用語解説

損失回避とは?意味や人に影響する特性は?マーケティングへの活用は?

損失回避とは、利益を得るよりも損失を被ることを恐れる心理状態のことを指します。損失回避から導かれる人間の性質に「保有効果」と「現状維持バイアス」があります。マーケティングでは顧客に対して「損をしたくない」と思わせることが鍵です。損失回避を理解することで、マーケティングやセールス、投資に活用することができます。この記事では、損失回避とその特性、マーケティングの活用法についてまとめました。

損失回避とは?

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人は得をすることを求めるよりも損をすることを避けようとする傾向があります。損をすることに対して必要以上に保守的になったり、リスクを感じてしまいます。これを損失回避といいます。

ほとんどの人には損失回避性という性質があります。人は無意識のうちに、新しく手に入れられる「利益」よりも既に手にしているものを失う「損益」を避けようと行動しているのです。

例えば以下のような質問をします。

質問A:「①50万円を無条件で手に入れる」「②50%の確率で100万円を手に入れる」のどちらかを選んでください。

質問Aに対し、多くの人は「①50万円を無条件で手に入れる」方を選びます。②を選ぶと、50%の確立で100万円が手に入りますが50%の確立でなにも手に入らないからです。無条件で手に入るはずの50万円を失うリスクを回避しています。

質問B:「③50万円ある借金を確実に半分の25万円にする」「④50万円ある借金を50%の確率で0円にする」のどちらかを選んでください。

質問Bに対し、多くの人は「④50万円ある借金を50%の確率で0円にする」方を選びます。③を選ぶと確実に借金は残りますが、④を選べば50%の確立で借金を0円にできるからです。この場合は「借金を払わなければならない」という損失を回避しようとします。リスクはあってもできるだけ損失を減らそうという選択をしています。

このような人の意志に大きな影響をあたえる特性を、行動経済学では「プロスペクト理論」といいます。

 

損失回避、人へ影響する特性は?

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損失回避から導かれる人間の性質に「保有効果」と「現状維持バイアス」があります。

保有効果

保有効果とは、所有しているものに高い価値を感じ、手放すことに抵抗を感じる心理効果のことをいいます。新しいものを手に入れた時のメリットよりも、今保有しているものを失うことや環境の変化にデメリットを強く感じてしまいます。

「1度自分が保有したものを手放す」という損失を避ける損失回避性により保有効果が生じます。

現状維持バイアス

現状維持バイアスとは、大きな変化や未知なるものを避け、現状を維持したくなる心理効果のことをいいます。バイアスとは、「先入観」「偏見」という意味です。人は変化そのものを嫌い、現状のままでいたいと考えます。

現状を変えることによって「なにかを得られるかもしれない」という期待よりも「何かを失うかもしれない」という不安が上回り、不安を回避しようと現状維持バイアスが働きます。

保有効果や現状維持バイアスを外すには?

損失回避によって大きな損失を未然に防ぐことができます。ただ大きな利益を得る機会を逃してしまう可能性もあります。少ないリスクで大きな利益を得られることがあっても、保有効果や現状維持バイアスによってリスクが過大評価され、ベストな選択ができなくなります。

損失回避の状態に陥ったときには、まずは保有効果や現状維持バイアスを思い出しましょう。自分の選択が無意識のうちに必要以上にリスクに恐れていないか、保守的になっていないか見直すことが大切です。評価をフラットな状態に戻し、適切な判断ができるようになります

 

損失回避のマーケティングへの活用は?

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損失回避はマーケティングにも影響します。

特売品やセールは顧客にとって「いつもよりも値段が下がってお得だ」と思わせることができます。ただ特売やセールが終わると顧客は「特売ではなくなってしまった」と思ってしまいます。この時、特売やセールで「安くなった」というプラスの心理よりも、特売やセールが「終わってしまった」マイナスの心理が強く働きます。

一見特売やセールによって売れ行きが上がると思われますが、終わってしまえば通常価格での売れ行きは下がってしまいます。顧客は「通常価格で買うと損だ」と思ってしまうのです。

また、商品から得られる利益をすすめるよりも、損失への恐怖を用いたアプローチの方が、2.5倍も顧客を行動させる力があるといわれています。

例えば、まくらを売ろうと考えています。

  • A:このまくらを使えばあなたはぐっすり眠ることができます。
  • B:あなたがぐっすり眠ることができないのは、自分に合ったまくらを使っていないからです。

顧客は「ぐっすり眠る」ことのメリットよりも、「自分に合ったまくらを使っていない」ことのデメリットを2.5倍も強く感じます。この場合は、Bのフレーズのほうが「自分に合ったまくらを使っていない」という損失を回避しようとしてより多く売れることになります。このようにして顧客に商品の重要性を伝えることができます。

マーケティング業界やセールスでは、このような人間の損失回避を研究して有効に活用しています。販売活動で重要なことは顧客の気持ちを考えることだということを営業パーソンは理解する必要があります。

顧客に対して「損をしたくない」と思わせることが鍵です。

 

損失回避の性質を理解する

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損失回避とは、人は得をすることよりも損をすることを避けようとする性質を持つことをいいます。損失回避に陥ると人は無意識のうちにリスクを過大評価し、ベストな選択ができなくなることがあります。

損失回避を理解すると、株やFXでの投資で多くの人が損をしてしまう理由が見えてきます。人には損失回避を行う性質があるため、株やFXで稼ぐのは難しいのです。逆に考えると、株やFXで利益を得るには、損失回避の性質を理解することが大切だといえます。

マーケティング従事者や営業パーソン、株やFXでの投資を行う人は損失回避を理解しておくことをオススメします。

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