?

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他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。つまり自由になれないのです。出典:嫌われる勇気

これが「嫌われる勇気」です。ただ課題を分離するだけでは「自分には価値がある」という実感は湧きません。そこで大切なのは貢献感だと言います。他人の期待や評価とは別に「自分の主観」によって他人に役に立っていると思えるかどうかがポイントです。

これさえあれば承認がなくても自分の価値を実感することができます。他人の目を気にしすぎる人にとって、この本は新しい考え方を吹き込む素晴らしい出会いになると思います。

 

他人の人生を生きないために:編集後記

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承認欲求を否定することは難しいことです。日常生活でたくさんの人と接する私たちは、多くの場面で「他人」という存在を意識した行動を取ってしまいます。

おしゃれな格好に憧れるのは、異性に認められたいからかもしれません。いい大学にいきたいのは、友人に尊敬されたいからかもしれません。大企業にいきたいのは、羨望の的になりたいからかもしれません。

この記事の編集者が通っていた大学でも、いわゆる「優等生」はたくさんいました。ただそういう人に限って、就職活動をするときになって「自分のやりたいことがわからない」状態になってしまうのです。これまで承認欲求に従って「他人」に認められるための人生を歩んできたことが1つの要因だと感じます。

他人の評価を恐れずに自分の意志に従うことは簡単なことではありません。だからこそこの本のタイトルは「嫌われる勇気」なのです。ただ承認欲求に従うことは「ほんとうの自分を捨てて他者の人生を生きること」です。「自由になれない」ことです。

この記事を読んで自分の人生を生きたいと思ったら、この本を読んでみてくださいね。

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