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2019.11.12
2019.11.12
改正派遣法は、これまでの派遣労働者を取り巻く課題に対応するために2015年9月30日に施行されました。
日本では高度成長期からバブル経済期まで、正社員雇用が中心でした。
会社の成長に合わせて定期的に正社員を雇用し、人材不足を補っていました。
ただバブルが崩壊すると、会社は正社員を雇用し続けることが困難になりました。
そこで正社員ではなく、外部の労働力を活用する方法が取られるようになりました。
期間が定められている契約社員や派遣労働者の雇用が進みました。
これまでの規制を緩和することで、外部の労働力を使いやすくしました。
あくまで正社員を基本とし、外部の労働力は臨時的・一時的なものであるとしました。
ところがバブル崩壊以降、経済の成長は起きていません。
追い打ちをかけるようにITバブルの崩壊、リーマンショックなどが起こり、正社員の雇用を抑制する動きが強まりました。
ますます外部の労働力や非正規社員の活用が進みました。
このような状況のもと、2015年9月に改正派遣法が施行されました。
現在、正社員雇用の促進は限界に達しているといわれています。
そのため正社員だけでなく、派遣労働者に対して雇用の安定化を進める必要があります。
厚生省はさらに、派遣労働者への待遇を向上し、キャリア形成支援を進めたいと考えています。
厚生省の「改正労働者派遣法」を施行した狙いは以下の3つだと考えられます。
厚生省の労働派遣事業報告書によると、改正のポイントは以下の6点にまとめることができます。
改正派遣法の6つのポイント
特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別を廃止しました。
つまり、届出制と許可制の区別をなくし、すべて許可制にするということです。
派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップや雇用継続を推進するために派遣会社に、以下の点を義務付けています。
派遣就業が臨時的・一時的なものであることを原則としています。
専門業務などのいわゆる「26業務」に関しては、派遣先の同一の事業所における派遣労働者の受け入れは3年を上限としています。
それを超えて受け入れるには、過半数労働組合からの意見聴取が必要です。
意見があった場合には対応方針などの説明をする義務があります。
派遣会社と派遣先の両方で、派遣労働者と派遣先の労働者の均衡待遇確保のための措置が強化されました。
人を入れ替えることにより、企業が派遣をずっと使える仕組みを防ぐためです。
施行3年後の見直し検討を行います。
正社員と派遣労働者の数の動向などを踏まえて、能力を有効に発揮し、雇用安定に役立つ雇用運行が損なわれるおそれがある場合には、すぐに検討を行います。
また均等・均衡待遇を確保する方法を検討するため、調査研究その他の必要な措置を行います。
出典:厚生労働省HP「平成27年 労働派遣事業報告書」
正社員に比べて職業能力の形成をする機会が少ない派遣労働者に対して、改正派遣法ではキャリアアップ支援が義務化されました。
派遣会社には派遣労働者のキャリアアップを支援する必要があります。
希望する派遣労働者はキャリアコンサルティングを受けることができます。
個人のキャリア形成を考慮した段階的かつ体系的な教育訓練が実施されます。
毎年8時間以上の教育訓練を受けることができます。
また派遣労働者の意向に沿ったキャリアコンサルティングが実施されます。
資格を持っている必要はありませんが、キャリアコンサルティングの知識を持っている人が担当者となります。
充分な教育訓練やキャリアコンサルティングが実施されれば、モチベーションを高め、成果を出せる派遣労働者が出てくることが予想されます。
やる気や能力があるにもかかわらず機会が与えられずにいた派遣労働者は、キャリア支援によってキャリアアップしていくことができるといえます。
ただキャリア支援が義務化されたのは1年前の改正派遣法からであり、派遣会社も充分な準備ができていないと考えられます。
今後、有資格者によるキャリアコンサルティングや高いレベルでの教育訓練を行う派遣会社が多くなると、キャリアアップする派遣労働者は増えると考えられます。
今回の「改正派遣法」には、派遣労働者に対して雇用の安定化を進め、派遣労働者への待遇を向上し、キャリア形成支援を進めたいという厚生省の狙いがあります。
そのため厚生省は主に6つの点から派遣労働者の労働環境改善を図っています。
キャリア形成支援は派遣会社に課せられた義務です。派遣労働者がキャリアアップできるかは、派遣会社がどれ程の質のキャリア支援を実施できるかが大きく影響します。
今後は派遣労働者のキャリア支援を重視する派遣会社、高い質のキャリア支援が実施可能な派遣会社が必要とされます。