20代で読んでおくべき本「小さな会社の生きる道」書評

この記事は書評に関する寄稿記事です。40代ビジネスパーソンの方より頂いた、40代目線から見た20代のうちに読んでおくべき本の書評をもとに構成しています。今回は「小さな会社の生きる道」についてまとめました。自分の見せ方次第で印象はガラリと変わりますよね。自分をどう見せるか、これはブランディングと呼ばれます。ブランディング次第で営業成績から商品の売れ行きまで大きく変わりますよ。

小さな会社の生きる道ってどんな本?

shutterstock_365175962

表参道ヒルズにも展開している中川政七商店。麻をつかった雑貨や小物などを販売するメーカーブランドです。この著作はその13代目、中川淳さんが書いた経営本です。

自社だけでなく伝統工芸品を扱う他社のコンサルティングも行い、数々のメーカーを立て直してきました。その根底にあるのは「ものを売る」という考え方ではなく、「ブランドをつくる」ということです。

この考え方は、モノが売れなくなった時代に人は何を買っているかを考えるヒントになります。また「自分」という人間を、先行きの見えないこれからの時代にどのように「ブランディング」していくのかということも合わせて考えることができます。

 

ブランドの力

shutterstock_441509242

ブランドが確立されるとすべてが変わると中川さんは言っています。ブランド力があれば、お客さん、商談、お金、情報、人材、すべてが向こう側から集まってきます。

反対にブランド力がなければ、お客さんを探すために1件1件電話して、営業や広告宣伝などあらゆる集客を行わなければいけません。採用のために就職サイトを使う必要もあります。ブランド力がつくと良い人が集まり、良いお客さんが集まり、良いパートナーが集まるのです。

中川さんはブランドを以下のように定義しています。

差別化され、かつ一定の方向性(=らしさ)をもったイメージにより、商品、サービスあるいは会社そのものにプラスをもたらすもの出典:小さな会社の生きる道

差別化とはお客さんが他と違うということ感じられることです。同じ商品をみてもお客さんの感じ方は様々です。そのなかで「らしさ」とは、メーカー側が自分達らしさを客観的に知り、それをお客さんが商品を見るだけで伝わるように努めることです。

ブランドイメージはお客さんの頭の中にあると言います。お店の接客態度、服装、内装、ディスプレイ、レジ周りの整理整頓といった、お客さんが五感に感じるものすべてです。

お客さんの目に触れない部分、本社従業員がだらしない姿でお弁当を食べるようなこともブランドイメージに合わないし、そういう態度は商品を通じてお客さんにも伝わってしまうものだと言います。

 

マーケティングとブランディングの違いは?

shutterstock_435823198

ここで述べていることは、例えば営業パーソンでも言えることです。自分という営業パーソンの「ブランディング」に成功すれば、お客さんも商談も情報もすべて集まってきます。

そのためにどんなスーツを着るか、ネクタイはどんな柄にするかということももちろん、普段の生活態度など、見えないところで行っていることはお客さんの前に立つと細かいところに見え隠れするものです。自分を商品と捉えて、どう差別化していくか、何が自分らしさかを考えていくことが大切です。

「どう差別化するか?」「らしさは何か?」これらを考える時に市場を分析したりしますが、そうではないと中川さんは言っています。「マーケティングがしっかりしていますね」と言われることがよくあるそうですが、中川さんのなかではマーケティングとブランディングは全く違います。

  • マーケティング=市場起点
  • ブランディング=自分起点

中川さんによれば、市場を分析して穴(ブルーオーシャン)を探してポジションを取っていくのがマーケティングです。それに対して、まず自分たちが何をやりたいのか、どんなものつくりたいのかが先に来て、その後で市場における自分たちのポジションを認識するのがブランディングです。

やるべきことは同じでも、何を起点にするのかが決定的に違うと言います。中小企業ではブランディングの方が方法論として合っているとしています。その理由は、お金をかけられないので高度な市場分析ができないこと、大きな売上規模をとる必要がないことです。

「自分のやりたいこと」が知らず知らずのうちに「儲けること」とイコールになってしまうことがよくあるそうです。ブランディングのつもりが気づいたらマーケティングになってしまっているということですね。

 

人は何を買っている?

shutterstock_126762269

マーケティングは平たく言えば「どんな人が何を買っているかを調べること」です。したがってどうしても消費者とそれに見合った商品という発想になります。これだけモノを買わなくなってきているのに、モノから考えることを始めているので売れるわけがないと思います。

中川さんははっきりとは言っていませんが、消費者は商品そのものを買っているのではなく、そこに隠れた物語や歴史やライフスタイルといったブランドのメッセージに共感して買っているのだと思います。

同じような商品で安いものは探せばいくらでもあります。それでもあえてその商品を手にするのは、そこから伝わるブランドのメッセージに共感しているからです。

例えば髪を切るにしても、今は10分1000円でカットできるお店があります。安いからといって下手なわけでなく、技術もしっかりしていて、接客態度も悪くありません。髪を切るだけならここでいいわけです。

それでも値段だけみれば4倍から10倍以上する美容室に行くのは、そこに「他にはないこと=差別化、らしさ」が感じられるからではないでしょうか。

人は何を買っているのか、自分という個人は何を売っていくかを深く考えるきっかけになる1冊です。

 

様々な応用が効くブランディング:編集後記

shutterstock_408117394

この記事の編集者が就職活動をしていた頃よく言われたのが、ネクタイの色です。爽やかさやスマートさをアピールしたいなら青系統、明るさや元気さをアピールしたいなら黄色系統、情熱や根性をアピールしたいなら赤系統と言われていました。これも1種のブランディングです。

就職活動におけるネクタイの色をマーケティングするなら、面接する企業が必要としている人材を調べて、それに合う印象を与えられるネクタイの色を選ぶことになるでしょうか。

ネクタイの色の例は、自分にどうブランド力をつけるか(=ブランディングするか)という観点です。これは個人だけでなく企業にも当てはまります。商品をどう売り込むか、それに対してどうブランディングするかが大切です。

どのようにブランディングするか、興味を持った人はぜひこの本を読んでみてください。

あわせて読みたい

カテゴリー