自分にとってのリスクとは?20代後半から弁護士を目指すキャリア

この記事はインタビュー記事です。現在弁護士として活躍しているMさんのキャリアを紹介します。Mさんは20代後半で弁護士を目指すのはリスキーなこととしています。仕事と勉強の両立は大変でしたが、全て将来のためと考えやり抜いたとおっしゃっています。世間の常識ではなく自分の想いに忠実に生きること、それを裏打ちする冷静な判断が大切ということです。テレビ局で働いていたMさんですが、ある出来事をきっかけに弁護士を目指すようになります。今の仕事に満足していない人にオススメです。

日本で最難関の司法試験に挑む理由

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今回は20代後半でテレビ局を退職し、現在弁護士として活躍しているMさんのお話をお聞きしました。

弁護士になるためにはまず法科大学院(ロースクール)に合格する必要があります。そこからさらに司法試験という日本で最も難しい試験に合格しなければいけません。合格するとは限らないリスクの高い挑戦にあえて挑んだ理由は何なのでしょうか。

 

テレビ局ではずっと営業をしていた

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BraveAnswer(以下BA)編集部:テレビ局での仕事とやりがいを教えてください?

テレビ局では入社してからずっと営業でした。テレビ局の営業は番組の広告を集めるのが仕事です。広告代理店と一緒にスポンサーに訪問し、番組の良さを伝えて値段の交渉をするのが主な仕事でした。

やはり「番組の内容がよかった」と言ってもらえた時は嬉しかったです。

スポンサーさんは広告を出しているので、番組内容が悪ければそのまま会社のイメージにつながります。番組は事前に完成している訳ではないので、事前に確認することはできません。企画書1枚の番組内容に、ある意味博打的にお金を出してくれています。応援という意味も込められています。

そのため番組内容が良ければその気持ちに応えることができたとホッとします。

 

ある出来事をきっかけに弁護士を目指す

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BA編集部:お給料も高いと聞きますがそれでも辞めようと思ったのはどうしてですか?

確かに給料は20代後半で年収700万円以上もらっていたので、平均からしたら高い方だと思います。そこに不満は全くありませんでした。

ただあまりにも自分のしている仕事が仕事じゃないという思いがありました。夜お取引先と飲むことが仕事のメインだったので、「このままでは自分はダメになるな」という危機感がありました。

テレビというコンテンツが「本当にスポンサーさんのタメになっている」という実感も持てなくなっていました。テレビ業界に将来性がないとも感じていました。

お給料がいいので、このままテレビ局で働き続ければ生活に困ることはありません。しかしキャリアを積むという意味では、これ以上のスキルは身につかないと感じていました。

そして「自分は何ができるの」と考え始めたのです。そこで頭の中にポッと浮かんだのが弁護士でした。

前に私が尊敬していた先輩が事件を起こして警察に逮捕されるというショッキングな出来事がありました。にわかには信じられなかったのですが、新聞にその事件のことが書かれていました。本当に辛かったです。そんなことする人じゃないと思っていました。

その事件の裁判を傍聴した時、初めて弁護士を見たのです。私にはその弁護士が正義の味方に見えました。世間の人がその先輩を悪者扱いする中で、弁護士だけは味方でした。その出来事が強烈に頭の中に残っていて、弁護士になるなら今がラストチャンスかもしれないと思いました。

私は働きながら法科大学院の受験勉強を始めました。

 

自分にとってのリスクは何か

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BA編集部:結婚していたんですよね?

はい(笑)。しかし幸いというか子供はいないし、妻も働いていたのでなんとかなるかなと考えていました。夜間に学校に行き、昼間は働くつもりでした。生活費と学費は貯金も合わせてまかなえるという計算もありました。妻も自分の想いを理解してくれて応援すると言ってくれました。

社会人になって勉強を始めるのはかなり大変でしたが、なんとか法科大学院に合格できてスタートを切れました。昼間の仕事は将来弁護士業務に役に立つので、高校のツテを頼って法律事務所で働きました。夜になると大学に通いました。

昼間事務所、夜学校、帰宅後勉強という生活を続けていました。睡眠時間は平均3時間ぐらいでしたが、「全てが将来のため」と考えなんとかやり抜けくことができました。当時会う人会う人に「病気じゃないの」と言われていました。日焼けしないので顔が白くなり、体重も減って痩せていたのです。

BA編集部:その甲斐あって見事合格されたんですね。

正直嬉しかったです。司法試験はかつては受験回数に制限はなかったのですが、今は3回になりました。

3回といっても3年ですので、自分は立場上そんな悠長なことは言っていられません。1年で合格すると意気込んでいたのですが、試験が終わってダメだと思いました。手応えがなく、ミスがわかったんです。また来年頑張るかと覚悟していました。

しかし蓋を開けたら合格でした。妻や親はもちろん、これまでお世話になった先輩、友人、事務所のメンバーなど、ありとあらゆる人に電話しましたね。本当に嬉しかったのと同時にホッとしたのを覚えています。

20代後半で弁護士を目指すというのは計り知れないリスキーなことでしたが、たとえ受験に失敗してもよかったと思いっています。弁護士になれなくても死ぬわけではありません。

それならそれでまた何か自分がのめりこめる仕事を探せばいいのですから。逆に何もせずそのままテレビ局にいる方が、自分にとってリスクを抱えることでしたね。

 

自分の想いに忠実に生きる

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晴れて弁護士になったMさんですが、その原点は先輩の逮捕という衝撃的な出来事を目の前にして浮かんできた自分の正義感でした。これほどまでに強烈な事が起こらなければ人は変われないし、変わろうとしないのかもしれません。

20代後半で弁護士を目指すという決断は、なかなかできるものではありません。しかし大切なのは世間の常識ではなく、自分の想いにいかに忠実に生きるかです。そしてそれを裏打ちする冷静な判断も必要です。その2つがあったからこそ挑戦できたのだと、Mさんの生き方から学ぶことができました。


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