20代で読んでおくべき本「聞く力」書評

書評・レビュー

この記事は書評に関する寄稿記事です。40代ビジネスパーソンの方より頂いた、40代目線から見た20代のうちに読んでおくべき本の書評をもとに構成しています。今回は「聞く力」についてまとめました。聞き上手の人っていますよね。そういう人と話しているとつい色々なことを話してしまいます。聞き上手の人は他の人と何が違うのでしょうか。

聞く力ってどんな本?

この本は、タレントでエッセイストの阿川佐和子さんがこれまでの対談番組やバラエティ番組などで経験したインタビューについてまとめたものです。どうやって相手の心を開いてもらうか、「聞く力」として35のヒントが書かれています。インタビューには質問を3つだけ用意するといった具体的な方法も記載されています。

ただ大切なのは目の前の人がどんな気持ちでいるかを考えること、相手の話を本気で聞いていることが伝わることだと感じました。

聞くということはインタビューだけではなく日常の至る所で行われます。当たり前のように毎日行っているからこそ、自分が人の話をどのように聞いているか考える機会になる1冊です。

 

質問はたくさん用意しない

阿川さんはテレビ仕事を始めてたまたま開いたアナウンサーの著書の中に、インタビューでは質問を1つだけ用意して出かけなさいと書いてあるのを見つけました。

当時阿川さんはインタビュー前に20項目にもわたるシミュレーションをレポート用紙に書き留めてからインタビューに臨んでいたそうです。

ですから質問1つだけだとその答えが返ってきた時点で帰らなければならない、どういうこと?と困惑した体験を述べています。

その真意はこうでした。

もし1つしか質問を用意していなかったら、当然次の質問をその場で考えなければならない。次の質問を見つけるためのヒントはどこに隠れているだろう。隠れているとすれば、1つ目の質問に応えている相手の、答えのなかである。そうなれば質問者は本気で相手の話を聞かざるを得ない。そして本気で相手の話を聞けば、必ずその答えの中に、次の質問が見つかるはずである出典:聞く力

 

聞くことは相手の状態に気付くことから

例えば営業の仕事というのはある意味聞く仕事です。相手が今何を不満に思っているかを聞き、提案する商品で課題を解決するお手伝いをします。

だからその人が何が不満なのかを聞き出さなければいけません。そのために想定問答を作ったりロールプレイをしたり準備をします。

ところがあまりにも準備することに一生懸命でいると大事なことに気づきません。目の前の人がいまどんな気分でいるのか。自分の用意したことで頭がいっぱいで、相手の仕草や表情などに頭が回らず、目の前の人の今に気がつかないのです。

この本で取り上げているある旅館の女将さんの話です。

明るく接客するということは自分たちサービス業の人間にとって基本中の基本である。しかし、お客様の中には、落ち込んでいたり、悲しみに沈んでいたり、心配ごとやイライラを抱えたりしながら、旅館を訪れる方も大勢おられるでしょう。そんな方をお迎えするとき、ただひたすらに「明るく」していてよいものだろうか。(中略)お客様が今どういう気持ちでいるのかを子細に尋ねなくても、様子見て推し量ることができるようにならないと、本当のサービスとは言えないのだと思い知ったそうです。出典:聞く力

 

相手のことを考える

阿川さんが「目の前の人がもし友達だったらどうしますか?」と聞くことの本質について語っています。

例えば直木賞作家のインタビューでその作家が眼帯をしていらしたとします。その方に会うなり「直木賞おめでとうございます!」という挨拶はどうでしょうかと。
自然に出てくるのは「どうしたの、その目は?」これがコミュニケーションの自然の流れです。ところがいざ仕事や堅苦しい場面においては、こうした当然のやりとりがとかく敬遠されるケースがあります。
(中略)
どんなに真面目な話をすつもりでも、人間同士、とりあえず相手の気持ちを思いやる余地は残しておきたい。本題に入る前に、まずその眼帯の苦しみを聞き手が理解していることを示す。
そういう気持ちを伝え、様子を測りつつ、こちらの聞きたいことをぶつけていかなければ、相手は聞き手に心を開きにくいだろう思います。出典:聞く力

こんなことは至るところにあるのではないでしょうか。相手が忙しそうなのに自分の都合で質問する。妻が辛そうなのにいつものように朝ご飯を座って待っている。すべて自分本位なのです。

家族相手にも気持ちを考えることができない人が仕事で相手のことを考えることができるでしょうか。聞くこととは見ることでもあります。まず見ることで相手の様子を知り、相手を思いやり、それから聞くことができます

1日に何回「聞く」でしょうか。目の前の人が気持ちよく心を開いてくれるように、この本で聞き方を学んでみることをオススメします。

 

相手に興味を持つ:編集後記

「聞き上手」な人とそうでない人との違いは何でしょうか。この記事の編集者はその違いを「話し相手に興味を持っているかどうか」だと思っています。

話し相手に興味があれば、相手の話に積極的に質問したり相槌をうったりしますよね。それに対して興味がなければ、相手の話をそれ以上聞こうとは思わないはずです。自然と質問や相槌も少なくなります。それでは話す方もいい気持ちにはなりません。

本書の中で阿川さんは、話を聞くには相手の状態に気付くことが大切と述べています。相手の状態に気付くためには、相手に興味を持たなければなりません。

友人とのコミュニケーションも同様です。「それどうしたの?」と質問するときは、相手に興味を持っているときではないでしょうか。

聞く力は、人とコミュニケーションをとる以上必ず必要になる力です。是非この本を読んで「聞く力」を身に着けてください。

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