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2019.11.1
2019.11.1
消費関数とは、経済学において「消費行動が何によって決定されるのか」という消費の決定要因を数学的に定式化したものです。
消費関数の中で代表的なものはケインズ型消費関数で「消費は現在の所得水準に依存して決まる」という前提があります。消費関数は家計が消費行動を表すものなので、経済学において非常に重要なものであり、基本的なものです。
消費関数は以下のように求められます。
C=C0+C1Yd
CとはConsumer(消費)の頭文字から来ています。
C0は基礎消費といわれ、たとえ所得がなくても最低限必要とされる消費を指します。例えば食事は最低限の消費行動です。
C1は限界消費性向といわれ、0<C1<1の値をとります。限界消費性向は消費関数をグラフで表す際の傾きになり、所得が増減したときに消費がどれくらい増減するのかを示しています。限界消費性向が正の値をとることから、所得が増えれば消費増えますが、所得が増えたからといって、全く同じ量が増えるわけではない点に関しては注意が必要です。
Ydは可処分所得を表しています。
第2次世界大戦後のアメリカでケインズの消費関数を用いた経済予想が大幅に外れたことから、消費関数に対する新たな関数を生み出そうと複数の仮説が生まれました。この時期に行われた消費関数に対する論争を消費関数論争と呼びます。
消費関数論争で上がった代表的な3つの仮説についてここでは説明します。
消費関数論争の3つの仮説
相対所得仮説はデューゼンベリーの提唱した説です。
デューゼンベリーは、経済において消費は個人だけで行われるものではなく、必ず他者の所得との相互関係の中にあるとしました。
ケインズの消費関数では、所得が増えると消費が増えるという前提がありましたが、それを一部否定します。個人の消費は自己の所得の絶対的な大きさだけでなく、他者の所得の相対的な大きさに依存するとしました。
また、消費者は過去の消費習慣を維持しようとする性質があることから、たとえ所得が下がっても消費習慣は維持されるため、消費は過去の最高所得に依存するとしました。
この2つの観点から新しい消費関数の仮説を生み出したのです。
恒常所得仮説はフリードマンの提唱した消費関数の理論です。フリードマンは1976年にノーベル経済学賞を受賞しています。
フリードマンは、消費者の所得の部分に目を向けました。所得は給料や賃金など恒常的に入手できる恒常所得と、一時的に入手できる宝くじのような変動所得に分けることができます。
恒常仮説理論とは、消費者が消費水準を決定する際に、今後も今までと同様に得られるであろう恒常所得に依存するというものです。
ライフサイクル仮説はフランコ・モジリアーニが中心となって提唱した理論です。
デューゼンベリーやフリードマンと違って、彼は現在の消費は現在の所得に依存するものではなく、生涯通じて得られるであろう所得の総額に依存するとしました。
この理論では生涯得られると期待される所得の水準で決まります。若い頃は貯蓄傾向にあり、歳をとると貯蓄を使う傾向にあることから、個人の各時期のライフスタイルに合わせた消費の仕方を表しているという意味でライフサイクル仮説と名付けられています。
内閣府のホームページを見ると、政府が出した消費関数推計が載っています。そもそもなぜ政府は、膨大な数の国民の消費行動を数学的に定式化した消費関数で表そうとしたのでしょうか。
その答えは、消費税増税時の所得効果と代替効果の数値的な結果を得るためです。
所得効果とは、価格が変動した時に消費者の実質的な所得を通じて消費量に与える効果のことです。代替効果とは、価格変動した時に相対的に値段が高くなったものを安いものに変える消費行動が必要になることです。
この2つの効果を数値化するには必ず消費関数が関わる事になります。
内閣府のホームページによると、増税時の駆け込み需要の反動減による代替効果は▲3.2兆円程度(▲はマイナス)と推計され、消費税率引き上げによる所得効果は▲2.7兆円程度と推計されました。
消費関数という言葉を聞いたのが、この記事を読んで初めてだという人も多いと思います。消費関数という言葉は大学で経済学を習わない限り、一生触れることがないかもしれません。
ただお小遣い帳や家計簿つけるなど、日常的に所得を考えながら消費行動をする場面はあるともいます。これを定式化したものが消費関数なのです。そう考えると消費関数も身近に感じるのではないでしょうか。