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2017.8.18
2017.8.18
貸借対照表とは企業における財務諸表のひとつです。
バランスシート(BS)とも呼ばれています。
企業のある一定時点の資産、負債、資本の状態を表すために、損益計算書と同時に作られ、その企業の株主や債権者、その他利害関係者に経営状態などの情報を開示します。
賃貸対照表をみることで
が分かります。
大まかな会社の経営状況を判断することができることから、「会社の経営診断書」とも呼ばれます。
貸借対照表は右側(借方)と左側(貸方)に分かれて記載されています。
貸借対照表と同時に出される損益計算書とは、企業の一定期間の収益と費用の状態を表したものです。
貸借対照表が1企業全体の資産などの経営状況を表すものであるならば、損益計算書は企業のある期間の利益や損失を表す経営成績を表すものです。
損益計算書はあくまで営業成績です。
資産の保有の仕方を記してある貸借対照表では、短期的な数値を示す損益計算書では見えない、長期的な経営の意図を読み取ることができます。
まずは左側(借方)の資産の部の見方から見ていきましょう。
資産とは
を表します。
資産は流動資産と固定資産の2つに分けることができます。
2つの資産
流動資産とは1年以内に現金化できる流動性のある資産のことです。
固定資産とは長期にわたり保有する資産のことです。
など設備投資などを積極的にすると増えてくる資産を指します。
物体であることが多く、長期間保有する過程で劣化し、追加費用などが発生する可能性が高いという性質があります。
それでは表の右側(借方)の、「会社がどのように事業資金を集めたか」を表す総資本の部分を見ていきましょう。
総資本とは、負債と資本を合わせたものです。
まずは負債の部です。
負債は流動負債と固定負債の2つに分けられます。
2つの負債
流動負債とは、1年以内に支払わなければいけない借金です。
固定負債とは、支払期限が1年以後の借金です。
次に総資本の資本の部です。
資本とは
のことです。
資本は負債とは違って返さなくてもいいお金です。
などを指します。
以上のように、負債と資本を合わせて会社に必要なお金をまかなう総資本になります。
つまり、総資本の中の返さなくていいお金(=資本)の割合が高い方が会社の健康状態がいいと言えます。
これを自己資本比率(資本÷総資本)と言います。
トヨタの2017年3月末現在の状況としては、世界でEV(電気自動車)などの新技術が台頭する中で次の一手を模索している状態といえます。
トヨタ自体「意志ある踊り場」という言葉で表現しています。
トヨタは、現在もプリウスなどのハイブリッド技術で世界を牽引しています。
しかし、次世代の技術として世界中で期待されているのはテスラモーターズに代表されるEV技術です。
実際にトヨタ自動車もテスラモーターズと資本提携をしていました。
しかし、トヨタは2016年末でテスラモーターズとの提携関係を解消しました。
トヨタ自動車がテスラモーターズなどの新技術に対抗していくという意思表示とも取れる動きです。
そんなトヨタの状態も貸借対照表から見てとることができます。
では、実際に2017年3月期のトヨタ自動車の決算を例に貸借対照表を見ていきましょう。
【資産の部】
科目 | 2016年3月期 | 2017年3月期 |
---|---|---|
資産の部 | ||
流動資産 | ||
現金及び現金同等物 | 2兆9394億円 | 2兆9950億円 |
定期預金 | 1兆320億円 | 1兆826億円 |
有価証券 | 1兆5113億円 | 1兆8215億円 |
受取手形及び売掛金
| 2兆1億円 | 2兆1159億円 |
金融債権<純額> | 5兆9126億円 | 6兆1966億円 |
未収入金 | 4514億円 | 4368億円 |
たな卸資産 | 2兆615億円 | 2兆3886億円 |
繰延税金資産 | 9676億円 | – |
前払費用及びその他 | 1兆3333億円 | 7962億円 |
流動資産合計 | 18兆2095億円 | 17兆8336億円 |
長期金融債権<純額> | 8兆6429億円 | 9兆122億円 |
投資及びその他の資産 | ||
有価証券及びその他の 投資有価証券 | 7兆4397億円 | 7兆6799億円 |
関連会社に対する投資 及びその他の資産 | 2兆6316億円 | 2兆8456億円 |
従業員に対する 長期貸付金 | 329億円 | 251億円 |
その他 | 7302億円 | 1兆1564億円 |
投資及びその他の資産合計 | 10兆8346億円 | 11兆7071億円 |
有形固定資産 | ||
土地 | 1兆3529億円 | 1兆3799億円 |
建物 | 4兆3118億円 | 4兆4709億円 |
