意思決定

人事が知っておくべき中心化傾向とは?原因や対策は?寛大化・厳格化傾向とは?

人間が無意識に陥りやすい「中心化傾向」を知っていますか?中心化傾向とは、人事などの評価時に評価結果が中央に集まりやすくなる傾向を指します。事なかれ主義であることが原因とされます。同様の傾向である「寛大化・厳格化傾向」も問題視されています。この記事では、評価者が陥りがちな間違い、原因や対策について説明していきます。

中心化傾向とは?

shutterstock_361091645

中心化傾向は評価する時に当たり障りのない評価をしがちな傾向のことです。評価結果が「すごく良い」や「すごく悪い」などの両極端を避けて、「普通」、「どちらでもない」、「まあまあ」などの中央に集まる傾向を指します。

具体的には、人事評価を5段階で行うとした際、3という評価に集中してしまうようなことを表しています。

中心化傾向は人事評価者が陥りやすいエラーの1つといわれます。評価が中心化傾向の影響を受けるため、正当な評価でなくなります。

中心化傾向に陥ると、あまり差がでない状態になるため頑張るモチベーションが失われます。頑張っても評価されないため、頑張り損という意識が組織の中で浸透してしまいます。

中心化傾向は評価制度自体を有名無実化させる危険性があるのです。

 

中心化傾向に陥る原因は?

shutterstock_263342492

中心化傾向は評価者の行動や心理、組織や制度に原因があります。中心化傾向の原因は以下の3つに分類されます。

中心化傾向の3つの原因

  1. 行動的な原因
  2. 心理的な原因
  3. 組織・制度的な原因

1.行動的な原因

  •  評価基準が理解できていない
  •  部下の行動や能力発揮を把握できていない

行動的な要因の例としては、部下の能力を把握していないことから能力以上のプロジェクトを任せるのが怖いため「良い」でなく「普通」を選択することが挙げられます。

2.心理的な原因

  • 評価に自信がない
  • 部下からの不満が怖い

心理的な原因の例としては、人間関係でトラブルが生じるかもしれないという懸念から「悪い」でなく「普通」を選択することが挙げられます。

3.組織・制度的な原因

  • 部下の数が多すぎる
  • 部下が通常組織とは別のプロジェクトで活躍
  • 評価基準が曖昧
  • 奇数の段階を設定した絶対評価(5段階、7段階など)
  • 報酬の関係で強制正規分布させる仕組み

組織・制度的な要因の例としては、部下が管理範囲を超えていることから部下に対する情報が不十分で「普通」という評価しか下せないことが挙げられます。

 

中心化傾向の対策は?

shutterstock_416321503

中心化傾向に陥らないためには十分な情報収集とともに自信を持った判断を下すことが必要です。中心化傾向の予防策には日頃から部下を良く知ることが必要不可欠です。部下の働きを観察して記録をとることが望まれます。

評価項目の意味や定義について理解することも必須です。評価項目ごとの着眼点と基準を再確認すると良いでしょう。

部下とも共有することも評価に自信をつけることに繋がります。目標設定の段階で達成基準を部下と確認することで、部下も評価結果に納得しやすくなるでしょう。率直な意見を言い合えるように部下との良い人間関係を築き上げていくこと重要です。

1度決めたら、部下に求めている基準に対する到達度で評価する必要があります。正当性に欠けた評価は長い目でみると部下のためにも組織のためにもなりません

根本的な解決になりませんが、評価段階を偶数(4段階、6段階など)にすることも考えられます。

 

寛大化傾向や厳格化傾向とは?

shutterstock_232945171

中心化傾向と似たような評価者が陥りやすい傾向に寛大化傾向や厳格化傾向というものがあります。

寛大化傾向=すべての評価が高くなる(5段階の4や5に集まる)傾向
厳格化傾向=すべての評価が低くなる(5段階の1や2に集まる)傾向

寛大化傾向の原因は?

寛大化傾向は部下に対して低い評価をつけることに負い目を感じる人が陥りやすいと言われています。

評価への批判や反発を恐れて評価が甘くなりがちになります。評価者が評価対象者からよく思われたいという意識が働く場合も寛大化傾向になりがちです。

甘く評価することは簡単にできますが、弊害が多いです。寛大化傾向は結果的に差がでなくなるため、部下の成長を止めてしまう危険性があります。

寛大化傾向の対策は?

寛大化傾向を避けるには、寛大化傾向は長期的にマイナスになるのを認識することが重要です。更には、公私は別ものであるという倫理観をもって基準に沿った評価を下す必要があります。

評価を数字ではなく、文章で記述させるという手もあります。文章であれば、デジタルな評価でないことから評価者自身が説明をする必要があり、正当な判断に近づきます。絶対的な判断ではないことから部下の反発が少ないです。

厳格化傾向の原因は?

厳格化傾向は完璧主義の人が陥りやすいと言われています。自分にかなり自信を持っている人や能力の高い人が、自分を基準にして評価する場合に起こりやすい傾向です。

新卒採用でいえば面接官が応募者の評価を低くしがちなことです。面接官は社会人で、学生よりも知識や経験などが豊富なことが一般的です。社会人として経験を積んでいる面接官自身を基準にすれば、評価が低く集まることは当然と言えるでしょう。

スポーツの世界では「名選手必ずしも名監督ならず」というのも厳格化傾向に陥ることが原因です。現役時代は「名選手」だった新米マネジャーが、今の現役選手に対して低い評価を下してしまうために「名監督」になることができません。

厳格化傾向では重箱の隅を突くようなあら探しをしがちです。更には上位評価がいなくなり差がつかないため、モチベーションを下げます。厳格化傾向にも注意が必要です。

厳格化傾向の対策は?

厳格化傾向は評価基準の設定を明確化することで回避できます。評価基準を他の面接官とすりあわせておくことが重要です。基準に合わせて部下の行動や取り組みを踏まえて客観的に評価することで正当な判断を下せるようになります。

更には自分とは異なる長所がないかを探そうとすることで厳格化傾向の予防が可能です。

 

心理的傾向を知り正当な評価を

shutterstock_296449292

仕事をしていく上で、人を評価しなければならない事がありますよね。もちろん、管理職であれば部下への定期的な評価が求められます。ただ、管理職以外でも他のメンバーを評価しなくてはならないことがあります。

人事評価というものは人材育成が最大の目的です。部下の成長のために現状に即した評価を行うことが重要なのです。

人事評価は人間がするものであるから誤差は避けられないと言われています。ただ、心理的傾向を知っておくことで予防することが可能となるのです。中心化傾向を知り、そうならないように注意をするだけで評価の誤差を是正することができます。

この記事を読んだ人は、中心化傾向や寛大化傾向、厳格化傾向を知っておくことで正当な評価をくだせるようになりますよ。

あわせて読みたい

カテゴリー