日米安全保障条約とは?日米同盟のこと?今後日米関係は変化する?

この記事の結論は「日米同盟とは日米安全保障条約に基づく戦後の日本とアメリカの関係。トランプ氏のアメリカ大統領当選によって関係は変化する可能性がある」です。ドナルド・トランプ氏は日米同盟に関して不公平だと発言しており、日米同盟は今後のトランプ氏の政策次第では大きく変化する可能性があります。この記事では、日米同盟や日米安全保障条約、今後の展望についてまとめました。

日米同盟とは?

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日米同盟とは「日米安全保障条約」によって保障されている日本とアメリカの関係のことです。条約の締結によって日米同盟という関係が生まれました。戦後の日本とアメリカの関係性を表す同盟といえます。

  • 日米安全保障条約:日本とアメリカの二国間条約
  • 日米同盟:条約締結によって生まれた日本とアメリカの関係性

2016年11月8日のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏が次期アメリカ大統領になることが決まりました。トランプ氏は日米同盟を強化するとしていますが、日本に在留しているアメリカ軍の日本側の経費増加を主張しています。

 

日米安全保障条約とは?

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現行の日米安全保障条約は、正式には「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」といいます。10条で構成される条約です。1960年1月に締結されました。

1951年に旧日米安全保障条約、正式には「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約」が締結されました。現行の条約はこの条約を改定したものです。

日本とアメリカの経済協力や、日本が攻撃を受けた際に守ることを条件にアメリカ軍の駐留を認めることなどが記されています。近年は、アメリカが攻撃を受けた際に日本が軍事的援助を行う権利(集団的自衛権)が認められるかどうかで話題となりました。

 

日米安全保障条約を解説

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第1条

締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。出典:外務省公式ホームページ

要約

日本とアメリカは、関係のある国際紛争に関して平和に解決する。平和以外の目的で武力での威嚇や武力行使は行わない。
日本とアメリカは、他の国と協力して平和や安全を維持する国際連合に協力する。

解説

国際連合に加盟する国は、国際連合が定める国連憲章を守らなければなりません。

国連憲章の第2条4には「その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」と記されています。

つまり、国際連合の加盟国は平和以外の目的で武力を使ってはいけないということです。第1条では、この国連憲章第2条4を再確認し、日米安全保障条約が純粋に防衛のための条約であることを宣言しています。

 

第2条

締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。出典:外務省公式ホームページ

 要約

日本とアメリカは、様々な手段で平和で友好的な国際関係を発展させる。両国の経済政策での食い違いを改善し、経済的な協力関係を築く。

 解説

この項では、日本とアメリカの関係は信頼によって成り立っており、自由主義の立場から今後も経済的な協力関係を結んでいくことを確認しています。

 

第3条

締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。出典:外務省公式ホームページ

要約

日本とアメリカは、お互い協力して、武力攻撃に抵抗するための力を憲法の範囲内で発展させる。

解説

アメリカの日本に対する防衛義務に対して、日本も憲法の範囲内で防衛能力を高めて、アメリカの防衛能力向上に協力することが定められています。

これは1948年に採択された「ヴァンデンバーグ決議」が背景にあります。この決議では、アメリカは他の国を援助する代わりに援助された国がアメリカの軍事力を増強するよう定めました。

ただ日本国憲法第9条によって日本は戦力を持つことができない、ということを「憲法上の規定に従うことを条件として」という部分で明確にしています。

 

第4条

締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。出典:外務省公式ホームページ

要約

日本とアメリカは、日本の安全やアジアの国際的な平和が崩れたときはどちらか一方の要請で協議をする。

解説

日本とアメリカが協議する条件が定められています。

 

第5条

各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。出典:外務省公式ホームページ

要約

日本とアメリカは、日本の領域内にある日本またはアメリカに対する攻撃によって平和でなくなった時、憲法に従って対応する。
その対応は国際連合憲章第51条に従って国際連合に報告しなければならない。国際連合が平和のために必要な措置をとったときは、日本とアメリカの対応は終わらせなければならない。