機械装置 | 10兆9452億円 | 11兆3573億円 |
賃貸用車両及び器具 | 5兆6526億円 | 5兆9665億円 |
建設仮勘定 | 5139億円 | 4741億円 |
小計 | 22兆7766億円 | 23兆6490億円 |
減価償却累計額<控除> | △13兆362億円 | △13兆4519億円 |
有形固定資産合計 | 9兆7404億円 | 10兆1971億円 |
資産合計 | 47兆4275億円 | 48兆7501億円 |
(※1億円以下は端数として切り捨てています。)
まずは、
の項目を見てみましょう。
注目したいのは、前期と比べて資産合計は1兆円以上増えているのに対して現金はほぼ横ばいということです。
会計の常識として、会社の保有している
という考えがあります。
必要な現金以外は、投資などの動く資産にしなければ眠ったお金になってしまうからです。
トヨタも現金はほぼ横ばいのままにしています。
つまり、現金ではない形で資産を増やしているのです。
では、どの資産を増しやしているのでしょうか。
実は、これを考えるのが企業のCFO(Chief Financial Officer)の仕事なのです。
2017年3月期を見るかぎり、
への投資の増加が目立っています。
工場内の機械などを新たに整備したことが考えられます。
今後の一手を期待される中で、「意志ある踊り場」で足元を整えている印象です。
そんな中、2017年3月期の決算には反映されていませんが、2017年8月にトヨタとマツダとの技術提携の発表がありました。
こういった大きな動きも次期の決算に数字として現れてくるはずなので注目してみてください。
ROA(Return On Asset)とは、総資産に対してどのくらいの利益があるかという指標です。
どれくらい効率よく利益を上げているのかというものです。
ちなみにトヨタの2017年3月期のROAは 3.8% です。
しかし、前期に投資した分がそのまま今期に数字として利益に現れるとは限りません。
10年前から投資してきたものが今季に結果を出している可能性もあります。
ROAは前期と当期の総資産から求めるので、過去の投資が反映されないということを考慮に入れつつ、企業の収益の効率性とその背景を知れば、
が見えてきます。
また、同じように見ていくと自分自身で気になる数字が出てくると思います。
自分で気になる数字を読み解く力がつけば、より企業を深く知ることができます。
【負債の部】
科目 | 2016年3月期 | 2017年3月期 |
---|---|---|
負債の部 | ||
流動負債 | ||
借入債務 | 8兆5210億円 | 9兆2441億円 |
その他 | 7兆6033億円 | 8兆748億円 |
流動負債合計 | 16兆1244億円 | 17兆3189億円 |
固定負債 | ||
長期借入債務 | 9兆7720億円 | 9兆9115億円 |
その他 | 3兆4428億円 | 2兆8506億円 |
固定負債合計 | 13兆2149億円 | 12兆7622億円 |
負債合計 | 29兆3394億円 | 30兆812億円 |
(※1億円以下は端数として切り捨てています。)
【純資産の部】
科目 | 2016年3月期 | 2017年3月期 |
---|---|---|
純資産の部 | ||
資本 | ||
株主資本 | ||
資本金 | 8768億円 | 8829億円 |
資本剰余金 | 5481億円 | 4840億円 |
利益剰余金 | 16兆7942億円 | 17兆6010億円 |
その他の包括利益・ 損失(△)累計額 | 6107億円 | 6409億円 |
自己株式 | △1兆6032億円 | △1兆6082億円 |
株主資本合計 | 16兆7469億円 | 17兆5148億円 |
非支配持分 | 8614億円 | 6682億円 |
資本合計 | 17兆6084億円 | 18兆1830億円 |
純資産合計 | 18兆881億円 | 18兆6689億円 |
契約債務及び偶発債務 | ||
負債純資産合計 | 47兆4275億円 | 48兆7501億円 |
(※1億円以下は端数として切り捨てています。)
貸借対照表を見ることで、企業の経営状態が理解できることがわかったと思います。
資産の状態はどうか。
負債の状態はどうか。
自己資本比率はどうか。
貸借対照表をつぶさに見ることは、株主や債権者や利害関係者に限らず、これから会社がどの方向に向かうべきかを考える上でも大いに参考になる資料です。
また、これから就職や転職を考えている人は貸借対照表を確認することをオススメします。
上場企業であれば貸借対照表は公開されていますので、貸借対照表を自分で研究し、企業を自分の頭で理解する一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。