解説

アメリカの日本に対する防衛義務を定めています。日本が攻撃された場合、アメリカは日本を守ることが規定されており、日米安全保障条約の中核と言える部分です。

後半部分は国連憲章にのっとったもので、自衛権の行使は国連による措置までの暫定的なものであることを定めています。

 

第6条

日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。出典:外務省公式ホームページ

要約

日本やアジアの安全のために、アメリカは日本の領域内に軍隊を置くことができる。
アメリカ軍の施設や区域、日本での地位に関しては別の協定で取り決める。

解説

日本の安全とアジアの安全が結びついていることを前提に、アメリカ軍が日本に駐留できることを定めています。

アメリカ軍の施設や区域に関しては「条約第6条の実施に関する交換公文」、日本での地位に関しては「日米地位協定」があります。ただ核の持ち込みに関しては、日本政府は「非核三原則」を最優先することを明確にしています。

 

第7条

この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響も及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならない。出典:外務省公式ホームページ

要約

この条約は、平和や安全を目指す国連憲章や国際連合に対して影響をおよぼすものではない。

解説

国際連合は安全と平和を目指す組織です。この条約は国際連合の理念に反するものではないことを明記しています。

 

第8条

この条約は、日本国及びアメリカ合衆国により各自の憲法上の手続に従つて批准されなければならない。この条約は、両国が東京で批准書を交換した日に効力を生ずる。出典:外務省公式ホームページ

要約

この条約は、日本とアメリカそれぞれの憲法に従って批准される。効力は日本とアメリカが東京で批准書を交換した日から発生する。

解説

日本とアメリカの憲法手続きに従って批准されることを示しています。

 

第9条

千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約は、この条約の効力発生の時に効力を失う。出典:外務省公式ホームページ

要約

1951年9月8日にサンフランシスコで署名された旧日米安全保障条約は、現行の日米安全保障条約が発行されるときに効力を失う。

解説

前述したように、現行の日米安全保障条約は旧日米安全保障条約を改定したものです。

 

第10条

この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。
もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。出典:外務省公式ホームページ

要約

この条約は、国際連合の措置によって日本の平和と安全が充分に確保できたと日本とアメリカが認めるまで効力がある。
条約が10年経過した後は、日本とアメリカは条約を終了する予告をすることができる。その場合、この条約は予告から1年後に効力を失う。

解説

日米安全保障条約が発行されて10年後以降は、日本かアメリカのどちらかの予告によって条約を終わらせることができます。一方でこれは予告がなければ条約が継続することを示しており、条約は「自動延長」することになります。1970年に日米安全保障条約の効力は延長されており、以降効力は続いています。

 

今後の展望

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次期アメリカ大統領のトランプ氏は選挙期間中、日本との関係見直しを度々口にしていました。トランプ氏は選挙期間中から、日本に対して以下の2点を要求しています。

  • 核武装による自衛
  • アメリカ軍駐留経費の全額負担

トランプ氏は日米同盟に関して「日本は対価を払っていない」と主張しており、不公平だとしています。戦後は防衛をアメリカが担い、日本は経済発展に注力することができました。日本の経済発展はアメリカにもメリットがあるため、これまで大統領選で明確に日米同盟を批判した候補者はいません。

軍事と予算の面で日本は対応を迫られています。

ただトランプ氏の発言は、当選後に徐々に変化してきています。日本の核保有に関しても「多くの国が核兵器を持つべきとはいっていない」としており、軍事面では大きな摩擦が生じない可能性もあります。

トランプ氏は政治経験がないため、日米同盟に無知であるという批判もありますが、日米同盟の今後はトランプ氏の動向、政策に大きく左右されるといえます。

 

トランプ氏の動向がカギ

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日米同盟は日米安全保障条約にもとづく日本とアメリカの関係のことで、旧日米安全保障条約も含めれば1951年から続いています。条約は予告がなければ自動延長となっており、戦後の日米関係が今も変わらず継続されていることがわかります。

アメリカ大統領選は不動産王のドナルド・トランプ氏が制しました。トランプ氏は過激発言が目立ちますが当選後は現実的な発言をしており、政策の実現に向けて動いています。

トランプ氏は日米同盟に関しても言及しており、トランプ氏と関係の薄い日本政府がどのように対応するのか注目されています。

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